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こんにちはESG法務研究会です

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ESG法務研究会は、合併再編等会社法手続きの実績は最大級!

TOPICS


1.最近の出版は次のとおりです。いずれも実務書であり、画像は本HPの左
 側の回転板あるいはアマゾン等で、ご確認ください。
 (1)『募集株式と種類株式の実務〔第2版〕』…………2014年5月発売
 (2)『事例で学ぶ会社法実務【会社の計算編】』………2014年7月発売
 (3)『親子兄弟会社の組織再編の実務〔第2版〕』……2014年7月発売
 (4)『事例で学ぶ会社法実務【設立から再編まで】』…2014年7月発売
 (5)『「会社法」法令集〔第11版〕』…………………2015年3月発売
 (6)『「会社法」法令集〔机上版〕』……………………2015年5月発売
 (7)『改正会社法と商業登記の最新実務論点』…………2015年11月発売
 (8)『会社法務書式集〔第2版〕』………………………2016年3月発売
 (9)『組織再編の手続〔第2版〕』………………………2016年7月発売
 (10)『論点解説/商業登記法コンメンタール』…………2017年2月発売
  (11) 『商業登記実務から見た中小企業の株主総会・取締役会』
                       …………2017年4月発売
  (12)『総務・法務担当者のための会社法入門』…………2017年10月発売

徒然日誌


2018.02.16(金)【取引しない慣習】(金子登志雄)

 今日は別の話題にする予定でしたが、昨日の1月2日・3日は休日かという
点につき、わが業界で最も有名な司法書士ブログにコメントが載っていると聞
かされ、さっそく閲覧しました。内藤さんのブログです。

  http://blog.goo.ne.jp/tks-naito/e/2c722a39dc7a13c750f095bf5f0cd814

 そこに、――東京法務局商業登記研究会編「商業法人登記速報集」330頁
であり、「国民生活の実態を考慮すれば,1月2日・3日は民法142条にい
う「休日」に該当すると考えられる」ことが理由付けとされていた――とあり
ましたが、その内容につき全く知りませんでした。

 アマゾンによると日本法令から旧商法時代の平成8年2月に出版された本の
ようです。皆さん、ご存知でしたか。そういう本の名前は聞いたことがあるが、
内容までは……というのが私を含め大多数の司法書士でしょう。

 しかし、法令の不知は登記申請人の責任ですが、官報公告を扱う印刷局を含
めて誰も知らない東京法務局見解に対する不知は登記申請人の責任にならない
でしょう。現に、それ以降も1月2日や3日を期間満了日とする登記は東京法
務局管内を含めて、いくつも受理されてきたはずです。

 非常に残念なのは、最高裁は控訴人の利益のために1月2日・3日は休日だ
としたのに、東京法務局は逆に登記申請人の不利益のために1月2日・3日は
休日だという見解を出したことです。判旨の悪用としか思えません。

 ところで、民法142条「期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に
規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある
場合に限り、期間は、その翌日に満了する」の「取引をしない慣習」の意味で
すが、学生時代から、何の取引をいうのかと疑問に思っていました。水曜日が
定休日のデパートは、水曜日が休日で、水曜日に合併に異議ありといってはい
けないのでしょうか。

 しかし、今は債権者異議申述の手続でいえば、「異議の効力を認めてはいけ
ない慣習」のことだと思っています。登記申請期間の2週間でいえば「登記申
請してはいけない慣習」のことです。

 登記申請できないのに1月2日や3日で2週間が終了したから、過料に処す
というのは許されませんが(この関係では控訴期間と同様に休日です)、債権
者の異議であったら、その日に効力を生じさせることに何の不都合があるので
しょうか。

 公告した会社は1月2日までに異議が届くかと待機しているわけですし、債
権者のほうも期限は1月2日と思って行動しているとみるのが通常ではないで
しょうか。相手会社が1月4日から営業開始でも、1月2日までに異議を出さ
ないといけないと思って行動しているわけで、まだ4日までに2日余裕がある
などと債権者は考えていないでしょう。異議はメールでもできるのです。
 
 万人に明確な基準であるカレンダーどおりの運用に戻ることを求めます。



2018.02.15(木)【1月2・3日は休日か】(金子登志雄)

 2月は4月1日付吸収合併などで債権者異議申述公告がなされる時期ですが、
さて、皆さん、昨年12月1日(金曜日)に資本金の額の減少などにつき債権
者異議申述公告を出したとすると、この公告期間の満了日はいつでしょうか。

 商業登記に詳しいベテラン司法書士も、勉強家の司法書士試験受験生も全員
が迷わず、1月2日と答えることでしょう。債権者異議の手続に関する休日な
どの取扱いはカレンダーどおりだというのが、大昔からの定説であり、登記の
運用だったからです。官報公告の実務もこれでした。

 ところが、2月8日の東京司法書士会千代田支部のセミナーにおける東京法
務局登記官の講義によりますと、1月2日・3日は休日扱いだそうです(この
結果、1月4日を効力発生日にすると、却下になります)。

 根拠は昭和33年6月2日最高裁判決だそうです。
 http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/894/052894_hanrei.pdf

 しかし、この判決は裁判の控訴期間についてのものであって、債権者申述期
間の計算には影響がないとされてきたはずです。

 この裁判例があったので、次の改正がなされ
 http://nomenclator.la.coocan.jp/ip/jsup/minsom/s63-093.htm

 現行民事訴訟法95条3項の「期間の末日が日曜日、土曜日、国民の祝日に
関する法律に規定する休日、1月2日、1月3日又は12月29日から12月
31日までの日に当たるときは、期間は、その翌日に満了する」につながった
のであり、これは我々よりも受験生のほうが詳しいでしょう。

 実に不思議に思うのは、こういう新見解・新解釈が登場しても、東京法務局
内や法務省商事課で、「その解釈は従来の運用と相違する」と、どなたも指摘
しなかったのかということです。

 きっと東京法務局も法務省も人事異動が激しいため、昔からの運用につき詳
しい方がいなくなったのでしょう。本人確認証明書や株主リストの解釈や運用
にもそれを強く感じていましたが、まさか、債権者異議申述期間まで従来の運
用と異なる見解が登場するとは想像もいたしませんでした。

 この運用は東京法務局だけのローカルルールなのかは未だ不明ですが、セミ
ナー終了後には、早速、土曜日を期間満了日にしたが大丈夫だろうという不安
の声が出ていました。

 土曜日はともかく、12月29日から31日は大丈夫でしょうか。従来のル
ールを変更するなら、法務省商事課により全国に向けて発信し、周知期間を置
いてからにしていただかないと、いたずらに民間を不安にさせるだけです。

 なお、代表取締役の就任承諾書や辞任届に住所は不要であると明言していた
だきました。これは従来の伝統的な運用どおりであり、最近の一部の運用を否
定するものであり朗報でした。プラスマイナスでいうとプラスの多い有意義な
講義でした。


2018.02.14(水)【スーパーボウル①】(藤沢・酒井恒雄)

 先週の2月5日(現地は4日)に、アメリカン・フットボール(プロ)の全
米チャンピオンを決める、スーパーボウルが開催されました。

 ここのところ毎年、日本時間の朝8時からテレビの生中継があります。じっ
くり生放送を楽しみたいところですが、自己責任でいかようにも仕事の調整が
できるとはいえ、なかなか休暇をとるという決心もつきません。

 例年、録画をしておき、出勤時間ギリギリまでテレビを付けて、後ろ髪を引
かれる思いで家を後にしています。

 この日も録画をして家を出ました。その日は、早く仕事を切り上げ、早めに
食事も済ませ、さぁお酒を飲みながら試合を楽しもうと思った段階で、尋常で
はない寒気を感じたので、結局、ノンアルコールで、ソファーで毛布に包まり
ながら観戦することにしました。(このとき既にインフルエンザに罹っていた
ようで、翌日に発症しました・・・。)

 どんなスポーツでもそうだと思いますが、レギュラーシーズンの試合、トー
ナメント戦、チャンピオンシップへと、その試合の勝利の重みが増してくるに
つれ、いわゆる「神ってる」プレーが増えてきます。今回のスーパーボウルも
素晴らしい試合で、何度も神っているシーンがありました。人の集中力は凄い
と感心します。

 優勝したのは、フィラデルフィア・イーグルスというチームで、なんと57
年振りの優勝でした。以前から応援しているチームなので嬉しいです。対戦相
手は、昨年を含めて過去に5回も優勝している、ニューイングランド・ペイト
リオッツというチームでした。

 イーグルスは、司令塔であるクォーターバック(QB)がトーナメント戦に
入る前に負傷したので、控えのQBがその後の試合とスーパーボウルを戦いま
した。

 以前、責任が重いと書いたキッカーは、ルーキーが勤めました。技量、経験
では相手チームが上回っており、イーグルスはアンダードッグ(かませ犬)と
言われていましたが、見事なチーム力で勝利を収めました。悪寒の影響とは関
係なく?、観ていて体が震えた試合でした・・・。
                              <つづく>


2018.02.13(火)【法人の役員と司法書士~その2~】(東京・鈴木龍介)

 酒井先生、体調を崩されている中、先週の投稿【法人の役員と司法書士】へ
のレスポンスありがとうございます。

 ということで、引き続き「法人の役員と司法書士」について、もう少し突っ
込んで考えてみようと思いますが、どのあたりが法人の役員として司法書士が
適任であるのかということです。ちなみに、ここでいう「法人」とは会社だけ
ではなく各種の法人も念頭に置いています。また、「役員」とは非常勤である、
社外取締役等の外部の役員を想定しています。

 まず、法人の外部の役員となると、理事会等の会議体への出席のために一定
の時間の拘束を受けることになります。その頻度や所要時間はそれぞれの法人
によって差異はあると思われますが、月1回開催、1回あたり2~3時間が一
般的でしょうか。そのような、あらかじめ決められた日程・時間帯であれば、
いわゆる自営業者である司法書士は、会社員等と比較すると「融通性」という
観点でマルということになると思います。

 法人の外部の役員の主な役割としては、業務執行者から独立した立場で法人
のガバナンスを効かせることであって、これは社長等の業務執行者の暴走を阻
止し、適正な事業活動が行われることに貢献するという理解です。

 多くの場合、司法書士は、法人と経済的にも精神的にも独立していると評価
できますので、「独立性」という観点でマルということになると思います。

 また、法人の外部の役員には経営へのアドバイス機能を求められることがあ
りますが、民法や会社法といった実体法を前提に、登記や裁判事務といった法
務の手続に精通している司法書士は、法律のプロとして「専門性」という観点
でマルということになると思います。これについては、コンプライアンスとい
う点でも効果があるといえるでしょう。

 さらに、司法書士は、不動産取引や相続といった案件を通して多様な経験値
をもっており、法人を取り巻く諸々の事象についても冷静な目でとらえること
ができますので、「客観性」という観点でもマルということになりそうです。

 加えて、司法書士は、国家資格者であり業法上も守秘義務を課せられている
という点での「安心感」というのも見逃せません。

 以上のことから、個人差はあるものの、司法書士が法人の外部役員の担い手
としての資格は十分にあるといってよいでしょう。

 次回は、司法書士の側から見る「法人の役員」について、考えてみたいと思
います。ということでもう少しお付き合いください。


2018.02.09(金)【いつのまにか2月】(東京・古山陽介)

 初投稿が2月になってしまいましたが、本年もどうぞ宜しくお願いします。

 例年1月は、最初の1週間を超えると、わりと落ち着いてくるのですが、今
年は嬉しい悲鳴と言いますか、依頼が殺到していて、なかなか落ち着かない日
々が続いています。

 依頼時には、手続きの実行が難しいのではと感じることも、できる方法を試
行錯誤しながら一つずつ論点を潰して、手順の道筋を立て、書類を作成して、
登記まで持ち込む。

 業務では当たり前のことが、家庭でも最近感じることがあります。家では、
もうすぐ2歳になるやんちゃな娘に翻弄されているのですが、遊んでいるとき、
着替えのとき、何かをお願いするとき等色んな場面で「できない」といって諦
めようとします。

 まだ小さいので仕方ないのですが、そんなときは、上手くできる方向に仕向
けてみたり、どうすればできるかを考えてもらうように仕向けてみたりと、あ
の手この手で出来るように促します。

 できたときには子供はもちろんですが親である自分も嬉しいものです。

 できるという経験の積み重ねが自分の血となり肉となるのは、どんな場面で
も同じであることに改めて気づかされました。

 次回以降は、ここ数ヶ月の実務の雑感をいくつか投稿する予定でいます。さ
ぼり癖を治さなければいけないと反省しております。



2018.02.08(木)【ざおうざん? ざおうさん?】(仙台・立花宏)

 先日,テレビを見ていたら,宮城県と山形県にまたがる蔵王山の噴火警報レ
ベルを引き上げるというニュースを流していました。蔵王山は,温泉やスキー
場,牧場等もあり,宮城や山形の人々にとってはとても親しみのある山です。
私も,何度も訪れたことがあり,とても心配なニュースでした。

 ところで,この情報は全国に流れたのだろうと思いますが,そのニュースで
は,この蔵王山をどのように読んでいたでしょうか。実は,私はあまり意識し
たことがなかったのですが,どう読むかは地域等によって違いがあるそうです。

 昭和の初めころ,国土地理院に,“ざおうざん”で登録されたそうで,一応,
公式にはこの読み方をされることが多いようです。しかし,特に山形の方たち
は“ざおうさん”と呼ぶ方が多いそうで,この読み方を正式なものとしてほし
いという要望も多いのだそうです。

 インターネットを検索してみたら,今後,国土地理院の登録について,両方
の読み方を併記したらどうかという提案もあるようです。地元の方でも,地域
によって“ざおうざん”と呼ぶ方“ざおうさん”と呼ぶ方がいらっしゃり,ど
ちらが間違いというわけではないでしょうから,少なくとも,普段は慣れ親し
んだ方で呼べばよいのだろうと思います。

 漢字というのは,複数の読み方をするものが多いですし,なかなか難しいも
のだと思いました。

 ところで,会社の商号や呼称も漢字やアルファベット(ローマ字)の場合が
多いですが,はじめて見る会社の商号や呼称は,思い込みで間違えて読んだり,
覚えたりしてしまうことがあります。

 そういえば,有名企業のCanon さんも,会社のホームページをみると,キヤ
ノン株式会社となっています。若いころ,私は正式名称もキャノンさんだと思
っていたのですが,誰かから,「正式にはキヤノンだと思うよ」と言われては
じめて意識したことがあったように思います。

 今年の3月12日から,商業・法人登記の申請をする場合,申請書に,商号
・法人名のフリガナを記載する欄が設けられるようです。このフリガナの情報
は,登記簿に記載されるものではなく,国税庁の法人番号公表サイトを通じて
公表されるようです(※)。

 登記の申請書の記載事項を定めている商業登記法が改正されるわけではない
ようですので,記載がない場合に補正が求められるのかどうか,また,仮に,
間違えた内容を登録してしまった場合にどうなるのかなど,まだ,わからない
こともありますが,こうした情報が公表されるようになることは,個人的には
とても望ましいことではないかと思いました。
(※)公表は4月2日から。



2018.02.07(水)【司法書士の社外役員】(藤沢・酒井恒雄)

 自分の体調管理の甘さから、インフルエンザB型に罹ってしまいました。熱
はそれほど高くないのですが、頭痛と鼻水が酷いです。

 今日、徒然日誌の原稿を書こうと思っていたのですが、PCの画面や字を見
るのが辛いので、金子先生に明日の原稿が送れない旨のメールをしたところで
す。

 しかし、昨日の鈴木龍介先生の投稿を読みまして、どうしても伝えたくなっ
たので短いながら投稿させて頂きます。

 私も、司法書士は外部役員に向いていると思っています。

 手前味噌ですが、商業登記業務等を通じて、様々な会社さんとお付き合いを
して行くうちに、会社や組織に対する視野が広がっていることに気付いたりし
ます。事業活動におけるリスクに対する嗅覚も、司法書士は優れているのでは
ないか? とも思っています。

 私も社外役員を務めているのですが、実務ならではの悩みがあります。意見
交換をしあえる仲間がいたら、心強いだろうなと思っています。そのうち司法
書士で外部役員をされている方々と、会合を持てたらいいなぁと思っておりま
す。



2018.02.06(火))【法人の役員と司法書士】(東京・鈴木龍介)

 会社などの法人は、それ自体が意思決定や業務執行をすることはできません
ので、実際に職務を行ったり、監査や監督をするための機関である役員が必要
になります。

 とりわけ、近年、注目されているのが外部の役員-株式会社では社外取締役
や社外監査役-です。現在、法制審議会で展開されている会社法改正の議論の
中でも上場会社等に社外取締役の設置を義務付けるかどうかということについ
て、平成26年改正に続き、検討されています。

 一方で、上場会社以外では外部の役員を置く意味はないのでしょうか?
 中小企業であってもガバナンスは必要であり、社外役員が有用な場合もある
と思います。また、財団型の非営利法人-たとえば一般財団法人や社会福祉法
人-では、外部の人間を前提とした評議員を置かなければなりませんし、公益
型の非営利法人-たとえば公益社団法人やNPO法人-では、理事の中に親族
等の利害関係のない人間が必要になります。

 では、その外部の役員の担い手はどうかというと、上場会社については、会
社法で社外取締役の義務化はなされていないものの、コーポレートガバナンス
・コードの制定・運用開始により、にわかに社外役員(特に社外取締役)に対
するニーズが高まり、需要と供給がマッチしていないように思います。

 そのような背景の中で4~5社の社外役員を務めている方もいます。ちなみ
に、私もかつて上場会社2社の社外役員を務めていたことがありますが(現在
は1社です。)、本業を持つ身としては2社が限界かなと思っています。

 上場会社以外の場合、状況はもっと厳しいのではないでしょうか。つまり、
外部の役員のなり手が足りないということです。一定の外部の役員を確保しな
ければならない非営利法人の場合であって、いわゆる大都市圏以外の地域では、
特に深刻であるとの話も耳にします。

 そこで、外部の役員として司法書士はどうでしょうか? 私自身、2つの非
営利法人で理事を務めていますが、個人差はあるにせよ意外(?)に適任であ
るような気がしています。中小企業のオーナーや非営利法人の関係者のみなさ
ん、いかがでしょう? また、司法書士の方々はどうお考えになりますか?


2018.02.05(月)【互選又は株主総会の決議により】(金子登志雄)

 登記申請に添付した非取締役会設置会社の定款に「当会社に取締役を複数名
置く場合には、取締役の互選により、又は株主総会により代表取締役1名以上
を定める」とあったため、某登記所より、この定めは有効なのか、先例がある
のか、定款認証で肯定された例はあるのかと質問を受けました。

 登記事項とは無関係な部分で補正ではありませんでしたが、はじめてみた内
容だったのか、個人的に確認したかったようです。

 「取締役の互選によって定めることができる」とう意味だから問題ない、会
社法立案者の葉玉ブログでも肯定しているし、松井ハンドブックでも認めてい
ると説明しましたが、松井本は、定款で「互選で定める」と断定した限り総会
では選定できないという内容で、もろに肯定したものではなかったこと、私の
説明が、互選で定められるのなら、そこまで達しない「互選で定めることもで
きる」も、株主総会と互選の中間領域だから、当然に認められるといった定款
自治の方向からの説明であったため、十分に真意が伝わらなかったようです。

 そこで、その後も、こういう分かりきったことをどう説明したら通じるのか
と考えていましたが、会社法349条3項の「株式会社(取締役会設置会社を
除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によ
って、取締役の中から代表取締役を定めることができる」を抜粋しただけだと
説明するのが最も通じやすいかなと考えました。

 会社法349条3項は、非取締役会設置会社の代表取締役は、「①株主総会、
②定款、③定款の定めに基づく互選」のいずれかの方法で定めることができる
という意味であって、①②③のいずれかに固定しなければならないというもの
ではありません。現に、定款に③の規定が定められているのに、②の定款の附
則で定めることが頻繁になされています。したがって、「互選で定めることが
できる」も「定めることもできる」も「互選又は株主総会の決議により定める」
も当然に肯定されます。

 非取締役会設置会社の株主総会は万能の決議機関であるため、「又は株主総
会の決議により」は一見して余事記載のようにみえますが、「互選又は株主総
会の決議により定めることができる」なら余事記載ですが「定める」にした場
合は、これを挿入しておかないと、松井本の解説のとおり株主総会では選定で
きないことになるため、余事記載にはなりません。


2018.02.02(金)【資本金等増加限度額と株主資本等変動額】(金子登志雄)

 今年も1か月が経過し、寒い2月になりました。逃亡も証拠隠滅のおそれも
なく拘束する理由が全くないのに、あの籠池老夫妻はまだ出してもらっていま
せん。もう半年にもなります。権力に逆らうとこうなるという見せしめのよう
で、もう一方の当事者である昭恵さんとの落差を考えてしまいます。

 さて、会社法用語は慣れないと難しいものです。旧商法の「発行する株式の
総数」は会社法では「発行可能株式総数」となりました。

 この「(発行)する」とは、「することのできる」と読み替えてください。

 公開会社の定義の「その発行【する】全部又は一部の株式の内容として譲渡
による………」も、種類株式発行会社の「内容の異なる2以上の種類の株式を
発行【する】株式会社」も、株券発行会社の「株券を発行【する】旨の定款の
定めがある株式会社」も実際に発行しているかどうかを問わず、発行すること
ができるようになっていれば、それで定義を満たします。

 「する」→「することができる」→「可能」ですから「発行可能株式総数」
と用語が変わったわけですが、旧商法の「配当限度額」は「分配可能額」にな
りました。自己株式取得原資をも含むからです。

 増資をすると原則として「資本金と資本準備金」が増えます。この合計額、
すなわち出資額を「資本金等増加限度額」といいますが、合併等の場合は、そ
の他資本剰余金や利益剰余金にも影響することがあるため、より広く「株主資
本等変動額」といいます。

 株主資本等増加限度額と名づけなかった理由は、合計でマイナスになる場合
もあるからです。

 ここで勉強家の方は、親会社が子会社に債務超過事業を出資した場合のよう
に、増資の場合でもマイナスがあるのに、なぜ「資本金等増加限度額」とし、
「資本金等変動額」にしなかったのかと疑問を持つことでしょう。

 この回答は計算規則14条1項本文に「零未満である場合にあっては、零」
とあります。



2018.02.01(木)【平成30年の仕事はじめ】(島根・根来川弘充)

 平成30年が明けましたが、不本意ながら、正月からインフルエンザにかか
ってしまい、仕事できるまで約半月近く必要でした。

 しかし、病にかかるのは、私だけでなく、私が後見人として関わっている方
の中で、年始から入院を余儀なくされた方も出てきました。

 確かに急激な天候の変化もあったかもしれませんが、思い出せば、昨年も入
院された方が数名おられました。

 年をまたぐということは、単なる時間の経過でなく、何かしら身体に何か影
響を与えることなのかも知れません。

 昨年の私は、まだ元気だったのですが、今年は、病気になってしまったので、
入院手続をするに際し、関係者の方に迷惑をかけることになってしまいました。

 年始のスタートがうまく切れないと、この一年が大変不安になります。

 初詣のおみくじは、吉だったので悪くはないと思うのですが、いろいろ用心
しておきたいと思います。


2018.01.31(水)【引越し完了】(藤沢・酒井恒雄)

 事務所の引越しが終わりました。

 案の定、電話もインターネットも、すんなりとは繋がり「ません」でした。
嫌な予感はしていたのです・・・・・。

 通信会社の担当者によれば、電話・インターネットの開通工事は、通信機器
(ルーター)のコードを一本繋ぐだけなので簡単に出来る、そして、現場に工
員は行かず、遠隔操作で工事を行うのが主流とのことでした。

 費用も安く済むとのことですし、何となく自分で作業することを薦めている
感じでしたので、遠隔操作で開通工事を行う方法を選択しました。しかし、費
用を安く済ませるということは、その分、自己責任となることが増えると考え
るのが素直かと思います。一瞬、嫌な予感がしました。

 実際に作業を行ったところ、確かに機器自体はコードを一本繋ぐだけの作業
だったのですが、新環境になったことに伴う初期化や、電話番号とFAX番号
の割り振りの作業等も必要でした。

 ITに詳しい方であれば、それは当然の作業だと思われるかもしれませんが、
私は、「コードを一本繋げるだけ」で、今まで通りに使えると考えていました。
なかなか回線が繋がらず、担当者の説明不足だとして文句を言うべきか、はた
また自分がリスク・テイクした結果だとして受け入れるべきかと、悶々とした
雰囲気を漂わせていたところ、複合機の搬入のために来ていたエンジニアの方
が察してくださり、私の作業を手伝ってくれました。本当に有り難かったです。

 その後、無事に電話もインターネットも繋がり、電子署名やオンライン申請
も無事に出来ることが確認できました。とりあえず一安心です。


2018.01.30(火)【函館 初往訪】
(東京・鈴木龍介)

 先週末は、函館司法書士会(=函館会)の研修の講師ということで、はじめ
て北海道の函館(江戸時代は「箱館」と表記されていたようです。)に行って
まいりました。

 今回の研修のテーマは、本コーナーで何度も取り上げています「債権法改正」
で、日本司法書士会連合会からの派遣です。函館会は総勢39名という最も人
数の少ない司法書士会ですが(カバーするエリアは相当広いですが・・・)、
本研修には30名近く参加されていましたので、東京などの大きな司法書士会
では考えられない出席率です。

 企業向けのセミナーや大学の授業でお話をする機会は結構あるのですが、司
法書士向けの研修等の講師というのは意外に(?)多くありません。今年度で
いうと函館会が2つめです。

 地方(この言い方どうかと思いますが、よい言葉が思いつかないのでお許し
ください。)の司法書士会での研修講師の楽しみは、地方の司法書士の方々と
の交流(東京とは違った見方や意見を聞くことができます)とそれぞれの土地
の旨いものでしょうか。

 函館会でも研修終了後に、研修担当の方々を中心に懇親会を催していただき
ました。地元でも評判の居酒屋さんでしたが、さすが北海道・函館ということ
で新鮮な魚介類がふんだんに出てきました。箱うに(箱に入っている塩水うに)、
活いか、生ガキ等々、北海道の地酒とともに堪能させていただきました。

 中でも驚いたのはホッケ(漢字で書くと「𩸽」)の刺身です。ホッケは焼い
たものしか食べたことがなかったのですが、刺身で食べられるというのは足の
早い魚でも鮮度を保つことができる地元ならではの逸品でした。もうひとつ、
函館は温泉のメッカということで、宿泊は温泉付きのホテルにしました。露天
ありの源泉かけ流しの塩水(海水)で、粉雪舞う中、とても暖まりました。

 ということで、研修の中身や講義のクオリティはさておき、有意義な初函館
でした。

 最後に函館会の先生方のご厚情にあらためて御礼申し上げます。


2018.01.29(月)【総社員の同意その2】(金子登志雄)

 25日の立花さんの「総社員の同意」ですが、退社予定者は総社員に含まれ
ないという見解があるとは驚きでした。寝ぼけているのかと思いました(年取
ると口が悪くなりますね)。

 学者や勉強家の実務家に多いタイプですが、大量の書籍を読み、この論点に
は、甲説と乙説があって、争点はこれで………という先入観に囚われて、その
範囲内の思考に落ち込むと、こういう信じがたい見解になります。

 われら不勉強家(?)は大量の本を読みませんから、それに影響されず、ご
く普通に常識や社会通念で考え、総社員という限り、全員のことだと考えます。

 不勉強で努力嫌いの私は、読書は少ない代わりに、条文だけで熱心に考えま
す。この条文とあの条文の相互の関係はどうかという思考もしますから、格好
よくいえば、森をみずに木しかみない勉強家とは相違する着眼をします。

 本件に関しても、法定退社の607条だけで考えずに、全く関係なさそうな
641条との関連で思考します。
----------------------------------------------------------------------
(法定退社)
第607条 社員は、………の場合のほか、次に掲げる事由によって退社する。
  一 定款で定めた事由の発生
  二 総社員の同意
  三 死亡
  四 合併(略)  以下略

(解散の事由)
第641条 持分会社は、次に掲げる事由によって解散する。
  一 定款で定めた存続期間の満了
  二 定款で定めた解散の事由の発生
  三 総社員の同意
  四 社員が欠けたこと。
  五 合併(合併により当該持分会社が消滅する場合に限る。)  以下略
----------------------------------------------------------------------

 いかがですか。定款で定めた存続期間の満了も定款で定めた解散事由の1つ
ですから、607条と641条は、瓜二つの関係にあると思いませんか。

 これは持分会社の社員の法定退社を「会社の部分解散」と会社法が捉えてい
るためでしょう。

 であれば、両規定にある総社員の同意とは退社予定者を含んだ総社員の同意
であることが明らかです。

 持分会社の実質は民法上の組合であり、組合「契約」とされていますが、契
約にも種々あり、相対立した意思表示の合致(申込みと承諾の合致)だけでな
く、あるテーマ(議題)に全員が同意する同方向に向けられた意思の合致(合
同行為ということが多い)もあります。合同行為で社員Aさんを含む全員でA
の退社につき同意するのも総社員の同意の1つであり、立花さんの解説のとお
りです。


2018.01.26(金)【会社数】(金子登志雄)

 直近の商事法務に掲載されている松井信憲商事課長の投稿によると、現状の
会社数は、次だそうです。

----------------------------------------------------------------------
 平成28年末現在における清算中の会社を除く現存会社数は約363万社で
あり、前年同期の約358万社に比べて、約4万8000社増加している。
 会社の種類別にみると、
 株式会社が約181万社(約5万3000社増)、
 特例有限会社が約159万社(約2万5000社減)、
 合同会社が約12万8000社(約2万1000社増)、
 合資会社が約7万9000社(微減)、
 合名会社が約1万8000社(微減)
となっている。合同会社の数は、従前は毎年約1万社ずつ増加していたが、近
年は毎年2~3万社近く増加しており、その利用が進んでいることがうかがわ
れる。
----------------------------------------------------------------------

 特例有限会社の減少はおそらく株式会社への移行でしょうから、株式会社の
純増は約3万、合同会社を含め毎年5万社程度が誕生しているということでし
ょうか。

 企業業績も向上し日経平均株価も高騰していますが、現実には、企業が儲か
っているだけで、庶民は少しも豊かになっていません。正規社員も減少し、実
質賃金は下がり、庶民の犠牲の上に立つ大企業や金持ち優遇策の結果ですが、
企業も内部留保に務め儲けを外に出していません。

 それにもかかわらず、会社数が増大している理由を知りたいところですが、
こればかりは、法務局にも調べようがありません。合同会社数の増大は、おそ
らく、資産家による税金対策のための資産管理会社としての設立でしょう。私
も何件か手掛けたことがありますが、いずれも税金対策と思われる案件でした。

 さて、上記のうち、10年に1度以上登記する会社が220万社程度とみる
と、現在の司法書士数は全国で2万2495人ですから、1人100社です。
新設5万社で計算すると1人2社です。

 会社法。商業登記専門の当事務所なら、顧客数はこの数倍あってもおかしく
ありませんが、この10年で100社扱ったかどうかは怪しいものです。新設
会社数はかろうじて平均値の数倍ですが、自慢できる数ではありません。

 だからこそ、当事務所は、知名度があっても、同業者から羨望の対象にもな
らず、愛される事務所でいられる面もありますが、少々情けない思いです。い
ったい誰が独占しているのでしょうか。


2018.01.25(木)【総社員の同意】(仙台・立花宏)

 先日,知り合いから問い合わせをいただきました。内容は「総社員の同意」
による退社(一般法人法(※1)29条2号)についてでした。

 「総社員の同意」となっているけれど,その総社員には退社する社員は含ま
れないよね,という疑問でした。どうやら,「総社員の同意」は,他の社員全
員が同意すれば,ある社員の意思と無関係に当該社員を退社させることができ
る制度と考えているようでした。

 会社法に規定される持分会社にも「総社員の同意」による退社の制度があり
ますので,会社法のコンメンタール(岡島孝康・落合誠一・浜田道代編『新基
本法コンメンタール会社法3第2版』日本評論社33頁)を見てみました。

 詳細は同書をご覧いただきたいと思いますが,含まれるとする見解と含まれ
ないとする見解があるようです。ただし、含まれないという見解も,退社する
社員の意思と無関係に,他の社員全員の同意のみで特定の社員を退社させるこ
とができるとしているわけではありません。

 持分会社の社員には,任意退社の制度があります(会社法 606条)。この制
度は、原則として,事業年度の終了の時に退社することができ,6か月前まで
に予告が必要というものです。

 「総社員の同意」は,この要件を満たさなくても(会社に不利な時期でも),
他の社員の同意により,ある社員の退社の申出を容認することができるといっ
た場面等が想定されているようです。

 一般社団法人の場合はどうでしょう。一般社団法人では,持分会社と違い,
社員は、原則として“いつでも”退社できます。そうすると,定款で退社の時
期等を制限していない限り,退社に総社員(他の社員全員)の同意が必要な事
態は想定できません。一般社団法人の「総社員の同意」による退社の制度は,
持分会社とは違うものなのでしょうか。

 一般社団法人の「総社員の同意」による退社の制度は,正当な事由がなくて
も除名できる制度という見解もあるようです。

 しかし,法律は異なっても,同じ用語を使用しているのですから、意味が異
なるとは思えません。ある社員の意思と無関係に当該社員を退社させる制度で
はないと思います。

 「法定退社事由の『総社員の同意』は,共同事業を営もうとする全員の共同
契約の一部解除という『全員の決定』という視点から規定し」(※2)たもの
であり,退社する社員の意思を除外しては成立しないと考えました。

 「任意退社」(一般法人法28条)は,社員からの一方的な共同契約の解除,
「除名」(一般法人法30条)は法人からの一方的な共同契約の解除を規定した
ものであり,双方からの共同契約の合意解除を規定したものが「総社員の同意」
なのではないでしょうか。

 また,「除名」の制度(一般法人法30条)は別に規定があり,この場合は,
当該社員に弁明の機会を与える必要がありますし、除名した旨を通知しなけれ
ば当該社員に対抗できません。一方,「総社員の同意」(一般法人法29条)に
は,そうした手続は規定されていません。このことからも,「総社員の同意」
は「除名」とは異なる制度であると思いました。

(※1)一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
(※2)神﨑満治郎・金子登志雄・鈴木龍介編著『論点解説 商業登記法コン
    メンタール』(きんざい)381頁以下


2018.01.24(水)【これもデジタルデバイド?】(藤沢・酒井恒雄)

 只今、事務所の移転作業の真っ最中です。

 先日、電話会社に引越しの連絡をしたのですが、プロバイダーには別途連絡
をしてくれと言われました。はてな?と思い、再度聞き直したところ、通信回
線の利用契約とプロバイダーの利用契約の相手が、別系列の会社であるとのこ
とでした。

 そこで、一連の作業をどう進めるのがベストなのかと担当者に尋ねてみまし
た。

 引越しを機に、新事務所に最適な通信環境となる回線利用契約に変更するの
がベスト、その場合、現在のプロバイダーだと対応できないので、現在のプロ
バイダーとの契約解除と、対応可能な新規のプロバイダーとの契約締結がマス
ト。

 ただし、現在のプロバイダーの契約を解除すると現在のメールアドレスも使
用できなくなるので、引き続きメールアドレスを使用する契約を現在のプロバ
イダーと締結するのがベスト、もし、引っ越し後も現在の通信環境と同じでい
いなら、現在のプロバイダーも対応できるプランがあるので、新規のプロバイ
ダーとの契約は不要だが、現在のプロバイダーへプラン変更の連絡はマスト、
だとのこと・・・・・。

 あ~なるほど! と言えたら良かったのですが、私にはなかなか理解できま
せんでした。

 これが、いわゆるデジタルデバイド(IT格差)なのか? と思ったのです
が、単に通信会社同士の諸事情のせいで、話しが複雑になっているだけのよう
にも思えました。

 どうなのでしょうか? 話が理解できない自分に焦りましたが、どんな通信
環境で仕事をしているのか把握していなかった自分にも焦りました・・・・。


2018.01.23(火)【元号】
(東京・鈴木龍介)

 前回、予告(?)しましたとおり、今回は「元号」について取り上げたいと
思います。いろいろ調べたりしていたら長いものになってしまいました。

 そもそも元号とは、特定の時代(期間)に対してつけられる称号(呼び名)
のことで、かつては中国や朝鮮などでも用いられていましたが、今は日本だけ
のようです。

 元号については、元号法(昭和54年法43号)なる法律があります、たっ
たの2項(2箇条ではありません(ただし、附則は除きます。)。)で、内容
は以下のとおりです。

 1項 元号は、政令で定める。
 2項 元号は、皇位の承継があった場合に限り改める。

 元号法は昭和54年の制定ですから、この法律に基づいて元号があらためら
れたのは、現在の元号である「平成」だけということになります。

 そして、皇位の承継は今上(きんじょう)天皇(=在位中の天皇の呼称)が
崩御された時でしたが、今回は今上天皇が生前退位し、皇位が承継されること
が決まっており、その承継の時に元号法の規定に基づき元号があらためられま
す(一世一元の制=1人の天皇に1つの元号)。具体的には平成31年4月
30日までが「平成」で、翌日の5月1日からが新元号ということになります。

 これまでは元号があらたまる時期というのは、当然のことながら未定でした
ので、新元号も事前に発表されることはありませんでした。今回の場合、新元
号となる時期が決まっていることもあり、国民生活に大きな影響を与えないよ
うにするため、事前に発表することになったようです。一説には今年の秋口に
も発表などという声も聞こえてきます。

 発表後は新元号に関する商号や商標の争奪戦が繰りひろげられることが予想
されます。ちなみに大学は、その名前に元号を冠している例が多く、たとえば
「明治大学」、「大正大学」、「昭和大学」。「(帝京)平成(国際)大学」
とあります(明治の前の元号である慶應(義塾)大学もそうですね)。

 法令については、施行日等は和暦である元号で表記されますが、たとえば本
コーナーで何度か取り上げている、いわゆる債権法改正の施行日は平成32年
4月1日です。でも、実際には平成32年はないわけです。やむを得ませんが、
少し違和感もあって、論稿などには和暦と西暦を併記したりしています。

 登記については、元号法の制定時に発出された登記先例(昭和54年7月5
日民三3884号・民四依命通知)により和暦である元号を用いることになっ
ています。

 ちなみに会社や法人は存続期間を定めた場合、和暦で登記することになりま
すが、3年後の4月1日を存続期間とした場合には、「平成33年4月1日」
と登記され、仮に新元号が発表された後であっても、平成31年5月1日以前
の申請については、あくまで期限付新原号なので「平成」で登記されることに
なります。

 ところで、新天皇が即位されると国民の祝日である天皇誕生日はどういう取
扱いになるのでしょうか。今上天皇の誕生日(12月23日)は、当面、祝日
ではなくなり、次の天皇陛下となる現皇太子徳仁親王の誕生日(2月23日)
が天皇誕生日として祝日になるようです。

 ちなみに第2次次世界大戦前の天皇誕生日は「天長節」と呼ばれ、祝日でし
た。また、これまでの天皇誕生日は、明治天皇が文化の日(11月3日/以前
は「明治節」)、昭和天皇が昭和の日(4月29日/以前は「みどりの日」)
として祝日となっています。


2018.01,22(月)【選任懈怠中の解散・会社継続】
(金子登志雄)

 商業登記倶楽部の実務相談室で、選任懈怠中の会社の解散や会社継続に関す
る質問が増えてきましたので、土日に、想定問答を作り真剣に取り組んでみま
した。選任懈怠のない会社の解散しか取り扱ったことがなく問題意識が薄かっ
たためです。

 難問でした。共著のある立花・幸先司法書士にも意見を聴いて、やっと少し
まとまってきましたが、まだ途中経過です。

----------------------------------------------------------------------
 取締役ABC(代表取締役A)、監査役Dの甲社(取締役会設置会社・監査
役設置会社)の登記記録をみると、全員が平成17年6月28日に重任という
登記がなされており、定款をみると、3月末決算で、取締役は2年、監査役は
4年の法定任期どおりだったとします。また、平成17年6月以降、役員の改
選決議はしていないもの(登記懈怠はなく選任懈怠のみ)とします。
----------------------------------------------------------------------

 甲社で平成29年12月(下記②時期)に株主総会で解散決議をしたところ、
取締役Cから同時に辞任表明がなされました。清算人選任決議はなされていま
せん。

 会 社→→→→事業会社→→→→→→→|②→→清算会社→→→
 取締役→→→|①……権利義務者……→|→→→清算人→→→→
 監査役→→→→→|①…権利義務者…→|→任期なし監査役→→

 さて、取締役ABCの①時点の退任登記が必要でしょうか。

【否定説】
 昭和49年11月15日民四5938号依命通知に、権利義務取締役も法定
清算人になるとあるし、登記懈怠は登記しなければならないが、選任懈怠は登
記不要とも読める。また、会社継続に関する下記の法務局HPでも、法定清算
人の登記の前提に取締役の退任の登記をしていない。これが登記実務であり、
法定清算人制度は前任取締役(権利義務者を含む)につき申請により抹消する
のではなく、商業登記規則72条により、登記官が職権で朱抹するものだ。
   http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001189039.pdf

【肯定説】
 株主総会の決議で清算人を選任したときは、権利義務取締役の退任登記の環
境が揃ったとして退任登記しながら、法定清算人制度を採用したというだけで、
退任登記が不要になるとは思えない。退任登記と法定清算人制度は両立するの
であり、上記昭和49年依命通知も、退任登記が不要になるとまでは記載して
いない。同通知が必要だとする取締役の変更登記には選任懈怠も含むというべ
きであり、法務局HPは退任登記を漏らしただけだ。

 私見は肯定説であり、商業登記規則72条により、登記官が職権で朱抹する
のは任期中の取締役に限られると思っています。

 次の問題は取締役Cも法定清算人になるのかということですが(これは幸先
司法書士からの問題提起です)、清算会社になると清算人は1人でもよくなり
ますから、Cについては法定清算人にならないと考えます。

 最後に、監査役Dですが、解散しても監査役設置会社は継続しますから、解
散によってDの任期満了退任の登記の環境が整備されたとはいえません。権利
義務者のまま解散後も監査役を継続し、後任が選任されれば、上記の表の①の
ときに任期満了退任となります。上記否定説の発想で、権利義務監査役が解散
によって任期の定めのない監査役に変身したと考えることは困難です(注)。

 以上については、みなし解散後の会社継続で、よく問題になりますので、下
記をご検討ください(私は批判的な意見であることは前記しました)。
   http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html#1-26

(注)公開会社又は大会社の監査等委員会設置会社の監査等委員である取締役
が選任懈怠中に解散すると、この監査等委員は監査役になります(477条5
項)。この場合は、監査役設置会社が継続したわけでもないため、解散と同時
に監査等委員である取締役の任期満了退任の登記が必要だと考えます。



2018.01.19(金)【みなし解散の日】(金子登志雄)

 きんざい『商業登記法コンメンタール』294頁に、会社法472条の休眠
会社のみなし解散の件で「最後の登記から12年を経過したら、その後所定の
手続を経て、登記官の職権により2か月の公告期間の満了の日を原因日付とし
て『会社状態区』に『平成○年○月○日会社法第472条第1の規定により解
散』という登記がなされる」と書きました。

 これにつき、一般社団の事例ですが、法務省のホームページには、原因日は
公告期間満了の日の翌日としているので、改めなくてよいかとの問い合わせを
受けました。確かに、下記には「平成29年12月12日(火)までに、『ま
だ事業を廃止していない』旨の届出がなく、かつ、登記の申請もなかった休眠
会社・休眠一般法人については、平成29年12月13日(水)付けで解散し
たものとみなされ、登記官が職権で解散の登記をします」とあります。

   http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00083.html

 どう思いますか。

 拙著や拙論文を熟読している方にはお分かりでしょうが、法務省は伝統的に
「期間満了の日」を「翌日」にしているためです。会社法472条には「その
2箇月の期間の満了の時に、解散したものとみなす」とありますから、コンメ
ンタールの記載は会社法条文に忠実であり、正しい記載です。

 法務省見解に対しては、コンメンタール291頁で、次のように批判してお
きました。
----------------------------------------------------------------------
 取締役等の重任の登記のように「終了と開始」による変更の登記の際には、
開始の日を基準にするが、株主総会の決議による解散や退任の登記など開始が
ない終了のみの登記は、終了日をもって登記してきたはずだが(会915条2
項・3項も同様)、存続期間の満了や新株予約権の行使期間の満了については、
この原則に反して翌日付で登記されている。いずれ改められることを希望する。
-----------------------------------------------------------------------

 解散の日というのは事業法人終了日(期間の満了日)のことであって、清算
法人の開始日(清算事務年度開始日)のことではありません。言い換えれば、
法務省の記載は解散とみなされた日を登記しているのではなく、清算会社開始
の日を登記していることになります。

 平成29年12月末日までの期間の満了の時に解散したものとみなすとあれ
ば、「平成29年12月31日解散」とすべきであり、「平成30年1月1日
解散」とすべきではありません。平成29年までは未成年で平成30年から成
人だとしたら、平成30年1月1日に未成年終了ではなく、その日は成人の開
始の日です。

 会社法494条に解散の日の翌日から清算事務年度が開始するとありますか
ら、法務省見解では、期間満了日が12月31日だとすると、翌年の1月2日
から清算事務年度が開始してしまいます。

 税務申告で税理士が困っているため、「いずれ改められることを希望する」
とコンメンタールに記載したわけですが、伝統の壁は強固であり、改まる日は
いつになることやら。



2018.01.18(木)【みなし解散のみなし監査役】(金子登志雄)

 神崎先生主宰の商業登記倶楽部の実務相談室に「みなし解散」の質問が続い
ていました。会社継続の相談です。

 さて、取締役ABC(代表取締役A)、監査役Dの取締役会設置会社・監査
役設置会社が休眠会社のみなし解散(会社法472条)になると、事業継続を
前提とする取締役も取締役会も商業登記規則72条により、抹消されて、取締
役の権利義務者だったABCは、法定清算人ABC(代表清算人A)に代わり、
監査役の権利義務者だった監査役は、任期のない監査役に変わります。この会
社は依然として監査役設置会社とされたままです。

 しかし、登記簿には監査役しか登記されていませんから、会社継続の際は法
定清算人の登記をし、任期のない監査役から任期のある監査役に変わるDは任
期満了退任の登記がなされ、会社継続後の役員に交代します。

 以上を前提に、取締役ABC(代表取締役A)、監査等委員である取締役D
EFの監査等委員会設置会社(公開会社又は大会社を前提)が、みなし解散す
ると会社法477条5項によりDEFは監査役に変わります。清算会社になる
と、監査等委員会という機関設計は認められず、商業登記規則72条で監査等
委員会設置会社も、ABCもDEFも抹消され、監査役設置会社に変わるわけ
ですが、法定清算人も、監査役設置会社である旨も監査役DEFも職権で登記
されることはありません。抹消だけがなされます。

 ここで疑問を覚えたのが、この会社を継続する際に、いったんは監査役の設
置を決議し、DEFを監査役として登記しなければならないのかです。

 この点については解説文献もなさそうです。おそらく、会社継続の際は、必
須機関の法定清算人ABC(代表清算人A)だけ登記し、監査役設置会社も監
査役DEFも登記しないで済むのであろうと予想しました。

 監査役設置会社になる旨の決議をしていないのですから、登記は困難ですし、
仮に会社継続後の機関構成が取締役会設置会社・監査役設置会社であっても、
監査役の設定日が会社継続の日ですから、職権解散時から会社継続時までの間
の監査役DEFの登記根拠が見当たりません。

 同じことは監査役「会」設置会社がみなし解散し、会社を継続する際は、会
社法477条3項により、いったんは清算人「会」設置を登記しなければなら
ないのかという問題にも通じます。これも、会社の継続の際は、清算人会の設
置をスルーするのだと予想しました。

 監査役会設置会社や監査等委員設置会社がみなし解散される例は現実にはな
いでしょうから、以上は、机上の問答ですが、こういうごく希なケースでも、
基本通達や登記記録例にはあってもよさそうにと思いました。

 それにしても、登記されない監査役というものが存在する私の解釈はいかが
ですか。異論・反論をお待ちしております。


2018.01.17(水)【今年は?】(藤沢・酒井恒雄)

 皆様、明けましておめでとうございます。遅い新年の御挨拶となりました。

 ちなみに我が家は未だ初詣に行っておりません。子供が小さかったとき、無
理に混雑している場所に連れ出して、怪我でもさせたら良くないということで、
人出が少なくなった頃に初詣に行っていました。

 いつの間にか、それが我が家の定番となり、毎年1月の中旬頃に初詣に行く
ことになっています。登記申請ではありませんが、元旦から遅くとも2週間以
内に初詣に行かなければならないのでは?と思っていましたが、調べたところ
によりますと、節分の日までにお参りに行けばいいのだそうです。

 年初めには、この一年間はどういったカテゴリ―の仕事が多そうだろうか?
と予測をしてみたりします。

 偶然が続いているだけかもしれませんが、私の場合、例年1月に問い合わせ
が多かった案件が、その年を通しても件数的に多い傾向にあります。昨年は解
散の問い合わせが多く、実際に解散・清算結了の仕事の割合が多かった年でし
た。

 そして、何故か解散・清算結了が多い年は、組織再編関連の仕事が殆どない
年になります。この傾向も当たっており、昨年は強制的な?合資会社の種類変
更等を除き、純粋な組織再編はたったの2件でした。今年は組織再編に関する
問い合わせが多いので、どうやら組織再編のお仕事を沢山?させて頂ける年に
なりそうです。

 昨年一年間のブランクによる知識の劣化が懸念されますので、金子先生の書
籍を読み返して、頭にかかった靄(もや)を追い払っているところです。



2018.01.16(火)【年号~西暦と和暦~】
(東京・鈴木龍介)

 今年、初めての投稿です。本年もどうぞよろしくお願いします。

 今回は新年の話題にふさわしい(?)「年号」について取り上げてみたいと
思います。

 議事録や契約書には年月日を記載するわけですが、日本の場合は西暦と和暦
の2つの表記方法があります。つまり、2018年とするか、平成30年とす
るかということです。

 議事録等については、西暦と和暦のいずれを用いても構いませんが、登記の
世界-登記簿-では和暦で表記されます(調べていませんが、おそらく国内向
けの行政の文書は和暦表記だと思います。)。

 ちなみに、西暦で記載された議事録を添付した登記申請も問題なく受理され
ますが、登記をする際には和暦に引き直することになります。

 最近、特にこの年号の記載に関する質問が多くなった感じがしますが、やは
り背景としては新元号問題が大きいのかな思います。要は現天皇陛下の退位に
伴い来年の4月30日で現在の「平成」が終わり、5月1日からあらたな元号
になるというものです。

 そのあたりを踏まえて、年号をどう記載するのが妥当なのかという問い合わ
せですが、「これまでどおり和暦のままでもよいと思いますが、「気になるよ
うでしたら和暦と西暦の両者を併記-平成30(2018)年-してはいかが
ですか」的な回答をしています(法律的な正解はないですし、お好みでよいと
思っています。)。

 ただ、この和暦と西暦を併記した場合、紙面がかなりうるさい感じになるの
は否めません。

 一方で現場実務的には、年初はこの「年号」に注意する必要があります。何
気なく平成29年とか2017年と書いたり打ったりしがちです。恥ずかしな
がら、過去にこれで登記申請の補正になったことがありまして、自戒を込めま
しての注意喚起です。

 今回の「年号」の話題を書いていて、「元号」も面白そうなので、次回(来
週)は「元号」について取り上げたいと思います。


2018.01.15(月)【定款の空振り規定】(金子登志雄)

 存在・不存在と有効・無効また無益無効・違法(有害)無効は区別しなけれ
ばなりません。例えば、従業員に割り当てた新株予約権がその従業員の退職に
よって行使することができなくなっても行使することができないだけで、原則
として存在はします。消滅まではしていません。はずれ馬券も価値がないだけ
で馬券としては存在していますし、賞味期限切れの飲料も飲めないだけで存在
はしています。別の使い道があるかもしれません。

 会社法308条2項に「株式会社は、自己株式については、議決権を有しな
い」とありますが、これも正しくは議決権は存在するが、行使はできないと考
えるべきでしょう。

 新保さんのブログ(司法書士のオシゴト)に、無意味な端株原簿代理人が定
款に定められている間は登記上も廃止の登記ができないということが掲載され
ていましたが、これも定款には存在し無益無効だが、存在までは否定されない
ので登記も定款から廃止しない限り受理することができないという意味です。
いつか法令の改正で端株が復活するかもしれません。

 こういう存在までは否定されない規定を空振り規定といいます。

 したがって、監査役会設置会社が監査等委員会設置会社に移行しても、定款
に社外監査役の責任限定の規定を削除漏れしていたら、やはり、登記はそのま
まです。ひょっとして、そのうち監査等委員会を廃止して監査役会設置会社に
戻るかもしれません。

 よく問題とされるのが、取締役会を廃止したり解散を決議したのに、株式の
譲渡制限規定の「取締役会の承認を要する」を定款上そのままにした場合です
が、これも取締役会という部分が空振りして効力を有しないだけで、規定とし
ては存在しています。

 近い将来に取締役会を再設置したり、取締役会設置会社への会社の継続を決
議するかもしれませんので、常に定款変更義務があるとまではいえないでしょ
う。定款変更義務をいうなら、解散した場合に、定款の事業目的こそ清算目的
に変更すべきであり、これをそのままに譲渡制限部分だけ定款変更せよという
見解には賛同しかねます。


2018.01.12(金)【役員の退任と定款添付の要否】(金子登志雄)

 商業登記規則61条1項に「定款の定め又は裁判所の許可がなければ登記す
べき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなる申請については、申
請書に、定款又は裁判所の許可書を添付しなければならない」とあります。

 この規定を根拠に、定款の添付の要否が問題になることが少なくありません。
『事例で学ぶ会社法実務』の改訂作業の際も、あちこちで質問がありました。
今日はその中から、役員の退任と定款の添付の要否を取り上げましょう。

 1.辞任するとき、任期中であることを証明するため定款の添付が必要か。

 不要です。規則61条1項の定款の添付は「裁判所の許可書」と同等のもの
ですから、「辞任に定款の許可がいる」といわれたら、誰でも、まさかと思う
ことでしょう。また、任期中でなかったら、任期満了で退任済みなわけで、そ
れを任期中がどうか疑義があるから、辞任を認めないというのは、違法な登記
を残存させよというのに等しい結果になります。

 登記簿に役員として登載されている限り、任期中だという適法な推定が働い
ていると考えない限り、商業登記の存在意義がありません。取引の都度、任期
中の代表取締役であることを証明せよ、登記簿など信用できん、というのと同
じことです。

 2.議事録に「本総会終結をもって任期満了退任」と記載されていれば、こ
れをもって、退任を証する書面として扱われますが、「取締役Aは退任したの
で後任を………」程度の記載では、退任日を証明するため定款の添付が必要で
はないか。

 これはそのとおりです。ただし、商業登記法54条4項の退任を証する書面
として定款の添付が要求されるのであって、規則61条1項が根拠ではありま
せん。退任に許可などいるわけがないからです。

 というわけで、規則61条1項が根拠ではないため、定款の全文ではなく抜
粋でよいはずですが、著作に書こうと思って、先例を探してみましたが、みつ
かりませんでした。当然すぎるから、質問もなかったのでしょうか。


2018.01.11(木)【各自代表】(金子登志雄)

 会社法349条1項と2項に次のようにあります。
 1 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会
  社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
 2 前項本文の取締役が2人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社
  を代表する。

 では、代表取締役A、取締役Bの会社でBが辞任したとき、Aは1項本文の
各自代表になったといえるでしょうか。また、Aが辞任し、定款が取締役1人
を許容しているとき、Bに代表権付与が付与され、各自代表になったといえる
でしょうか。

 実は上記のような説明がよくなされています。しかし、私が著者で1種類の
株式しか発行していないのに普通株式というのはおかしい、工業高校や商業高
校があるから普通高校があるのだと書いたのと同様に、取締役が1人なら比較
対象がないのですから、「各自」代表というのは日本語としておかしいですね。

 そこで、今度の改訂版で「1人代表」と表現してみようと思いましたが、取
締役が1人しかおらず、比較対象もいないのに「代表」というのも誤解を招き
そうだなと思いやめました。

 この「代表」は会社の代表という意味で複数の取締役の代表という意味では
ありませんから、純法律的にはおかしくありませんが、平取締役もいないのに
代表とはどういうわけだといわれてしまいそうです。

 いまのところ「1人取締役体制」というのが最も実態に合っていると思いま
すが、面白味もなく、これでは流行りませんね。何かよい命名はありませんか。


2018.01.10(水)【仮想通貨】(島根・根来川弘充)

 皆様あけまして、おめでとうございます。

 昨年末にかけて、仮想通貨の価値が急に上がりました。今、すこし落ち着い
たようですが、それでも、当初の価値からは、ほど遠いものだと思います。

 まったくといっていいほど、無縁な私にとっては、「仮想」といわれる自体
で、一歩引いた目で見てしまいます。


 また、昔、「通貨」について、文献を調べたことがあるのですが、「通貨」
とは、流通や蓄財の手段であり、代替となる品の価値を示すものになっても、
それ自体、価値が無い物である、という趣旨の事が書いてあったと記憶してい
ます。

 価値のないものに、価値がついていくことは、まさにバブルであり、時代を
こえて、同じ事を繰り返しているようにも、思えてしまいます。

 年始にあたり、仮想通貨による詐欺事件が出てこないことを祈念したいと思
います。


2018.01.09(火)【本年も業務執行司法書士】(金子登志雄)

 遅くなりましたが、新年おめでとうございます。本日より、本欄を再開しま
すので、よろしくお願いします。

 年末年始は、それこそ眠っている時間以外の全てを、著書の改訂版に時間を
費やしていました。年末のNHK紅白も年初の初詣も、一切無関係にパソコン
とにらめっこしていました。

 改訂版は、東京司法書士協同組合編の『事例で学ぶ会社法実務〔設立から再
編まで〕』ですが、3年以上前の出版のため株主リストも本人確認証明書も入
っていないので、その後の論点を加筆し、旧論点を見直すためです。

 純粋の新著には意欲がわきますが、改訂版のような見直し作業は疲れるだけ
なので、いつも執筆にご協力をいただいている立花・幸先さんに丸投げして楽
をしたかったのですが、既に383頁もあり、これに新論点が加わると400
頁をはるかに超えるため、慌てて、既存の部分の一部をカットしたり、余白の
行を詰めたりと、空き領域の拡大に勢力を費やしていました。

 ここまでは楽な作業でしたが、この結果、図表が2つの頁に分裂するなどの
2次災害(?)が、あちこちで発生したため、このまま立花さん達にバトンタ
ッチするのは申し訳なく、私の仕事の美学にも反しますので、行数調整のため
数行の論点を新項目に加えたり、補足コメントなどを挿入しはじめましたら、
あれも必要だ、これも必要だで、とうとう、全面的に深入りしてしまいました。

 しかし、その甲斐あって、項目は3人で45%も増やしたのに、増頁は10
頁程度に抑えることができました。大成功でした。

 本年最初の出版になると思いますが、既存のものをお持ちの方も「全訂版」
にご期待ください。

 本年も、会社では監視役の監査等委員ですが、こと司法書士業務と執筆業務
では、業務執行司法書士で頑張ります。


過去徒然

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