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こんにちはESG法務研究会です

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ESG法務研究会は、合併再編等会社法手続きの実績は最大級!

TOPICS


1.最近の出版は次のとおりです。いずれも実務書であり、画像は本HPの左
 側の回転板あるいはアマゾン等で、ご確認ください。
 (1)『募集株式と種類株式の実務〔第2版〕』…………2014年5月発売
 (2)『親子兄弟会社の組織再編の実務〔第2版〕』……2014年7月発売
 (3)『「会社法」法令集〔第11版〕』…………………2015年3月発売
 (4)『「会社法」法令集〔机上版〕』……………………2015年5月発売
 (5)『改正会社法と商業登記の最新実務論点』…………2015年11月発売
 (6)『会社法務書式集〔第2版〕』………………………2016年3月発売
 (7)『組織再編の手続〔第2版〕』………………………2016年7月発売
 (8)『論点解説/商業登記法コンメンタール』…………2017年2月発売
  (9) 『商業登記実務から見た中小企業の株主総会・取締役会』
                       …………2017年4月発売
  (10)『総務・法務担当者のための会社法入門』…………2017年10月発売
 (11)『事例で学ぶ会社法実務【全訂版】』………………2018年4月発売
  (12) 『商業・法人登記360問』……‥‥‥‥‥………2018年5月発売
  (13)『事例で学ぶ会社の計算実務』………………………2018年9月発売
  (14)『商業登記実務から見た合同会社の運営と理論』…2019年2月発売

徒然日誌


2019.03.26(火)【戦後商法のあゆみ⑦ 昭和37年改正~その1~】

                          (東京・鈴木龍介)

 「戦後商法のあゆみ」の7回目は、昭和37年商法改正を取り上げます(少
々、長くなりますので2回に分けることにします。)。

1.背景等
 昭和30年商法改正は、いわゆる新株引受権問題の緊急措置的な側面があっ
たわけだが、その前後に商法、とりわけ株式会社法制の根本問題が議論されて
いた。

 具体的には、ⅰ)最低資本金制度、ⅱ)監査のあり方(重複監査)、ⅲ)株
式額面額の引き上げ、ⅳ)会社の規模区分等があげられるが、それとともに、
商法の計算に関する規定は、ほぼ明治32年商法制定時のままであり、昭和
24(1949)年に公表された企業会計原則や、昭和25(1950)年に
制定された財務諸表規則との矛盾やかい離が多く、その実効性が失われていた。

 そこで、法制審議会では、昭和33(1958)年3月から商法部会におい
て株式会社の計算に関する規定の見直しの検討を開始した。この商法部会には
会計学者も交えて審議が進められたところ、当初の予想に反し審議は難航した。

 そのような中、東京商工会議所、全国株式懇話会等の経済団体から改正に関
する意見が発表された。また、法務省民事局は、昭和35(1960)年8月
に「株式会社の計算の内容に関する商法改正要綱(法務省民事局試案)」を公
表し、大学や経済団体に意見照会を行った。

 この時代は、日本は世界に類をみない高度経済成長を遂げることとなり、そ
の象徴的な出来事として昭和39(1964)年の東海道新幹線開業(東京・
新大阪間)と東京オリンピックの開催があげられよう。

 この経済成長においては、神武景気・岩戸景気・いざなぎ景気という比較的
長期に渡る好景気が下支えをし、重化学工業化の進行に伴う設備投資が急拡大
し、企業の資金需要も増大した。その影響等から、大手銀行を中心とする企業
グループが形成され、グループ内でのⅰ)系列融資、ⅱ)株式の相互持合い、
ⅲ)系列商社を媒介とする取引などが活発に行われ、企業の安定的成長に寄与
したといわれている。世界に目を転じると、キューバ革命による社会主義国家
の成立(1959年)や、東ドイツによるベルリンの壁の建設(1961年)
など東西対立構造が先鋭化した頃である。

2.概要
 法制審議会は、昭和37(1962)年1月に商法部会において「商法の一
部を改正する法律案要綱案」を決定し、同年2月の総会において「商法の一部
を改正する法律案要綱」を決定した。

 当該要綱に基づく改正法案は同年3月に国会に提出され、4月に「商法の一
部を改正する法律」(昭和37年4月20日法律148号/以下、「昭和37
年改正商法」という。)が成立、昭和37年4月20日に公布され、昭和38
(1963)年に制定された「株式会社の貸借対照表及び損益計算書に関する
規則」(昭和38年3月30日法務省令31号)とともに、昭和38
(1963)年4月1日に施行された。

 なお、法制審議会の要綱に含まれていた計算書類の登記所での公開について
は、実施のための法務省の予算措置の関係から改正法案から除外された。これ
は、これまで法制審議会が答申した要綱を忠実に法案としていたことを踏まえ
ると特筆すべき点であったといえよう。
 ~続く~


2019.03.25(月)【イチロー現役引退】(金子登志雄)

 プロ野球のイチロー選手が現役を引退しました。スポーツには全く関心のな
い私も、体の重さを少しも感じさせずカモシカのように走るイチロー選手の姿
には神々しささえ感じてしまったものでした。

 45歳だそうですが、野球選手としては年齢的にもピークを過ぎていたこと
があきらかです。先般、引退した横綱の稀勢の里は32歳でしたから、相撲の
世界よりは寿命が長いとはいえ、45歳で定年退職とは(?)、寿命の長いわ
れわれ自由業の世界からは、申し訳ない気がしてしまいます。

 前に書きましたが、昨年の司法書士試験合格者の平均年齢は、38.77歳
でした。
   http://www.moj.go.jp/content/001272183.pdf

 つまり、学歴一切不問でインターンも不要なわが司法書士の世界は、転職に
最適な資格であり、受験生も年齢を重ねた人が多いということです。こうして、
司法書士の世界では、40代でも若手、50代は中堅、60代以上がベテラン、
70代でも80代でも健康であれば現役でいられるという年齢的には実にあり
がたい世界です。

 このありがたさは60代を超えると分かります。定年退職者(年金生活者)
の参加が多い平日における海外旅行のツアーに参加したりすると、同世代の私
がノートパソコンを持参している姿をみて、「あれ、まだ現役ですか」と羨望
の目でみられることが多いからです(私の錯覚で「まだ働かないと生活できな
いの? お気の毒に」とみられている可能性も否定できませんが………)。

 まだまだ若いイチロー選手は今後どう生きるのでしょうか。頭のよい人です
から、狭い野球界だけにとどまる方とは思えません。貴乃花同様に政治家への
勧誘も出てくるでしょうが、組織人よりもNPO法人を設立し何かなさるほう
が向いているでしょう。米国生活が長かったので、イチローの英会話教材でも
売り出せば爆発的に売れるかななどと馬鹿なことも想像してしまいました。

 今後の新しい人生におけるご活躍に期待しましょう。


2019.03.22(金)【解散した合同会社の継続後の業務執行社員】
                           (仙台・立花宏)

 2月に出版した拙著『商業登記実務から見た合同会社の運営と理論』(中央
経済社)ですが、おかげ様で、販売は順調のようです。ところで、今回の本の
内容は、おもに社員の変更の場面に焦点をあてましたが、他の部分についても、
引き続き研究を進めております。

 たとえば、合同会社の「業務執行社員」の登記は、解散の登記をしたときは
登記官の職権で抹消する処理がとられます(商業登記規則91条1項)。これ
にはどのような意味があるのでしょうか。

 株式会社(取締役会設置会社とする。以下、同じ)においても、解散した場
合には「取締役会設置会社」や「取締役」の登記は、登記官の職権で抹消する
処理がとられます(商業登記規則72条1項1号)。これと同じと考えてよい
でしょうか。

 株式会社が解散した場合に「取締役会設置会社」の登記が抹消されるのは、
定款に定めた取締役会に関する規定の効力が停止され(注1)、それを公示す
るためといえます。「取締役会設置会社」の定めを廃止する定款変更がなされ
たわけではないことに注意が必要です。

 一方、「取締役」の登記が抹消されるのは、在任していた「取締役」が解散
により退任するため、それを公示するためといえるでしょう。

 そのため、解散した株式会社が会社を継続した場合、定款の「取締役会設置
会社」の規定は効力の停止が解かれ、「取締役会設置会社」として事業株式会
社に復帰することになりますが、「取締役」については解散により退任済のた
め、継続にあたり、あらためて選任の手続が必要となります。

 では、「業務執行社員」を定款で定めている合同会社についてはどのように
考えることになるでしょうか。定款で定めた「業務執行社員」は、株式会社の
「取締役」と同じように解散により退任し、「業務執行社員」についての定款
規定は効力を失うことになり、会社を継続する場合は、同一人が「業務執行社
員」になる場合でも、あらためて定款に「業務執行社員」として定める必要が
あるのでしょうか。登記実務はそのように扱われているものと思われます(注
2)。

 しかし、定款で「業務執行社員」を定めている合同会社が解散した場合には、
清算人は「業務執行社員」の過半数の同意によって定めることができます(会
社法647条1項3号かっこ書)。これは、解散後、清算人を変更する場合で
も同様です(注3)。

 清算人の選任権限などは業務執行行為そのものではないため、清算持分会社
になってもその権限は存在し、行使することができるということだと思います。
つまり、定款の「業務執行社員」の定めは効力を失いませんし、解散した株式
会社の「取締役会設置会社」の定款規定のように効力停止状態となるわけでも
ないということです。

 解散すると合同会社は清算持分会社となり、会社の業務を執行するのは清算
人となります(会社法650条)。定款で「業務執行社員」と定められた社員
は会社の業務を執行する立場ではなくなります。「業務執行社員」の業務を執
行する権利・義務を行使・履行することができない状態になるので、取引の安
全の観点から、その状態を公示するために職権で抹消する処理がなされるとい
えるでしょう。

 そのため、解散した合同会社が会社を継続した場合は、定款の「業務執行社
員」の規定は引き続き有効であり、解散中に行使・履行することができない状
態となっていた「業務執行社員」の業務を執行する権利・義務が履行可能な状
態に復すると考えます。

 よって、登記実務の見解とは異なりますが、清算持分会社から事業持分会社
への復帰にあたり、あらためて、別の社員を「業務執行社員」として定めたい
という(総)社員の希望があるのであれば別ですが、会社の継続を決定しても、
(総)社員が特に「業務執行社員」の変更を望んでいないのであれば、あらた
めて「業務執行社員」を定める定款変更は不要と考えました。

 今回の本には掲載しませんでしたが、いつの日か、こうした社員の変更以外
の部分もなんらかの形でまとめてみたいと思っております。

 注1)金子登志雄ほか『事例で学ぶ会社法実務全訂版』(中央経済社)
   295頁以下
 注2)松井信憲著『商業登記ハンドブック第3版』(商事法務)
   720頁の注1
 注3)松井信憲著『商業登記ハンドブック第3版』(商事法務)713頁


2019.03.20(水)【ハラスメント】(藤沢・酒井恒雄)

 先日、労働法関連のセミナーに参加してきました。寝不足気味でしたので、
後方の席でゆったりと講義を聴こうと会場に入ったのですが、少人数のグルー
プに分かれてワークをする形式のセミナーであることが判明し、一気に眠気が
飛んでしまいました。

 おかげさまで、ほどよい緊張感の中、「仕事とは何か?」といった、法律の
範疇に収まらない、労働の本質に関する議論もできて、とても良い勉強になり
ました。その中でハラスメントの話しになったのですが、セクハラ、パワハラ
等、ハラスメントという名がついている問題行為の種類は、今や40種類以上
あるらしいです。

 そんなハラスメントの一つの類型として、「ブラハラ」というのがあるそう
ですが、皆さん、ご存じでしたか?

 ブラック・ハラスメント? ブライダル・ハラスメント? 同僚とのお酒の
席で、このクイズを出したときは、「ブラ」という言葉のせいで変な方向に連
想が進んでしまい、危うく別のハラスメントになるところでした。

 正解は「ブラッド・タイプ・ハラスメント」です。血液型で人の性格等を決
めつけてしまうハラスメントです。あなたO型でしょ?大雑把な感じだもんね。
やっぱりA型か。どうりで話しが細かいと思った。AB型の人って、二重人格
だよね。酒井さんB型でしょ?人の話し聞いてないもん・・・。

 といった感じで、確かに、悪意のある言い方をすれば、相手が不快になる可
能性があります。ちなみに私はB型なので、前述のように言われてもハラスメ
ントとは感じません。それがB型なのです。しかし、こういう言い方も、私以
外のB型の人に対するハラスメントになるのかもしれません。なかなか難しい
ですね。

 ただ、セミナーの講師も、なんでもハラスメントとして捉えることの危険性
を説いていました。当たり障りのない会話だけでは、良い人間関係は作れませ
んよね。

 あれはダメ、これはダメと、タブーが増えることに比例して、コミュニケー
ションが希薄になって行く危険性も増えるかと思います。委縮してコミュニケ
ーションが取れなくなる方が、より深刻な問題になると思うのですが、どうな
のでしょうか・・・・・。


2019.03.19(火)【戦後商法のあゆみ⑥ 昭和30年改正】
                         
(東京・鈴木龍介)

 2回ほどお休みをしましたが、今回は「戦後商法のあゆみ」の6回目として、
昭和30年商法改正を取り上げます。

1.背景等
 昭和26(1951)年9月に調印されたサンフランシスコ平和条約が翌年
の4月に発効したことで、日本は連合国軍最高司令官司令部(GHQ)の占領
下から主権を回復した。また、昭和25(1950)年に勃発した朝鮮戦争に
おいて、日本はその物資の補給基地となったことから、いわゆる「朝鮮特需」
という好景気が訪れ、戦後復興の大きな足がかりとなった。

 昭和27(1952)年8月の行政機構改革により、法務府は法務省と改称
され、機構の大幅な整理が行われた。具体的には総裁・長官制は廃止され、他
の省と同様に法務大臣を長とし、その下に事務次官が置かれ、法制に関する事
務を所掌した法制意見各局を内閣に移管し、大臣官房のほか民事局・刑事局・
矯正局・保護局・訟務局・人権擁護局・入国管理局の7局体制となった。

2.概要
 昭和25年商法改正の審議では、株主の新株引受権の取扱いについて紛糾し
たが、一種の妥協ともいうべきかたちで、原始定款の定めにより株主の新株引
受権を付与・制限・排除をすることとし(昭和30年改正前商法166条1項
5号)、あわせてそれを登記事項とした(昭和30年改正前商法188条2項
1号)。ただし、当該定款の定め方については多くの疑義が生じ、実務は相当
に混乱をきたすこととなった。

 その手当として、法務府は登記の面から定款の定め方、すなわち登記事項の
取扱いにかかる通達を発出した(昭和26年7月5日民甲1435号通達(法
務省民事局編『登記関係先例集 下』(テイハン、1955年)2407頁~
2408頁))。当該通達により実務における混乱は収束するかに見えたが、
示された定め方の内容等の不備の指摘とともに、行政権による法形成であると
いう批判が噴出した。

 そこで、法務省は昭和27(1947)年12月に各方面に新株引受権問題
を含む商法の改正にかかる照会を行い、そのうえで昭和29(1949)年7
月に法務大臣から法制審議会に商法改正の諮問がなされ、法制審議会の商法部
会で検討が開始され、昭和30(1950)年1月には法律案要綱仮案を公表
した。

 なお、その直後に電気化学工業事件(東京地判昭和30・2・28下民集6
巻2号361頁)において、当該通達で有効なもの、かつ実務でも多用されて
いた定めを無効とする判決が出され、実務に大きな衝撃を与えることとなった。

 対応を急いだ法制審議会は、昭和30(1950)年3月に改正法律案要綱
を答申し、同年5月に国会に法案が提出され、新株引受権問題に対応する改正
である「商法の一部を改正する法律」(昭和30年6月30日法律28号/以
下、「昭和30年改正商法」という。)が成立、同年6月30日に公布、翌日
の7月1日に施行された。

3.商業登記に関する規律
 昭和30年改正商法では、問題の新株引受権に関する事項を定款の絶対的記
載事項からはずし、登記事項からも除外(昭和30年改正法前166条1項5
号・188条2項1号参照)するとともに、新株引受権に関する事項の決定に
ついては、別段の定めがない限り、取締役会で行うこととされた(昭和30年
改正商法280条ノ2第1項5号)。

 また、株主以外の第三者に対し新株引受権を与える場合には、既存株主の保
護の観点から株主総会の特別決議を要することとされた(昭和30年改正商法
280条ノ2第2項)。

 一方で、この新株引受権問題の影響を最小限にとどめるため、昭和30年改
正商法施行前に定めた新株引受権に関する定款の不備については、会社の成立
や新株の発行等の効力を妨げないという措置が講じられたこと(昭和30年改
正商法附則3項)は特筆すべきであろう。

~参考文献等~
・秋坂朝則『商法改正の変遷とその要点(新訂版)』(一橋出版、2006年)
 47頁~50頁
・浜田道代「新株引受権騒動への緊急対策―昭和30年改正―」浜田道代編
 『日本会社法の歴史的展開』(商事法務、1999年)292頁~300頁
・鈴木竹雄=竹内昭夫『商法ととともに歩む』(商事法務、1977年)
 197頁~211頁
・味村治ほか「座談会 戦後の会社法改正事情(上)」
 商事法務No.1229(1990年)12頁~19頁


2019.03.18(月)【合同会社と株式交換】(金子登志雄)

 立花著『商業登記実務から見た合同会社の運営と理論』は発売後1か月経過
したため、そろそろ売行きが減少するかと心配でしたが、おかげさまで、まだ
順調でした。法律実務書ですから、売れているといっても、数百冊レベルにす
ぎませんが、これで出版社にも顔向けすることができますので、著者の立花さ
んも監修者の私もやれやれといったところです。 

 ちょうど、新日本法規や商事法務からも合同会社本がほぼ同時期に出版され
ましたので、相互に宣伝しあう関係になっているのがよい結果を産んでいるの
かもしれません。決して相互につぶしあう関係ではなく、それぞれ読者ターゲ
ットも特徴も違いますので、中には3冊とも購入したという方もいらっしゃる
のではないでしょうか。

 これらの結果、今後ますます合同会社のニーズが高まるかと思いますが、本
欄2月8日(金)古山さんの「合同会社を完全親会社とする株式交換」は衝撃
でした。そこにある原典の司法書士ブログとは、外国会社に強いことで司法書
士の間で著名な草薙司法書士による下記です。
 http://shoshi-kusanagi.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-8c64.html

 この規定は直ちに改めるべきでしょう(法務省令ですから改正は難しくあり
ません)。第1に、第三者間の株式交換では高額な資本金になります。第2に、
同一企業グループ間では効力発生日の子会社の簿価純資産額が正確に把握でき
ないため、即座の登記申請に支障が生じます。そのため、せっかく制度があっ
ても、現実には合同会社が完全親会社になる株式交換は無理だからです。

 株式会社同士の株式交換でも、税法では無対価株式交換の存在を認めながら、
会計処理に関する会社計算規則には規定を欠くなどの問題があり、株式交換の
会計処理の規定の整備は焦眉の課題だと思っています。


2019.03.15(金)【取締役会への出席権】(金子登志雄)

 またもや、ゴーン問題で恐縮ですが、本日の内容は、会社法実務に関連した
ものですので、ご了承ください。

 さて、日産ゴーン氏は弁護士を同行させるとまで提案して取締役会への出席
を求めましたが、西川社長の日産(と検察)が強硬に反対したためか、地裁は
出席を認めませんでした。他の取締役に圧力をかけて証言を拒絶させたりする
恐れがあるとでも判断したのでしょうか。弁護士が同行するのに………。

 日産の経営執行部の対応には情けない思いでした。国際的大企業の役員であ
るにもかかわらず、鶏小屋に狼を入れないでといったようなことを裁判所に求
めることは、日産には、鶏並みのひ弱な取締役ばかりだと世間に公表したのと
同じことになるという感覚はなかったのでしょうか。

 また、株主から選任された取締役の出席権を現経営執行部に反対する権限は
ないはずです。会社は株主のもので、一部の経営者のものではありませんし、
これが可能なら、取締役会決議が一方に偏ってしまいます。

 現状では孤軍奮闘のゴーン氏のほうが、下手に出席して袋叩きにあわないか、
議長に発言中止を命じられないか、警護の者につまみ出されないかなどの不安
が大きいことでしょう。それにもかかわらず、株主から委託された取締役の責
務として取締役会に出席したいという正々堂々とした彼の態度の方を私は評価
してしまいます。

 それにしても、取締役の取締役会への出席権というのは、この程度で否定さ
れるほど脆弱なものなのでしょうか。この問題、会社法や商業登記の論点にも
なります。

1.議案の特別利害関係人とされたわけではないため、例えば、取締役が3名
 又は4名の会社で、1人が病欠、1人がゴーン氏だったら、取締役会自体が
 不成立になりますが、それでよいのでしょうか。地裁が出席禁止にしたら、
 定足数からも除外するような法改正は不要でしょうか。

2.取締役が5人で、ある議案につき、ゴーン氏が出席すると3対2で可決す
 る場合も2対2で可決しないことになり、やはり裁判所がここまで会社の経
 営に口出ししてよいのでしょうか。

 そこで私は、保釈条件の監視カメラをヒントに、妥協点として、電話又はテ
レビ会議出席なら裁判所も認めてくれるかと考えましたが、以下のとおり、こ
れも難題が多々ありました。

 登記で認められている電話会議などは既に取締役会がそれでなされた後に、
この会議は有効だと認めたものであって、これから取締役会を開催する際に、
取締役の1人が電話参加にしたいと要求すれば認められるものかについては、
どこかに解説はあるのでしょうか。

 取締役会の招集通知に、その旨の肯定が記載されていないと不可なのか、会
議参加者の過半数が賛成すれば、それによることができるのか、あるいは、そ
れによらねばならなくなるのか、単に議長の議事進行権の問題であって、議長
1人の判断に委ねられるのか。

 病気の取締役が病院にいたままで電話会議方式で出席したいといった場合に、
議長は不可といえるのか、不可とした場合に取締役の出席権妨害として決議無
効にならないのか……等々、検討課題がたっぷりありそうですが、現段階では、
学者さんも、そこまで検討していないでしょう。ゴーン事件の派生効果として、
ぜひ、活発な議論や論文をお願いしたいところです。


2019.03.14(木)【新たな制度による定款認証】(東京・古山陽介)

 公証人法施行規則の改正後、株式会社や一般法人の設立登記の依頼がなく、
改正から4か月がたって、ようやく新たな定款認証制度による定款認証手続き
を利用しました。

 昨年の11月15日(改正前)に投稿したものの、実際に手続きを行ってい
ないので、どのような運用がなされているのか気になっていました。

 昨年の11月15日の記事でも書かせていただきましたが、一見、そんなに
手間が増えるようには感じないのですが、やっぱり実際のところそうでもない
という感じを受けました。

 公証人によって取り扱いが異なるのでしょうが、定款の内容を事前に確認し
てもらうタイミングで申告書を提出したところ、従来よりも回答に時間がかか
るようになったように思います。

 また、定款に記載する発起人の住所氏名については、本人確認書類の住所氏
名にマンション名が入っていた場合、その通りに定款に書くよう求められたり、
でも印鑑証明書にマンション名が入っていなければ、印鑑証明書と同じでもよ
いとか、以前よりも発起人の住所氏名については、注意を払う必要があるよう
な気がします。

 そして、認証手続きの場面でも、これまでよりも時間がかかりました。おそ
らく定款認証時に発行される「申告受理証明書」の作成が増えたことによるも
のだと思います。(嘱託人からの希望があった場合とされておりますが、要否
を確認されることなく発行されると思います。)

 この証明書には、確認時に提出した申告書、本人確認証明書(免許証の写し)、
認証時に持参した発起人の印鑑証明書の写しが綴られて交付されます。

 また、公証人による定款の認証文言にも実質的支配者の氏名とその者が非該
当であることを申告した旨が記載されています。

 個人的には、定款の認証文にもこのような文言が記載されるのであれば、電
子認証の場合には、わざわざ紙で証明書を発行するのではなくデータで入れて
もらえたほうが一体性があるようにも思ったりもします。

 設立手続きの迅速化を掲げながら、手間や時間が以前よりもかかっているよ
うに感じるのは私だけでしょうか。


2019.03.13(水)【狼少年の話】(藤沢・酒井恒雄)

 狼少年の話をご存じでしょうか? 狼が来たぞと、村人たちに繰り返し嘘を
ついていた少年が、ある日、本当の狼が来たときに信じて貰えず、痛い思いを
するという話です。嘘ばかりついていると、誰も信用してくれなくなるという
教訓が示されている、代表的な童話です。

 この狼少年が辿る結末なのですが、私は、少年が狼に食べられてしまったと
記憶していました。しかし、原作は、少年が飼っていた羊が、全部狼に食べら
れてしまったという結末なのだそうです。

 自分が間違えて覚えていたのかと思いきや、日本で翻訳された本の多くが、
少年自身が食べられてしまうという結末になっていることが分かりました。し
かし、最近は、ほとんどの本が、原作どおりの結末になっているようです。原
作とは結末を変えて訳した意図は、子供達の心に響くようにと工夫した結果な
のではないかと思います。

 自分の羊が食べられてしまったという、財産的な痛みよりも、自分が食べら
れてしまうという、身体的な痛みの方が想像しやすいですよね。

 閻魔大王様しかり、嘘をつくと舌を抜かれてしまうと聞いたほうが、子供と
しては、嘘はつくまいと強く思うのではないでしょうか。

 もっとも、そういった話しで教えられなくても、人生において嘘をつくこと
のデメリットを理解できる子には、普通に説明すればいいことなのかもしれま
せん。ただ、自分には効果があったことは確かです。

 恐怖心を煽って子供を律することは、時代錯誤になってしまいますが、私は、
フィクションの恐怖と、ノンフィクションの恐怖とでは、恐怖の質が違うと思
っています。

 悪く言えば、脅しということになるのですが、脅しにも良質なものと悪質な
ものがあるように思うのです。

 もちろん、体罰や虐待、ハラスメントの問題が大きく影響していることは理
解しています。また、子供に危害を加える事件を起こした親が、決まって「し
つけのつもりだった。」と言い訳しますが、その考え方と紙一重になってしま
うのかもしれません。

 とはいえ、読み聞かされた童話の結末が原作どおりだったら、狼少年の話を
知っているかと聞かれたとき、なんとなく覚えているけど、どんな話しだった
かな?と今の自分は答えているではないかと思っています。


2019.03.12(火)【新刊『商業登記実務から見た合同会社の運営と理論』】
                         
(東京・鈴木龍介)

 本コーナーでも何度か取り上げられていますが、遅ればせながら立花宏さん
著による『商業登記実務から見た合同会社の運営と理論』を入手いたしました
ので、解説者的?に紹介したいと思います。

 まず、本書の構成は、以下のとおり全7章で、Q&A+解説(全139問)
という形式をとっています。
 第1章 合同会社とは
 第2章 社員の変更
 第3章 業務執行社員
 第4章 代表社員
 第5章 職務執行者
 第6章 計算
 第7章 資本金の額の減少・債権者保護手続

 次に、本書の特徴として、1つ目は、“はしがき”にもあるとおり、合同会
社の運営に着目した点です。合同会社の運営に関しては、株式会社と異なり、
法令の規定は少なく、実務の蓄積もほとんどないのが実情です。また、持分会
社の特色である、組合的な自由な運営の許容といっても、果たしてどこまで認
められるのかという点はいつも、ひっかかります。そこで必要になってくるの
は、もう1つのキーワドともいえる「理論」です。理論に裏打ちされた指針は
大変、実務を展開するうえでは有用であるといえます。

 2つ目は、合同会社の計算にかなり注力されている点です。これまでの合同
会社本では、この部分に目をそらしていたような気がします。そこに切り込ん
だ勇気に拍手です。合同会社の実務に携わるうえでは、この計算にプラス税務
面がしっかりカバーできれば合同会社の利用への不安がかなり低減されるよう
に思います。

 3つ目は、立花さんらしく、しっかりと過去の文献等を踏まえたうえで(凡
例ベースで、私が執筆等に携わった書籍も4冊掲示いただいております。感謝
です。)、おそらく監修者の金子さんや協力者の幸先さんとの激しいやりとり
を交え、一定の結論を導き出されたものと思われます。

 本書では、あえて組織再編(含む解散・清算)には触れられていませんが、
実務でも登場してくるケースがポツポツでできておりますので、続編として、
そのあたりにチャレンジいただければと思っております。

 以上、お奨めの1冊ということで、ご紹介させていただきました。

『商業登記実務から見た合同会社の運営と理論』 
  https://is.gd/4EQQuk



2019.03.11(月)【武器対等の原則】(金子登志雄)

 ゴーン事件につき、証拠隠滅などいくらでもできることになるので保釈すべ
きではなかったという意見もあるようですが、それは有罪を前提とした取調べ
側の論理であり、検察対被告人が対等に戦うにはゴーン氏側にも十分に防衛の
準備をさせなければ不公平だというのが近代法の基本ルールです。

 民事訴訟では当事者平等主義とか、武器対等の原則といいますが、刑事訴訟
でも同じでしょう。そもそも、捜査は警察の役割で、法廷で検察官と被告人が
対等に戦うのが刑事訴訟の基本ルールですが、地検特捜部は、検察が直に捜査
しますので、この点でも平等とはいえない部分があります。

 念のため、用語の使い方を確認するためネット検索しましたら、武器対等の
原則は、いまでは刑法の正当防衛の相当性を判定する概念として用いられるこ
とのほうが多いことを知りました。素手で攻撃されたのにバットで応戦したら
正当防衛になるのかなどといった際に使うようですが、昭和の時代には、この
概念は使われていなかったと思いますので(?)、勉強になりました。

 ゴーン氏側からいわせれば、突然、相手陣営に監禁されただけでなく、マス
コミで盛んに人格攻撃や有罪確定の機運を盛り上げられているのに、何の反論
(正当防衛)の機会も与えられていなかったわけですから、ボクシングに例え
れば、リングに上がる前に手足を縛られたまま相手方から執拗に弱点を調べら
れ、審判や観客にもゴーンは悪い奴だから、決して応援してはならないという
印象操作をされているわけです。

 少なくとも、今後の報道や法廷においては、公正なガチンコ勝負をみせてほ
しいものです。

 なお、先週金曜日の本欄で「ゴーン氏保釈は弘中弁護士の功績」のように書
きましたが、保釈に関しては高野隆という弁護士のアイデアだったようで、訂
正いたします。一般的には聞きなれない名前ですが、刑事事件の弁護人として
は、3本指にも入るほど有能かつ著名な方のようです。映画の宮崎駿監督に似
た風貌でしたので、私も、しっかりインプットいたしました。
          https://is.gd/w9nHwf


2019.03.08(金)【ゴーン事件新展開】(金子登志雄)

 気掛かりだった日産のゴーン氏がやっと保釈されました。国際的には信じが
たい108日間の長期拘束でしたが、よく耐えたものです。保釈については、
大鶴弁護士から弘中弁護士に代わったのが、よい結果を産んだのだとか。

 大鶴氏は、あの総理大臣一歩手前だった小澤氏を狙い撃ちし、民主党政権に
大打撃を与えた当時の東京地検特捜部の幹部の方でしたから、私には徹底して
権力側の人という印象しかないため、なぜ、無罪を主張するゴーン氏が大鶴氏
を弁護人に選んだのか理解することができませんでした。

 特捜部の手の内をよく知り、現特捜検事の先輩格の人を弁護士にしたほうが
有利だという計算だったのかもしれませんが、情状酌量を認めさせて量刑で交
渉するなどでは能力を発揮してくれるでしょうが、白か黒かという古巣との徹
底抗戦には限界があろうと思っていたからです。

 大鶴氏もゴーン氏のために最大限の努力をはらったであろうこと私も認めま
すが、検事の中の検事さんでしたから「慣例からして保釈になるはずはない」
と思い込んで保釈を請求した部分もあろうと推測してしまいます。

 この点、検事経験のない弘中弁護士は、こんなことで保釈されないのは常識
的におかしい、そんなに疑念があるなら監視カメラ付きでもよいから認めたら
どうかという世間一般の目線で臨んだのではないでしょうか。これでは裁判所
もノーとはいえません。

 弘中氏は、前記の小澤事件やロス疑惑の三浦事件のほか、大阪地検特捜部が
証拠を改ざんしてまで有罪にこだわった郵便不正事件の厚労省の村木厚子さん
冤罪事件(当時の民主党石井一氏を最終目的にした前座の事件とみられていま
した)など、困難な事件を常識的な目でひっくり返すのが得意な方ですから、
今後の活躍に期待してしまいます。

 ネットでの検索によると、相変わらず、特捜部か日産によるリークと思える
ゴーン氏への人格攻撃が激しいですが、やっとゴーン氏も反論の機会を与えら
れることになりました。米国で入院予定だったのに「重要な役員会だから必ず
出席してほしい」と懇願され、仕方なく病気を押して来日した途端に騙し撃ち
逮捕されたケリー前代表取締役も反撃を始めることでしょう。2人とも、さぞ、
日本及び日本人に対して恨みを覚えているでしょうが、遠慮なく、思いの丈を
語ってほしいものです。

 有価証券報告書不実記載という罪ですが、最近のものは社長の西川(さいか
わ)氏が提出者なのに、彼は罪に問われていないだけでなく、ゴーン批判はと
どまるところをしりません。ゴーン氏に認められて年棒5億円の社長になった
のですから、もう少し控えたらいかがかと思えてしまいます。
 
 今のところ、私の印象は、本件は、単なる役員間の内紛なのに、社内で解決
せずに特捜部や経産省まで巻き込んでしまい大火事に発展した事件というもの
ですが、ゴーン氏とケリー氏の反撃で、真相が明らかになるでしょう。

 そのために被る日産やルノーの信用棄損による損害額はゴーン氏らの報酬額
の何倍にもなるでしょうが、中世並といわれる日本の司法制度が少しでも改善
され、フェア(公平)であることが重視される普通の社会になるためには必要
なコストとして負担してもらうしかありません。


2019.03.07(木)【成年後見制度】(仙台・立花宏)

 春らしい陽射しのある、暖かく穏やかなある日の午後のことでした。私は、
事務所の近くの公園のベンチに腰かけ、仕事の合間の息抜きをしていました。

 その時、ある女性が遠慮がちに声をかけてきました。その女性は、毎日のよ
うに、高齢の女性に寄り添い、その公園を散歩していらっしゃる方でした。公
園でよく顔を合わせるため、何度か挨拶を交わしたことがあり、顔見知りとな
っていました。高齢の女性はその女性の母親で、いつも穏やかな笑顔をされ、
母娘で公園を散歩するのを幸せそうに楽しんでいらっしゃいました。

 女性は、誰からか、私が司法書士であることを聞いたらしく、話をしてみよ
うと思ったようです。女性はかつて、関東の方で会社勤めをしていましたが、
高齢となった母親が一人で生活するのが心配なため、勤めていた会社をやめて、
現在は公園の近くの実家で母親と同居しているとのことでした。

 母親の配偶者は数年前に亡くなり、身寄りはその女性のみだそうです。ご相
談の内容は、母親の所有する不動産の売却のことでした。その不動産は母親の
実家で、その母親が、亡くなった父(女性から見たら祖父)から相続したもの
だそうです。

 所在地は仙台から車で1時間ほどの町です。相続後、特に利用する予定もな
かったため、売却しようとしたこともあったそうです。しかし、人口流出の進
んでいたその町では買い手もつかず、年に何度か手入れをしに行くことはあっ
たようですが、結局、何の利用もしないままになっていたそうです。

 しかし、最近、その町も再開発が進み、周りに農地が広がっていた母親の実
家のあたりも住宅地になりつつあるようです。そうした状況からか、ある不動
産会社が、母親の実家を売ってほしいと依頼してきたそうです。女性は、会社
勤めしていた際にためた貯金がある程度あり、現時点で金銭的に困っているわ
けではないそうですが、今後の母親との同居費用のことを考えると、ありがた
いことだと思ったこと、また、手入れに行くことも負担に感じていたことなど
から、話を進めたいと思ったそうです。

 ただ、問題が生じました。話を進めるための打ち合わせのために、その不動
産会社の担当者が女性の自宅に来られた際、母親の状況を見て、不動産の売買
をするためには成年後見制度を利用を検討してほしいと依頼してきたのだそう
です。そして、次回の打ち合わせの際、専門家を連れてくると言って帰ったと
いうのです。

 女性は、成年後見制度がどういうものか、まったくわからないため、どのよ
うな制度なのかを教えてほしいと私に言いました。具体的なご相談というより
は、成年後見制度について知りたかったこと、そして、今度、専門家を連れて
くると言われて不安になり、誰かに話を聞いてみたいと思ったのでしょう。

 私は簡単に制度の概略を説明し、もし、不動産会社の対応等に不安があれば、
いつでも連絡をください、とお伝えしました。

 その女性は、少し安心したのか、私に感謝の言葉を告げ、お礼(報酬)の支
払いをしたいとおっしゃいました。私は、「とんでもない」と丁重にお断りし
ました。一般論をお話しただけですし、なにもお役に立ったわけではないから
です。女性は恐縮しながらも、母親と一緒にあらためて感謝の言葉をかけてく
ださいました。別れ際の母親の穏やかで、幸せそうな笑顔が印象的でした。

 二人が去ったあと、私には迷いが生じていました。女性の母親の様子をそれ
ほど良く見たわけではないので、成年後見制度を利用しなければならない状態
なのかどうかも判断がつかなかったこともあります。そして、二人を見た印象
にすぎませんが、現時点では特に生活に支障があるわけではないように思いま
した。にもかかわらず、不動産を売却するために成年後見制度を利用すること
になった場合、おそらく、今後、ずっと制度を利用し続けることになるでしょ
う。はたして、それが二人にとって幸せなことなのだろうかと。

 日本は今後、ますます、高齢化社会になるといわれています。成年後見制度
もニーズが高まっていくことでしょう。司法書士として、この制度をもっとも
っと理解していかなければならないと思った出来事でした。


2019.03.06(水)【解散と設立日】(藤沢・酒井恒雄)

 解散登記の依頼があると、会社の設立日はいつだったのかが気になってしま
います。事前の調査で、登記事項証明書、あるいは登記情報を取得しますが、
つい設立の年月日に目が行ってしまいます。

 先日、解散登記の依頼があった会社の登記情報を見たところ、設立日が、自
分の誕生日の3日後でした。ふと、自分が重ねてきた約50年間の日々と重ね
合わせて見てしまい、様々な思いを巡らせてしまいました。

 もっとも、会社(法人)は誕生から直ぐに事業活動をしますから、設立時は
もう大人なのだと考えると、自然人であれば70歳くらいの人生だったという
ことになるでしょうか。会社勤務であれば、定年退職後の再雇用の期間も終わ
ったくらいの時期でしょう。

 自然人の人生なら、社会貢献活動をしたり、好きなことをして過ごすなど、
いわゆる第二の人生が始まるときです。その点、自然人と違って、法人は酷で
すね。営利会社が、そのまま非営利の組織にシフトする訳には行きませんから、
会社自体は消滅せざるを得なくなります。

「存在しているだけ、それだけでいい。」なんて言って貰えません。

 自然人と違い存在目的が決められているのだから当然のこととはいえ、冷酷
な話しのようにも思えます。会社の生存率は、設立から10年後には5~6%
になっているようですから、数十年間も生きてきた会社には逞しさを感じます。
果たしてきた役目や、その存在感も大きかったでしょうから、そんな会社が消
滅してしまうとなると、なんとなく寂しい気持ちになってしまいます。



2019.03.05(火)【登記のAI化?会社の登記業務参入?】(東京・鈴木龍介)

 今回は「戦後商法のあゆみ」をお休みにしまして、産業競争力強化法の、い
わゆるグレーゾーン解消制度による照会・回答―「利用者が本店移転登記手続
に必要な書類を生成できるWEBサイトを通じたサービス等の提供について」
―を取り上げたいと思います。もともとの情報開示は結構前ですが、最近知っ
たもので・・・(みなさんはご存知でしたか?)

      https://is.gd/fXmNNh

 その概要としては、会社がWEBサイトを通じたサービス上で、利用者に本
店移転登記手続に必要な書類を洗い出すための質問に対し、利用者の判断で回
答させ、一義的な結果を表示し、利用者が入力した情報を自動的に本店移転登
記の書類として生成すること、加えて生成した書類を代行印刷し、登録免許税
として本店移転登記に必要な額の収入印紙を同封し、利用者に送付することは
司法書士法3条2項2号(注)の業務に該当するかどうかの照会に対し、所管
官庁である法務省は個別の事案において利用者からの依頼に基づき個別具体的
なアドバイスをするようなものでない限り、可能であるとの回答をしたという
ものです。なお、照会と回答の詳細は以下をご参照ください。

 「法務省―産業競争力強化法第7条第3項の規定に基づく回答について」
   http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00354.html

 最近はいろんな分野でAIですとか、○〇テックというのが流行っている感
じですが、いよいよ登記にも登場ということになるのでしょうか?

 みなさん(特に司法書士の方々)は、この件についてどう、お考えになりま
すでしょうか?

(注)
司法書士法 第3条(業務)
 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲
げる事務を行うことを業とする。
 一 登記又は供託に関する手続について代理すること。
 二 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電
  子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない
  方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供される
  ものをいう。第四号において同じ。)を作成すること。ただし、同号に掲
  げる事務を除く。
          ~以下、略~


2019.03.04(月)【2月22日】(島根・根来川弘充)

 島根県では、2月22日を竹島の日と定めており、県内では、大分定着して
きた感がでています。

 しかし、残念ながら式典が行われる松江市内では、物々しい警備で、近くの
官公署にいくのもかなり大変です。

 ところで、県内では物々しいのですが、全国のニュースではあまり取り上げ
られないような気がします。

 尖閣や北方領土の問題が、つい最近まで取り上げられ、レーダー照射の問題
など、国防の問題がつい最近まで、頻繁にとりあげられていたと思うのですが、
一体この差は何なのだろうと、ふと思いました。

 この文章を書いている当日、米朝首脳会談があまり成果がなかったというニ
ュースを見ました。

 つい最近までミサイルの驚異を感じていたことを考えると、いつでもまた、
あのような時に戻るのではないかと思います。

 外交問題を武力なく解決することができる時代が一日でもはやく来ることを
願いたいと思います。


2019.03.01(金)【設立時代表取締役の選定根拠規定】(金子登志雄)

 会社法で役員とは「取締役、会計参与、監査役」のことで役員等という場合
は会計監査人も加わります(329条)。役員を選任するときは株主総会の定
足数の緩和に限度がありますが(341条)、会計監査人にはありません。

 では、代表取締役は役員ではないのでしょうか。会計監査人と同様に定足数
に制限なく株主総会で代表取締役を定めてよいのでしょうか(念のため、後段
の問題意識は私のオリジナルではなく、広島の幸先さんです)。

 そんなことはあり得ないと思うでしょうが、理由を説明せよといわれると困
る方も多いことでしょう。理由は、代表取締役は取締役の一種だからです。代
表取締役の定義は「株式会社を代表する取締役」ですが(47条1項)、会社
を代表する役割を持った取締役が代表取締役という意味で、代表取締役も取締
役として役員であることに変わりがありません(注)。

 したがって、株主総会の決議で代表取締役を選定する際の原則的根拠規定は、
「役員は株主総会の決議によって選任する」という329条1項になります。

 349条3項にも「株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款
の定めに基づく取締役の互選又は【株主総会の決議によって】、取締役の中か
ら代表取締役を定めることができる」とありますが、確認規定だといえます。

 以上は前書きでして、同じことは設立時代表取締役にもいえ、非取締役会設
置会社の発起設立における設立時代表取締役の選定根拠規定は「設立時役員等
の選任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する」とある41条1項です。
定款や、定款の定めに基づく設立時取締役の互選で選定することができるのは、
定款に任意規定を認める29条です。

 ところが、松井ハンドブック3版70頁には「取締役会を置かない会社にお
いて、各自代表とせず、設立時取締役の中から設立時代表取締役を選定する方
法については、明文の規定がない(法47条1項参照)」とあります。相澤哲
ほか編著『論点解説 新・会社法』39頁を前提としたものと思われ、いわば
定説化されています。しかし、設立時取締役がAとBで、2人とも各自代表な
ら41条1項だが、AとBのうちAだけを代表取締役と定める(Bから代表権
剥奪する)のは41条1項ではないとでもいうのでしょうか。

 定説は、会社成立前は発起人が設立事務一切を取り仕切る権限を持っている
のだから、定款に定めがない限り発起人が選定することになるという流れで説
明するのですが、これでは、40条1項の設立時取締役以外からも設立時代表
取締役を選ぶこともできてしまいそうですし、発起人の頭数の過半数で設立時
代表取締役を定めるべきだという信じがたい解釈も生じてしまいます。

 やはり、権威者の解説だからといって鵜呑みにするのは危険です。原典であ
る会社法条文にあたって自分の頭で考えましょう。

(注)合同会社の代表社員も会社を代表する役割を持った(業務執行)社員で
 あり、業務執行社員も業務執行権限を持った社員の一種です。


2019.02.28(木)【御礼】(仙台・立花宏)

 先週の23日(土曜日)は、岩手県司法書士会県南支部様からお招きをいた
だき、研修会の講師を務めさせていただきました。支部長様にお聞きしたとこ
ろ、数年前に「月報司法書士」という日本司法書士会連合会が発行する雑誌に
寄稿した記事のことを覚えていてくださり、今回、ご依頼をくださったとおっ
しゃっていました。

 本当にありがたいことだと感謝申し上げると同時に、発表した内容はずっと
残り続けるのであり、著作を発表するということの影響力の大きさを感じさせ
られた出来事でした。

 研修会・懇親会ではとても有意義で楽しい時間を過ごせていただきました。
岩手県司法書士会県南支部の皆さま、本当にありがとうございました。

 さて、著作といえば、2週間前に出版した新著『商業登記実務から見た合同
会社の運営と理論』は、インターネットでみるアマゾンや出版社からの情報に
よれば、いまのところ好調なすべり出しのようで、ほっとしております。出版
経験の多い監修者の金子先生から、売れないと2度と出版の声がかからなくな
るという話を聞いていましたので、気が気ではありませんでした。

 おかげさまで、知り合いの司法書士や税理士だけでなく、勉強熱心な全国の
読者の方々からの感想も直接・間接に耳に入ってきておりますが、おおむね好
意的な感想が多く、うれしく思うと同時に、直接お会いしたことのない方々ま
でが、自分の執筆した著作に熱心に目を通してくださっていることをあらため
て実感し身が引き締まる思いでした。

 直接、御礼をお伝え出来ずに、心苦しくはあるのですが、この場をお借りい
たしまして、皆様に心より御礼を申し上げます。ありがとうございました。


2019.02.27(水)【花粉情報】(藤沢・酒井恒雄)

 皆さんは、どのような時に春の訪れを感じるでしょうか。

 私は、外に干していた洗濯物を畳んでくしゃみが出たときに、春の訪れを感
じます。空中を漂う、ほんの僅かなスギの花粉を、濡れた衣服は見事にキャッ
チしてしまうのでしょうか。まだ本格的な花粉症のシーズンになる前でも、洗
濯物を畳めば、もう花粉が飛散していると分かります。ですので、毎年かなり
早い時期に、春を感じているのはないかと思います。

 私は、花粉症に関しては大ベテランです。幼稚園の時(1970年代)に発
症しました。その頃は、アレルギー性鼻炎という病名しかなかったのですが、
その後に患者数が増えて、1980年頃に「花粉症」という言葉が登場し、定
着したようです。

 病名の変遷からも分かるとおり、私が発症した頃はマイナーな病気でした。
ゆえに、春先約一ヶ月間も、鼻水を垂らして目を腫れさせている子は、周囲か
ら特異な目で見られており、まさに時代を先取りした異端児といった感じでし
た・・・・・。

 冗談は別として、あの頃は、まさか、天気予報と一緒に花粉情報が報道され
る時代がやってこようとは思ってもいませんでした。初めてテレビで花粉情報
を見たときは、やっと市民権を得たかといった感じで、ちょっと嬉しかったで
す。

 しかし、花粉情報は、すでに患者である私からすると、あまり必要のない情
報なのです。花粉の飛散量が多かろうが少なかろうが、事前に薬を服用する等、
採る対策は同じです。降雨予報や、紫外線情報等と違い、花粉の飛散量が多い
からといって予定を変更したり、外出を控えたりもしません。花粉症ではない
人には関係のない情報、花粉症である人には意味のない情報のような気がして、
どうもモヤモヤしております。やはり、あると便利な情報なのでしょうか?
皆さんが、花粉情報をどのように役立ていらっしゃるか気になるところです。


2019.02.26(火)【戦後商法のあゆみ⑤ 昭和25年改正~その3~】
                          (東京・鈴木龍介)

「戦後商法のあゆみ」の5回目は、昭和25年商法改正の続きの続きです(結
構な大改正なので…最後です。)。

3.商業登記に関する規律
(2)株式会社と登記
⑤ 株主総会の決議要件
 株主総会のいわゆる普通決議については、これまで定めのなかった定足数―
発行済株式総数の過半数(定款の定めによる排除可)―が設けられた(昭和25
年改正商法239条1項/会社法309条1項と同旨)。また、いわゆる特別決議につ
いては、定足数を発行済株式総数の過半数とし、決議要件は出席株主の議決権
の3分の2以上とすることとされた(昭和25年改正商法343条/会社法309条2項
と同旨)。

⑥ 取締役の任期・選解任の修正
 取締役の任期については、3年以内から2年以内に短縮された(昭和25年改
正商法256条/会社法332条1項と同旨)。
 取締役の選任決議については、普通決議によるものの、定足数は定款の定め
をもってしても3分の1未満にすることはできないこととされた(昭和25年改
正商法256条ノ2/会社法341条と同様)。また、取締役の選任については、累
積投票制度が認められた(昭和25年改正商法256条ノ3/会社法342条と同様)。
 取締役の解任決議については、普通決議から特別決議によることとされた
(昭和25年改正商法257条2項)。
 
⑦ 取締役会の必置
 株式会社は取締役会の設置が義務付けられ、取締役会に関する詳細な規律が
新設された(昭和25年改正商法259条以下)。なお、株主総会の位置づけとして
は、万能意思決定機関から法律または定款に定められた事項のみを決議するこ
とができるものとされた(昭和25年改正商法250条ノ2/会社法295条2項と同旨)。

⑧ 代表取締役の創設
 会社の代表権については、取締役の各自代表を原則としていたところ、取締
役会で選ばれる代表取締役に専属することとされた(昭和25年改正商法261条1
項)。あわせて、代表取締役の氏名が必須の登記事項とされた(昭和25年改正
商法188条2項8号)。ちなみに、この時点では代表取締役ではなく取締役の住所
が登記事項とされていた(昭和25年改正商法188条2項7号)。

⑨ 監査役の任期・権限の修正
 監査役の任期については、2年以内から1年以内に短縮された(昭和25年改
正商法273条)。
 監査役の権限については、業務・会計監査から会計監査限定に縮小された
(昭和25年改正商法274条)。

⑩ 準備金の資本組入れの創設
 法定準備金については、資本準備金と利益準備金とに区分され(昭和25年改
正商法288条・288条の2)、当該準備金の全部または一部を取締役会決議により
資本金に組み入れることができることとされた(昭和25年改正商法293条ノ3)。

~参考文献等~
・秋坂朝則『商法改正の変遷とその要点(新訂版)』
 (一橋出版、2006年)29頁~41頁
・倉沢康一郎・奥島孝康編『昭和商法学史』
 (日本評論社、1996年)31頁~43頁
・浜田道代編『日本会社法の歴史的展開』
 (商事法務、1999年)218頁~286頁
・法務省民事局民事法務研究会編『商業登記法等改正経過法令集』
 (商事法務、1994年)122頁~124頁
・中東正文=松井秀正『会社法の選択―新しい社会の会社法を求めて』
 (商事法務、2010年)


2019.02.25(月)【合同会社は平屋】(金子登志雄)

 立花著『合同会社の運営と理論』がやっと市場に出回りだしたようで、アマ
ゾンでも会社法のジャンルに加えられ、好調なすべり出しです。御礼申し上げ
ます。休日明けは実務書の売行きの順位がよくないものですが、今は何番に位
置しているでしょうか。
https://www.amazon.co.jp/gp/bestsellers/books/500196/ref=pd_zg_hrsr_books_1_1_last

 愛娘を嫁がせた父親と同様に、出版後も合同会社のことが頭から離れません。
本には、ああ書いたが、今ではもっと上手に説明して送り出せたのになどとい
った思いは、著者・監修者であれば、みな同じでしょう。

 法務や登記の視点で、合同会社と株式会社の本質的相違は何かといえば、所
有と経営が分離しているかどうかです。これを今は、平屋建てと、2・3階建
ての例え話で説明すれば、もっと通じやすかったかなと思っています。その欲
求不満をここで解消しましょう。

 株式会社は所有(株主)と経営(取締役)が分離した構造を有し、家屋に例
えれば、1階が株主、2階が取締役・代表取締役の住居という2階建て、ある
いは2階が取締役、3階が代表取締役という3階建ての構造になっています。
つまり、経営側は2階以上に住んでおり、2階と3階の間には行き来すること
のできる階段がありますが、1階と2階との間には所有と経営の壁があって往
来することができません。

 合同会社は所有(社員)と経営(業務執行社員)が分離しておらず、平屋建
ての構造で、お父さんが代表社員、お母さんが代表権のない業務執行社員、お
じいさんは、両親の見張り役である非業務執行社員といった構造です。居間に
は社員全員が入れますが、業務執行室には業務執行社員しか入れません。

 平屋ですから、社員あるいは業務執行社員の互選で代表社員を定めても存在
しない2階以上に代表社員が住むことは絶対にできません。社員である家族の
間で部屋決め(役割分担)を定めただけで(代表権や業務執行権を剥奪しただ
けで)、代表社員に就任承諾などが必要であるはずがありません。これを必要
だとする登記実務は、2・3階建ての株式会社と平屋建ての合同会社を混乱し
ていると批判されても仕方ないでしょう。

 いかがでしょうか。なお、立花本にも書いてありましたが、登記実務を非難
しているわけではありません。会社法施行直後は、株式会社の理解で精一杯で
あり、新しく作られた合同会社の解釈にあたり、株式会社を参考にしたとして
も誰も責められません。ただ、そろそろ軌道修正する頃ではないかと登記実務
にいいたいだけです。日本社会では、国民と行政機関が分離しており、辺野古
の埋立てをみても、国民の要望が行政機関に全く届きませんが、皆様のご支援
を得て、繰り返し主張してまいりましょう。


2019.02.22(金)【論評する人、解説する人】(金子登志雄)

 経済評論家の森永卓郎さんの言葉に「私は論評しかしないけれど、池上(彰)
さんは解説をするのです」というのがあります。要するに、名解説者の池上さ
んは、こうなっている、ああなっているということを上手に説明するのが得意
な人だが、森永さん自身は「私は、こう思う」という意見を前面に出すタイプ
だということです。

 これに照らすと、鈴木龍介さんは池上タイプで、私は典型的な森永タイプの
ようです。鈴木さんの講義や著作はどなたにも好評ですが、私のは司法書士・
弁護士・大学教授など法律のプロの方にしか評価されません。勉強初期の人に
は、何じゃこれは、参考文献の紹介も少ないし、何々と思うとか、だろうとか
が多く自信がないのかとまで思われてしまいます。鈴木さんは大学教授に向い
ていても、私は不向きです。

 なぜ、こうなるのかは、私が好きなことにしか興味を示さない職人タイプだ
からでしょうけど、若い頃、法律論文をよく書かされたことも影響していると
思っています。当時、指導者から、論文なんだから自分の意見を書かなければ
だめだ、少数説でもいいから筋の通った内容にしなければ評価されないといわ
れたものでした。たぶん、今も「論文」では、同じだと思います。

 思い出しましたが、簡裁代理権取得の本番の試験で、私は知識不足がたたり、
結論をほとんど誤ってしまいました。合格率の高い試験とはいえ、確率7割で
不合格かと不安でなりませんでしたが、結果は合格でした。これに対して、裁
判事務に詳しい方が不合格でした。そのとき、結論は間違ったが、一応は筋の
通った内容の解答だったので、裁判の弁論には向いているという採点をされた
のだろうと思ったものでした。

 こういう私ですから、ここ数年、執筆協力や共著をお願いしてきた立花さん
や幸先さんにも、「江頭本にこう書いてある、松井ハンドブックには」で終わ
りにしてはダメだ、「私はこう思う」を前面に出さないと面白くもなく自分の
勉強にならないと話してきましたが、だいぶ金子流に慣れてきたようで、今度
の立花本は、(解説+論文)÷2のバランスのよい立花流になっていました。
自分の流儀を深めることが最も重要ですが、皆様の流儀はいかがですか。受売
り流は恥ですよ。


2019.02.21(木)【会社の業務と業務執行者】
(金子登志雄)

 拙著『最新実務論点』でご紹介しましたが、下記の葉玉ブログに株主総会の
招集は業務執行ではなく職務の執行だといった内容がありますが、いまは疑問
に思っています(相澤哲ほか編著『論点解説/新・会社法』468頁も非業務
執行説になっていますが、通説でも判例でもありません)。

  http://blog.livedoor.jp/masami_hadama/archives/50055524.html

 非取締役会設置会社に関する会社法348条(要約)
----------------------------------------------------------------------
1項:取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社の業務を執行
  する。
2項:株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半
  数をもって決定する。
3項:前項の場合には、取締役は、次に掲げる事項についての決定を各取締役
  に委任することができない。
  三 第298条第1項各号に掲げる事項(注:総会招集の決定)
----------------------------------------------------------------------
 上記2項・3項より、総会の招集の決定は株式会社の業務であり、1項によ
り取締役がその業務を執行します。

 これからすると、取締役が招集の決定に参加することは社外取締役も同じこ
とをするので職務の執行だが、招集の決定は会社の業務だから、それの実行で
ある招集は会社の業務を執行する業務執行担当の取締役に限られます。

 さらに、監査等委員会設置会社の取締役会に関する399条の13第5項や
指名委員会等設置会社に関する416条4項をみると、総会招集議案の決定や
合併契約の内容などを決定することも取締役会設置会社の業務執行の決定に属
すことが分かりますし、363条1項には業務執行取締役が取締役会設置会社
の業務を執行するとあります。

 念のため、取締役会設置会社に関する362条2項は、次の内容です。
----------------------------------------------------------------------
  取締役会は、次に掲げる職務を行う。
   一 取締役会設置会社の業務執行の決定
   二 取締役の職務の執行の監督
   三 代表取締役の選定及び解職
----------------------------------------------------------------------
 本項から、取締役の職務の執行の監督や代表取締役の選定及び解職は業務執
行に属さず職務の執行だが(ただし、監査等委員会設置会社に関する399条
の13第1項の規定ぶりは微妙です)、株主総会の招集は業務執行になります。
葉玉見解は、株主総会ではなく取締役会の招集を意識した勇み足でしょう。

 実質的にみても、取締役会の招集は自分で気づいた議案を審議するため声を
かけることが中心ですが、株主総会の招集は取締役会で決めた議案につき招集
通知を作成し、印刷し、発送しと、業務執行部門で約1か月程度も時間を要し、
費用も発生します。監督がメインの社外取締役にできることとは思えません。

 ところで、持分会社に目を向けますと、591条1項に「持分会社の業務は、
定款に別段の定めがある場合を除き、業務を執行する社員の過半数をもって決
定する」とあります。

 株式会社の規定からして、持分会社の業務に属さないものとしては、代表社
員の選定・解職のほか、定款の変更、定款の変更を伴う社員の変更、業務執行
社員が決定した合併契約の同意等が考えられます。

 社員の変更のうち、585条2項には、非業務執行社員の持分譲渡は業務執
行社員全員の承諾で足るとありますが、これは持分会社の業務でしょうか。

 一見、業務執行社員の権限とされていることから、そう思いがちですが、持
分会社の業務を業務執行社員が執行するからといって、業務執行社員がするこ
とは必ずしも持分会社の業務とはいえません。585条2項も「全員」の承諾
であって、業務執行に必要な「過半数」の決定ではありません(この承諾につ
いては「職務」の執行だといってよいのかは自信がありません。会社がするこ
とではなく、社員がすることだからです)。

 そのため、業務執行社員が法人の場合は、職務執行者の承諾ではなく、代表
者の承諾が必要だと考えます。ついでに、合併の場合には、内容の決定や契約
の締結は職務執行者の権限だが、契約の同意は代表者の権限になると考えます。

 発売中の立花本には、代表社員の選定は業務執行じゃない、585条2項の
承諾も職務執行者でなく代表者がなすべきだとありますが、私も大賛成です。


2019.02.20(水)【想像する】(藤沢・酒井恒雄)

 昨年、某有名作曲家が亡くなりましたが、その遺産相続で揉めているという
報道がありました。相続問題は被相続人が経営していた株式会社を巻き込み、
取締役の職務執行停止の仮処分の申立てがなされる等、大きな騒動に発展して
いるようです。

 いくつかのニュース記事には、渦中の相続人(申立人)の主張が書いてあり
ました。その中に、「昨年、株主総会を開催して被相続人の妻を代表取締役に
選任したが、株主である私に招集通知を出さなかった。」といったことがあり
ました。

 推測するに、代表取締役であった被相続人が死亡し、後任の代表取締役を選
任した株主総会について、適法な総会の招集手続きがされていなかったという
主張のようです。

 もしそうだとすれば、我々が業務を行う上でも、かなりの頻度で遭遇する可
能性があるシチュエーションです。ずっと書面上総会(書面決議ではありませ
ん。)で済ませてきた会社が、株主間の揉め事が発生した途端に、会社法の規
定に従っていない等と主張してくる、典型的な同族会社の炎上パターンかもし
れません。今までもきちんと株主総会の招集手続きを踏んで株主総会を開催し
ていた会社が、相続に絡む準共有株式等の対処を誤ったのかもしれません。

 そもそも申立人の主張が正しいのかも不明です。いろいろ想像が膨らみます。
いずれ株主総会決議取消し、無効、もしかしたら不存在の確認の訴えで、細か
い事情も分かると思いますが、あえて、いろいろ想像をしてみるのもいいと思
います。これが結構頭の体操になり、依頼人との雑談や警鐘のネタにもなった
りもします。


2019.02.19(火)【戦後商法のあゆみ④ 昭和25年改正~その2~】
                           (東京・鈴木龍介)

「戦後商法のあゆみ」の4回目は、前回の昭和25年商法改正の続きです。

3.商業登記に関する規律
(1)総説
 昭和25年改正商法は、基本的に株式会社法制の見直しであったことから商
業登記に関する通則的規律の改正事項は見当たらない。
 株式会社以外の会社に関する改正として、株式合資会社が廃止されたことは
会社類型が1つ消滅したわけで、登記という観点でも特筆すべきものであると
いえよう(昭和25年改正前商法457条~478条参照)。また、外国会社
については、登記をはじめとする所要の整備がなされた(昭和25年改正商法
479条~485条ノ2、鈴木龍介ほか『外国会社のインバウンド法務』(商
事法務、2016年)44頁)。

(2)株式会社と登記
 昭和25年改正商法において、改正等された株式会社の登記と密接に関係す
る主な規律は、次のとおりである。

① 授権資本
 昭和23年改正商法により株金の分割払込制が廃止されたことを受け、授権
資本制度―会社の発行する株式の総数(現行の発行可能株式総数(会社法
911条3項6号))―が導入された。
 「会社の発行する株式の総数」は定款の絶対的記載事項とされ(昭和25年
改正商法166条1項3号)、一方で資本金は定款の絶対的記載事項から除外
された(昭和25年改正前商法166条1項3号参照)。それにより株式の発
行にかかる資金調達には定款変更を要しないこととなった。
 「会社の発行する株式の総数」は登記事項に加えられた(昭和25年改正商
法188条2項1号)。 

② 無額面株式
 それまで株式は額面株式に限定されていたところ、額面株式とともに無額面
株式も許容されることとなり(昭和25年改正商法199条)、発行済株式の
額面・無額面の別は登記事項とされた(昭和25年改正商法188条2項5号)。
設立時において無額面株式を発行する場合には、その最低発行価額が定款の絶
対的記載事項とされた(昭和25年改正商法166条1項7号)。
 無額面株式を発行した場合の資本金は発行価額の総額とすることを原則とし
つつ(昭和25年改正商法284条ノ2第1項)、その発行価額の4分の1ま
では資本金に組み入れず資本準備金にできることとされた(昭和25年改正商
法284条ノ2第2項)。ただし、設立時においては定款で定めた無額面株式
の最低発行価額を超過する額または発行価額の4分の1を超過する額のいずれ
か少ない額は資本金に組み入れず資本準備金にできることとされた(昭和25
年改正商法284条ノ2第2項但書)。

③ 株式名義書換代理人
 定款で定めることにより株式名義管理人(おおむね現行の株主名簿管理人
(会社法123条)と株券登録機関(株券についての番号等の記録の作成・保
存し、株券発行が適法になされたことを審査する機関)を設けることができる
こととなり(昭和25年改正商法206条2項・3項)、それらは登記事項と
された(昭和25年改正商法188条2項3号(175条2項12号))。

④ 株式分割
 取締役会の決議により株式分割ができることとされた(昭和25年改正商法
293条ノ4)。 ~続く~


2019.02.18(月)【定款自治の方向】(金子登志雄)

 金曜日の投稿に関連して、典型的な株式会社である取締役会設置会社と合同
会社における定款自治との差を考えてみました。方向が逆だからです。

 取締役会設置会社は所有(株主)と経営(取締役)が分離され、会社の運営
はプロの経営者に委託し、会社所有者はその経営を監視し、経営の成果をもら
う仕組みです。代表取締役も取締役会で定め、所有者の会議である株主総会は
「法定事項及び定款で定めた事項」に限り決議し(会295条2項)、業務執
行の決定には及びません。

 しかし、定款で定めれば、取締役会の決議事項を株主総会で決議するように
することができます。この場合は、非取締役会設置会社同様に業務執行につき
取締役会も株主総会も決定できることになります。株式会社には様々な規模・
形態がありますから、その会社に相応しいように、定款自治で経営問題につい
て所有者たる株主の権限に移すこともできるわけです。

 これに対して、合同会社では、定款に定めれば、定款変更も組織再編・組織
変更も総社員の同意ではなく、業務執行社員の同意にすることができますから、
株式会社と逆に、会社所有者の権限を狭める方向での定款自治のように感じら
れてしまいます。

 しかし、合同会社は所有と経営が未分離ですから、業務執行社員は純粋の経
営側ではありません。所有者兼経営者である社員のうちの業務執行専任担当の
社員に過ぎません。したがって、この定款自治は株式会社の株主でいえば、決
議事項につき無議決権株主と議決権株主に分けただけで、会社所有者の権限を
狭めて経営側に丸投げしたわけではありません。

 この場合の業務執行社員の定款変更や組織再編等の同意は、業務執行社員が
同意したといっても、同意権限を与えられた社員の同意であり、純然たる社員
権限の行使に変わりがないのです。

 会社法591条1項によると、合同会社の「業務」は業務執行社員の過半数
で決定することになっていますが、定款変更や組織再編の同意等は「業務」と
はいえないので、業務執行社員が法人の場合には職務執行者ではなく法人の代
表者が意思表示すべきだというのが16日に発売された立花本の主張です。

 登記実務は業務執行法人社員の決定や同意を全て職務執行者の決定としてい
るようですが、合同会社の業務とはいえない事項まで職務執行者に委ねてよい
ものでしょうか。会社法の意図に反しないのでしょうか。


2019.02.15(金)【代表者選定行為の性質】(金子登志雄)

 立花本の監修に関与するまでは、取締役会設置会社の代表取締役の選定行為
は業務執行行為の1つだと思い込んでいましたが、業務執行の決定機関である
取締役会が決定するからといって必ずしも業務執行行為とは限らないことに今
更ながら気づきました。

 取締役による互選の場合も同様でしょう。その他の例としては、新株の発行
があります。明らかに業務執行行為ではないのに、資金調達手段として社債の
発行(業務執行行為)と同様な機能を有するため、また、決定の機動性を目的
に、公開会社の取締役会の権限になっています。これは鈴木さんが紹介する昭
和25年商法改正の結果です。

 では、合同会社の定款で「業務執行社員の互選で代表社員を定める」と規定
した場合に、株式会社同様に、業務執行決定機関の決定に委ねたといえるでし
ょうか。

 登記実務は肯定説ですが、株式会社と合同会社とでは、所有と経営が分離し
ているかどうかという構造的差異あるいは本質的な差異があります。株式会社
では所有側(株主)と経営側(取締役)の間に明白な境界線又は壁があり、取
締役は社員とは別の独立した「役員」たる地位です。これに対して、業務執行
社員は業務執行を担当する「社員」であって役員ではありません。代表社員も
役員ではありません。

 したがって、取締役の互選で代表取締役を定めることは定款の定めにより選
任された者がまた選任する2段階の間接選定方式だといえても、業務執行社員
の互選で代表社員を定めるのは、選定権限を持った社員による直接選定であり、
間接選定ではないというのが私及び立花本の主張です。

(株式会社)
             互選又は取締役会      
             選定代表取締役     
               ↑(間接選定)      
         経営者=取 締 役(非業務執行取締役を含む)   
               ↑(選任)        
         所有者= 株 主          

(合同会社)
         所有者(社員)で経営者
          =社員の1部である業務執行社員が代表社員を選定

 本欄閲覧の方は、きっと、これだけでは、どちらともいえそうだなという感
触でしょうが、1月31日付け本欄の【合同会社の清算人の選任】をご覧くだ
さい。清算会社になり業務執行の決定機関は存在しないのに、定款で業務執行
社員を定めてあるときは、業務執行社員が清算人を選ぶことになっています。
明らかに、業務執行の決定機関が清算人を定めているとはいえないでしょう。
事業会社時代の代表社員も同じことです。


2019.02.14(木)【株主リストの申請者】(金子登志雄)
 
 取締役ABC(代表取締役A)の取締役会設置会社甲において、1月25日
の取締役会で、Aは1月31日付けで代表取締役のみを辞任し、2月1日から
Bを代表取締役にする決議を行いました。代表取締役の予選ですが予選時と効
力発生時の取締役構成に変化がありません。Aの押印は届出印でした。

 甲は、同時に1月25日の臨時株主総会で2月1日から乙と商号変更するこ
とを決議しました。

 さて、この場合の株主リストですが、次のいずれでもよいでしょうか。
 ①総会日の1月25日付けでAが旧商号の代表取締役として作成したもの
 ②2月1日以降の日付でBが新商号の代表取締役として作成したもの

 平成28年6月23日付け民商第99号衣命通知には「(商業登記)規則第
61条第3項に規定する書面としては,代表取締役の作成に係る同項に規定す
る事項を証明する書面であって,登記所に提出された印鑑が押印されたものが
これに該当する」とあります。

 これに照らすと、①で何の問題もないように思えます。代表取締役の交代の
際の前代表取締役の届出印の照合でも利用されているとおり(商登規61条6
項)、Aの届出印は登記所に残存していますから、印鑑照合にも支障がありま
せん。株主リストの証明力についても、株主総会開催時点の代表取締役が証明
していますから、②より①のほうが証明力が高いといえます。

 たまたま顧客が①で作成してきたので、大丈夫だと思い、提出しましたら、
登記申請人である代表取締役による証明による②以外は受理できないと補正に
されました(きっと複数代表で全員が印鑑を届けている場合も申請人代表者以
外は認めないのでしょう)。

 上記衣命通知の代表取締役とは登記申請人たる代表取締役を前提としたもの
であることは分かりますが、必ずしも衣命通知の明文に反するものではありま
せんし、いわゆる自己証明となる②よりも、他者による証明による①の方が②
よりも証明力が高いのに、これを認めない登記実務はどう考えても理屈に合わ
ないと思っています。

 上記衣命通知の真意は、適当な証明方法がない場合の便法として、他の場合
と同様に自己証明でも受理するという証明の緩和策を示したものだと私は理解
していますが、「自己証明に限る、ネバナラナイ」と法務省の担当者が解釈し
全国の登記所に指示したため、上記①が補正にされてしまったわけです。

 誤解を招く衣命通知の表現(とくに組織再編で不明確)、それを実務の伝統
に反して「ネバナラナイ」と解釈した点につき、いまだに理解することができ
ません。


2019.02.13(水)【注目の合同会社】(藤沢・酒井恒雄)

 株式会社、一般社団法人及び一般財団法人の定款認証につき、公証人に対し
て実質的支配者となるべき者の申告が必要となり、その運用がなされて約3ヶ
月が経過しました。

 正直、形式的な書類が一つだけ増えたといった感覚で、殆ど設立手続に影響
は出ないだろうと思っていたのですが、設立のスケジュールに影響が出たケー
スに遭遇しました。

 上場会社ではない会社で形成している企業グループ内の一社が、新たに株式
会社を設立するというものでした。実質的支配者となるべき者の申告の際に、
関係する会社の謄本の添付を要求されたのですが、そのうちの一社が登記中で
あり、謄本が取得できない状態になっていました。

 従前では、登記手続に関係しない会社が、定款認証の手続に影響を与えるな
んて考えもしなかったことです。結局、登記が完了するまで定款認証が出来な
くなり、余裕をもって組んだはずのスケジュールを組み直すことになってしま
いました。そんな経験をし、思ったより実質的支配者となるべき者の申告は面
倒だと感じるとともに、ちょっと嫌なことが頭をよぎりました。

 一時期、会社を設立するなら、合同会社の方が「設立費用が安い」からお勧
めだという、安易な考えに基づく情報がインターネット上に蔓延したことがあ
りました。

 徐々にそういった偏った考えによる情報は減ってきた感があったのですが、
ここに来て、実質的支配者となるべき者の申告が面倒だということで、合同会
社の方が費用も安くて「面倒なく」設立できるというような情報が、再びイン
ターネット上を駆け回りそうな気がしています。歓迎されるものではありませ
んが、理由はどうであれ、合同会社にスポットが当たることになりそうな気が
しています。

 しかし、合同会社はプロ向きのハコです。専門家の力を借りずに運営して行
くのは、なかなか難しいかと思います。古山先生も徒然日誌で言及されている
ように、合同会社の法務は未成熟であり、設立したものの、その後の運営で混
乱が生じることが予想されます。また、すでに様々な問題に直面し、相談を受
けている先生方も多いかと思います。私も、社員の退社に関し、持分の払戻し
で頭を悩ませたことがあります。

 そんな状況の中、立花先生が合同会社に関する未知の領域に足を踏み込んで
くださったようです。その成果がそろそろ書籍となってお披露目されるようで、
私も今からワクワクしております。きっと霧の向こうに見えなかった景色が、
目の前に現れることになるでしょう。


2019.02.12(火)【戦後商法のあゆみ③ 昭和25年改正~その1~】
                          (東京・鈴木龍介)

 「戦後商法のあゆみ」の3回目は、戦後初の大改正で米国法への転換といわ
れる昭和25年商法改正を取り上げます。なお、少々長くなりますので、2回
に分けたいと思います。

1.背景等
 昭和24(1949)年6月1日に実施された行政機構改革により法務庁は
法務府に、裁判所から独立して登記事務等を所管していた「司法事務局」は
「法務局・地方法務局」に改称された。

 また、同時に法務総裁(後に法務大臣)の諮問機関として「法制審議会」が
創設された。一方で、間接統治を続ける連合国軍最高司令官司令部(GHQ)
は、各種法令の改正にも大きな影響を及ぼす存在であった。

 戦後初の商法改正であった昭和23年商法改正(昭和23年7月12日法律
148号)は、株金分割払込制は廃止したものの、本来、それとともに導入す
べき授権資本制度をはじめとする株式会社法制の見直しは、ある意味、先送り
されたことから、同法施行直後から法務庁に設置された「商法改正準備調査会」
で改正の検討が始まった。

 同年の10月には早くも一定の成果である「株式会社法改正の根本方針」が
公表されたが、その頃から商法の改正にGHQの関与が始まり、いわゆるシッ
クスポインツと呼ばれる改正に関する要請事項―ⅰ)株式の譲渡性、ⅱ)議決
権、ⅲ)新株引受権、ⅳ)書類閲覧権、ⅴ)少数株主の権利と保護、ⅵ)外国
会社―が示された。

 その後、法務庁とGHQの協議・調整が進められ、昭和24(1949)年
7月には法制審議会商法部会による「商法の一部を改正する法律案要綱」が公
表された。それを受けて法制審議会で修正を加えた「商法の一部を改正する法
律案要綱の修正案」が法務総裁に答申された。

 この時代、日本はまさに戦後の混乱期にあり、昭和24(1949)年には
「下山事件」、「三鷹事件」、「松川事件」という社会を揺るがす事件が頻発
した。また、同年には、その後の我が国の税制の大きな柱となる「シャウプ勧
告」がなされた。世界に目を転じてみると、1949年には中華人民共和国が
成立し、1950年には朝鮮戦争が勃発した。

2.概要
 前述の要綱の修正案に基づく法案が昭和25(1950)年1月に閣議決定
のうえ、国会に提出されたものに一部の修正を加え、「商法の一部を改正する
法律」(昭和25年5月10日法律167号/以下、「昭和25年改正商法」
という。)が同年5月に成立し、昭和26(1951)年7月1日に施行され
た。

 昭和25年改正商法の主眼としては、ⅰ)資金調達の便宜を図ること、ⅱ)
機関設計を見直し、運営を合理化を図ること、ⅲ)株主の地位の強化を図るこ
とがあげられる。また、これまでの日本の商法がドイツ法的立法であったとこ
ろ、GHQの多大な影響を受け、アメリカ法に倣う改正であったと評価されて
いる。  ~続く~


2019.02.08(金)【合同会社を完全親会社とする株式交換】
                         
(東京・古山陽介)

 最近、株式交換に悩まされることが多くなっています。株式交換は登記が発
生しない案件もあり、その場合には余計に気を揉んだりします。

 中でも立て続けに2件、合同会社を完全親会社とする株式交換の相談があり
まして、いずれも論点となったのが「資本金の計上方法」についてであります。
これがけっこう曲者で、金子先生にもお力添えを頂きました。

 まず、合同会社において、社員が追加出資する際、全額その他資本剰余金に
組み入れることができます。合同会社には、資本準備金の項目がなく、出資金
の1/2以上を資本金に組み入れなければならない制約はありませんので、出
資額全額をその他資本剰余金に組み入れることが可能というわけです。

 また、株式会社同士の株式交換の場合、全額を資本準備金に組み入れること
で、資本金の増加を回避することができます。ちなみに、株式会社同士の株式
交換については、株式の現物出資に近い会計処理がなされます。

 これらを組み合わせて考えていきますと、合同会社を完全親会社とする株式
交換については、資本金を増加させることなく、全額その他資本剰余金に組み
入れることで、登記をしなくても手続きが可能となるという考えに至ります。

 この考えで間違いないだろなと思いつつも、一つだけ引っかかりました。株
式会社同士の株式交換では、原則として必ず資本金か資本準備金に組み入れな
ければならないのに、合同会社は資本準備金の項目がないからといって、全額
その他資本剰余金に組み入れることが出来るのだろうか、沸々と疑問が湧いて
きました。

 調べていくと次の条文にたどり着きます。
 会社計算規則第39条第2項を読み進めていきますと最後のほうに「(株式
交換完全親会社が持分会社である場合にあっては、株主資本等変動額)」と規
定があります。

 全文を載せると長くなりますので、簡単に読み替えますと、こうなります。
『(債権者保護手続をとっていない場合は、)株式交換完全親会社(合同会社)
の増加する資本金及び資本準備金の額は、株主資本変動額とする。』つまり、
資本準備金がない合同会社は、「株主資本変動額=増加する資本金の額」、と
いうこになると読めます。

 それでも自分の条文解釈が間違えていて、資本金に組み入れる必要はないと
いう結論に至るはずだと、書籍のみならず、ネットでも検索かけましたら、司
法書士の先生のブログが出てきまして、金子先生にもご確認していただいたと
ころ、ブログの先生は、当時の立法担当者から「全額資本金に計上しなければ
ならない」との回答を受けたということでありました。

 結論としては、条文の解釈どおり、「株主資本変動額=増加する資本金の額」
となるということです。多くの株式交換の事例では、株主資本変動額はそれな
りに大きな額になりますので、登録免許税等のことを考慮すると、合同会社を
親会社とする株式交換スキームはハードルが高いことがわかりました。

 何故に合同会社が完全親会社となると、資本金計上が義務付けられてしまう
のか、納得はいきませんが、合同会社の社員資本は、各社員ごとに振り分けら
れ、減資ができる場合も株式会社より厳格で限定的であることを考えると、株
式交換の際にその他資本剰余金に組み入れることは、減資に類似すると考えら
れるので、全額資本金計上せよという理屈になるのかもしれません。

 合同会社の数が増えていますが、設立後の法務についてはまだまだ未成熟で
あり、今後クライアントからの相談も増えてくるでしょう。ですので、立花先
生の新刊がバイブルになりそうで、発売が待ち遠しいです。
     https://is.gd/MRnDYx


2019.02.07(木)【冒険】(仙台・立花宏)

 再び、“冒険”のお誘いをいただいたのは、昨年の今頃、東京での会食の席
でした。前回の“冒険”の成果になにがしかのご評価いただいたのでしょう。

 お酒が入り、少し気分がよくなっていた私でしたが、前回の“冒険”では、
大変苦労した記憶があり、お誘いに対して即答ができませんでした。ただ、無
名だった私に声をかけてくださり、“冒険”に送り出してくださった恩人とも
いえるその方に背中を押されると、再び冒険に行きたい、いや、行かなければ
という気持ちも湧いてきました。

 「行くとしても、どこに“冒険”に行くか、少し考えてみます」。
 そうお答えし、恩人と別れ、私は仙台に向かう最終の新幹線を待ち、東京駅
のベンチで“冒険”について考えていました。私の隣には、ある方がいました。
金子先生でした。恩人との会食に同席してくださったうえに、私が“冒険”の
前に“迷子”にならないようにというご配慮だったのでしょう。最終の新幹線
までいろいろなお話をしてくださり、改札まで見送ってくださいました。いつ
の間にか、私は“冒険”に行こうと決意していました。

 恩人というのは、中央経済社の担当の方です。ふたたび、単独での著書とい
う“冒険”へのお誘いをしてくださったのでした。何週間後だったでしょうか。
私は“冒険”の行先の案をいくつか考え、中央経済社の担当者の方に提案いた
しました。担当の方は、社内で検討し、後日、回答を下さるとおっしゃってく
ださいました。

 “冒険”の行先の案は何か所かあったのですが、私には、そのうち、1か所、
とても気になる場所がありました。ただ、そこはまだ未開の地のように思え、
とても私のような駆け出しの司法書士に行けるような場所ではないようにも感
じていました。いつしか、「今回は無理かもしれないが、いつか、行ってみた
い」そんな思いを抱きながら、中央経済社様のご判断を待つことにしました。
 
 数日後、中央経済社様からメールで回答をいただきました。すると、なんと、
中央経済社様が指定してくださった“冒険”の行先は、その、とても気になっ
ていた場所でした。私の様子から、私の気持ちを察し、リスクを承知でそこを
指定してくださったのかもしれません。私は事務所のパソコンの前で、その恩
人の方に深々と御礼のお辞儀をしたのでした。

 “冒険”の行先は「合同会社」です。しかも、その社員の変更とそれに伴う
計算関係に焦点をあて、深く掘り進んでみることにしました。そして、金子先
生と広島の幸先先生に、その“冒険”に、監修と執筆協力という形で同行して
いただくことにしました。お二人がいなかったら、私は、きっとどこか変な方
向に迷い込んでしまっていたことでしょう。二人のお力添えのおかげで、私は
1年近い“冒険”から、無事に帰ってくることができました。お二人だけでは
ありません。前回の“冒険”以上に、中央経済社の皆様からたくさんのご支援
をいただき、また、いろいろなご迷惑をおかけしたと思います。

 そうしたたくさんの方たちのご助力のおかげで成し遂げた冒険の成果をもう
間もなく皆さまにお披露目できます。

       https://is.gd/MRnDYx   


2019.02.06(水)【冬眠】(藤沢・酒井恒雄)

 子供を連れて、近所の公園に遊びに行ったときのことです。木の枝の上に、
ちょろちょろと動く黒いものがあり、それをすかさず見つけた子供に、「あれ
は何?」と質問をされました。

 大きさや動きからして、リスだと思いましたので、「多分、リスだよ。」と
答えました。すると「そうなんだ。リスは冬眠しないんだね。」と返され、あ
れ? そういえばリスは冬眠する動物では?と自信がなくなりました。

 もう一度よく観察してみましたが、やはり、その黒い物体はリスでした。私
の家の近くで見かけるリスは、ほとんどがタイワンリスという外来種です。

 「日本のリスは冬眠するけど、あのリスは外国のリスだから冬眠しないんだ
よ。」と根拠のない返事をしてしまったのですが、気になって後で調べてみた
ところ、それは間違いでした。日本には3種類のリスが生息しているそうです
が、その中で冬眠するのはエゾシマリスという1種のみなのだそうです。外来
種だけ冬眠しないということではありませんでした。

 ひょっとして、クマも冬眠しない種類があるのではと思い、ついでに調べて
みたところ、やはり冬眠するクマと冬眠しないクマがいるそうです。意外だっ
たのはホッキョクグマ(シロクマ)です。

 真っ白い毛に覆われて、氷のうえを悠々と歩く姿が思い浮かび、極寒の気候
でも常に活動していると思いきや、なんと冬眠をするのだそうです。ただ、そ
の冬眠の方法が特殊なようで、冬眠中も歩いたり、普通に行動したりと、一見
いつもと何ら変わらないように見えて、体の機能は代謝を抑えた冬眠状態にな
っているのだそうです。

 この状態、何か身に覚えがあります。私は、冬生まれのくせに、寒さが苦手
です。気温が低く、寒さが身にしみるような日は、極力、消費カロリーを抑え
ているせいか、えらく生気がないと自分でも思います。もしかしたら、人間に
も冬眠する人と、冬眠しない人がいるのかもしれませんね・・・・・。


2019.02.05(火)【戦後商法のあゆみ② 昭和23年改正】
                          (東京・鈴木龍介)

 「戦後商法のあゆみ」の2回目は、戦後最初の昭和23年商法改正を取り上
げます。

1.背景等

 連合国軍最高司令官司令部(GHQ)は、三井や三菱といった、いわゆる財
閥が軍国化を推進した1つの要因であるとして、財閥解体を日本政府に指示し、
複数の会社に財閥を分割された。

 裁判所の監督など法務・司法全般を所管していた司法省については、昭和
22(1947)年5月3日の日本国憲法とともに施行された裁判所法(昭和
22年4月16日法律59号)により裁判関係事務が最高裁判所に移管された。

 次いで昭和23(1948)年2月15日に施行された法務庁設置法(昭和
22年12月17日法律193号)に基づき法務庁が設置され、司法省は廃止
となった。法務庁は、政府の最高法律顧問府と位置付けられ、司法省の所管事
務のほか、内閣法制局の所管事務である法令案等の審議、司法制度・内外の法
制等の調査研究を加え、民事行政に関する争訟、人権擁護などを所管すること
とされた。

 この時代は世界の歴史から見ると、米国とソ連の対立に代表される東西冷戦
体制が始まった頃である。

2.概要

 株式会社の株式発行時の払込について、株金分割払込制―4分の1以上の払
込―が認められていたところ、GHQはそれを財閥による会社支配を可能にす
る手法であると考え、前述の財閥解体施策の一環として、株金分割払込制を廃
止し、株金全額払込制に一本化する改正である「商法の一部を改正する法律」
(昭和23年7月12日法律148号/以下、「昭和23年改正法」という。)
が成立、昭和23年7月12日に公布、同日施行された。

 あわせて、昭和23年改正法では株券の最低券面額を50円から20円への
引下げを行ったものの、授権資本制度等多くの改正は先送りした。

3.商業登記に関する規律

 株金分割払込制の廃止により株式会社の登記事項であった“各株ニ付キ払込
ミタル株金額”は削除された(昭和23年改正法前188条2項5号参照)。

~参考文献等~
・秋坂朝則『商法改正の変遷とその要点(新訂版)』(一橋出版、2006年)
 26頁~28頁
・岩崎稜『戦後日本商法学史所感』(新青出版、1996年)29頁~30頁
・浜田道代編『日本会社法の歴史的展開』(商事法務、1999年)212頁
 ~219頁
・法務省WEBページ「法務省の沿革」
  http://www.moj.go.jp/hisho/soshiki/enkaku.html


2019.02.04(月)【中学校での講演依頼】(島根・根来川弘充)

 ここ数年、この時期になると、地元の中学校から、「職業人(社会人)に学
ぶ」というテーマで、講演の依頼をいただいています。

 私以外に、15名程度、地元で働いておられる方がおられ、一人がそれぞれ
10名前後の生徒にお話をするのですが、私の場合は、毎年、すこしずつ変え
ながら、法律に関心をもってもらうよう、また、少しでも働きたいという意欲
をかきたてるよう、意識しながら内容を考えています。

 その中でも、年々、比重が重くなるのが、インターネットについてのお話で
す。

 法律は、私達が生きていく社会の中の事実から、生まれていくので、どうし
ても最先端のものには、弱く、問題がおきてからでないと被害が防げないとい
う弱さがあります。

 私のように、それがない時代で生きてきた人間は、インターネットの怖さに
少なからず、気付くのですが、それが当たり前だと思って過ごしている今の子
供たちは、気がついたときには、大きな被害をうけるのではないかと、心配に
なってしまいます。

 インターネットは、結局のところ、道具にすぎないので、それを使う人間の
モラルの問題です。どのようにモラルをつくるか、考えてもらえるような内容
にしたいと思います。


2019.02.01(金)【立花新著のお勧め】(金子登志雄)

 昨日の本欄に追記しましたが、立花さんの本がいよいよ2月16日に発売さ
れます(書店では17日頃になるかもしれません)。
       https://is.gd/MRnDYx 

 最初に立花さんが下書きを書き終わったのが昨年の夏、出版社に完成原稿を
送ったのが昨年12月初旬でしたから、原稿の整備だけで4か月も要しました。

 これは監修を依頼された私の責任です。「Q&A方式に全面的に書き直した
らどうか」とか、「ここに図表を入れたら」などと勧めただけでなく、立花さ
んがQ&A方式に変えてきたら、この項目の分量だとQが2頁に分割されてし
まうから、追記か削除で形を整えよなどと内容以外にも口を出し、何度も何度
も書き直してもらったからです。立花さんもよく耐え頑張りました。

 内容面では彼の問題意識は素晴らしいものでした。私や広島の幸先さんが口
を出したのは、客観的な第三者の目で、その問題意識をどう分かりやすく表現
し、結論に導くかという技術的側面でしたが、この点ではお役に立てたと思っ
ています。立花さんも、もやもやしたものを我々の関与で、頭を整理すること
ができたことでしょう。

 いくつか問題意識をご紹介しましょう。

1.1持分100万円(出資の価額は50万円)の価値があるのに、金50万
 円で加入した社員を同じ1人1票の同意権限にしてよいのか。損益分配比率
 は1:1でよいのか。
2.定款で持分の相続を認めた場合に、相続人の一部だけにも相続させること
 ができるか。
3.定款に「業務執行社員の互選で代表社員を定める」とあった場合に、業務
 執行社員が法人であれば職務執行者に選任権限があるのか。
4.持分の一部譲渡ができるのだから、持分の一部払戻しも可能か。
5.資本金の額の減少と持分の払戻しに関する債権者保護との関係はどうなっ
 ているのか。

 いかがですか。ほとんどの本に十分には記載されていないことを彼は果敢に
挑戦していました。無謀(?)にも、計算本の著書がある私も躊躇してしまう
難解な合同会社の計算に対しても挑戦しており、社員別(持分)管理表などと
いう便利なもので分かりやすく説明していました。

 立花さんの代表的な著作になることは間違いなく、息の長い本になることで
しょう。そのお手伝いをできて幸せでした。あえて、組織変更などの論点を省
略し、社員の変更と計算に特化したため、価格も3000円程度に収まりまし
た。ぜひ、ご購読をご検討ください。


2019.01.31(木)【合同会社の清算人の選任】(仙台・立花宏)

 会社法第647条第1項(1号・2号省略)
 次に掲げる者は、清算持分会社の清算人となる。
 ③ 社員(業務を執行する社員を定款で定めた場合にあっては、その社員
  の過半数の同意によって定める者

 上記のかっこ書を前提に、次のQにつき、どうお考えですか(当然ながら、
定款には清算人についての定めはないとします)。

----------------------------------------------------------------------
Q:社員がA、B、Cの3名(いずれも“法人”とする)。そのうち、A、B
 が定款で業務執行社員と定められている。
  この合同会社が解散し、清算人に第三者を選任する際、その選任の意思表
 示をするのは法人社員の職務執行者か、代表者か。
-----------------------------------------------------------------------

 登記実務上は、業務執行社員による意思表示であるため、職務執行者が行う
ものと扱われているようですが(商事法務刊・松井信憲著『商業登記ハンドブ
ック3版』706頁)、この取扱いに疑問を感じています。

 原則は清算人の選任は業務執行行為ではないから社員で選任し(代表者が意
思表示)、定款で業務執行社員を定めた場合には、突然、業務執行行為に変化
するなどということがあるのでしょうか。

 そこで、私は、清算人の選任は株式会社の規定からしても重要な人事問題と
して業務執行行為ではないとされているから、定款で業務執行社員を定めた場
合も同様であり、上記のかっこ書は、業務執行を担当していた“社員”の権限
にしただけだと考えました。業務を執行しない“社員”を、清算人を選任する
メンバーから外した(株式会社でいえば、清算人の選任についての議決権を制
限した)と考えたわけです。

 金子先生も会社が解散したら事業会社としての業務執行はあり得ず、業務執
行社員は登記記録からも削除されるのだから(商業登記規則91条1項)、清
算人は定款で業務執行社員とされた“社員”の権限にしただけだとし、私の意
見に同意してくれました。

 よって、登記実務の取扱いとは異なりますが、この場合も法人の意思表示は
職務執行者ではなく、その代表者が意思表示を行うと考えるべきではないかと
結論づけました。

 最後に宣伝になりますが、上記のような問題意識で合同会社の運営に関する
本を執筆してみました。昨日からアマゾンで下記のとおり予約販売を開始して
おります。悩ましい論点がたくさんあり苦労しましたが、金子先生に監修をお
願いし、広島の幸先先生からもご意見や感想をいただき、やっと考えを整理す
ることができ出版にまで至りました。ご活用いただけましたら、幸いです。

       https://is.gd/MRnDYx

(金子追記)
 上記のような悩ましい論点(計算を含む)に果敢に挑戦した意欲的な内容で
す。具体的な想定事例をもとにQ&A方式で説明していますので、実に分かり
やすい内容になっています。自信をもってお勧めします。


2019.01.30(水)【アメフトと法人化】(藤沢・酒井恒雄)

 アメフトの本場では、プロのアメフト・チームのナンバーワンが決まる、ス
ーパーボウルの開催日が迫っています。今年はコカコーラの本社がある、ジョ
ージア州のアトランタで決勝戦が開催されます。

 ソワソワし始めると同時に、つい、「アメフト」の四文字に、敏感に反応し
てしまうのですが、そんな中、東京大学のアメフト部の法人化に関するニュー
スが目に飛び込んできました。

 昨年の春頃から話題になっていたようですが、まったく知りませんでした。
さらには、京都大学のアメフト部が3年前に法人化していたことを知って驚き
ました。

 つい、高校の部活を想像してしまって、部活が法人化?と驚いたのですが、
有名大学の強豪部ともなりますと、運営費、寄付金、スポンサー等、実質はプ
ロのチームと変わりない部もあるようです。

 東大アメフト部が採用した組織形態は、一般社団法人です。法人化した目的
はいくつかあるようですが、その中の一つとして、日本大学アメフト部の悪質
タックル問題で浮き彫りになった、組織のガバナンス強化もあったようです。

 あのとき、誰がどのような権限を持っているのか、意思決定はどのようにさ
れていたのか、責任の所在はどこなのか等、大学全体をも巻き込んで、組織と
しての多くの不明確な点が浮き彫りになりました。

 そういった問題に対応すべく、監督の選任権、予算計画等の部の運営方針を
決める「代議委員会」というものも作ったそうなのですが、詳しい仕組みまで
は分かりませんでした。おそらく、同じく一般社団法人であるJAF(日本自
動車連盟)の仕組みに近いのかなと推測しています。

 JAFの場合は、社員候補者選考委員会という独立機関が、会員の中から法
人法上の社員を選任し、選任された社員が社員総会で議決権を行使するという
仕組みをとっているようです。ちなみにJAFの定款はネット上で見ることが
できますので、大所帯の一般社団法人には参考になることが多いかと思います。


2019.01.29(火)【戦後商法のあゆみ① 昭和22年民法改正】
                           (東京・鈴木龍介)

 少々、個人的な事情で、第2次世界大戦後~現在に至る商法・会社法(その
他の関係法を含む。)のあゆみについて調査等をする必要がありまして、この
コーナーを使い勉強させていただければと思っています。私の場合、文献等を
読むだけではうまく整理や理解ができず、やはり書いてみてということでお許
しいただくととともに、お読みになられた皆さんの何か気づきになることがあ
れば等と勝手に考えています。なお、必ずしも連載ではなく、そのときどきの
話題等があれば、それらをはさんでいくつもりです。

 1回目は、商法自体の改正ではなく、いわゆる戦後民法―家族法―の改正に
伴う商法の一部改正です。

1.背景等
 1945(昭和20)年8月14日に日本はポツダム宣言を受諾し、翌15
日に第2次世界大戦が終結した。日本は連合国の占領下におかれることとなり、
連合国軍最高司令官司令部により日本政府を通じての間接統治が行われた。

 法制面においては、まず「日本帝国憲法」を廃止し、あらたに「日本国憲法」
(以下、単に「憲法」という。)が制定された。憲法は前文と103箇条で構
成され、1946(昭和21)年11月3日に公布、1947(昭和22)年
5月3日に施行された。

 憲法の下で地方自治法(昭和22年4月17日法律67号)をはじめとする
法律が次々と制定される中、民法の親族・相続関係分野についての大改正がな
された(昭和22年12月22日法律222号/以下、「昭和22年改正民法」
という。)。昭和22年改正民法では、憲法14条に定められた“法の下の平
等”に基づき、戸主制度の廃止や男女同権等が規定され、1948(昭和23)
年1月1日施行された。

2.概要
 昭和22年民法改正のいわゆる現行の整備法に相当する「民法の改正に伴う
関係法律の整理に関する法律」(昭和22年12月22日法律223号)によ
り、当時の商法において、妻が営業を行うに際しては登記を要する旨の規定
(商法5条/明治32年商法の制定時からの規定)が削除された。すなわち、
妻も自由に営業をすることができることとなったわけである。また、法定代理
人が無能力者のために営業を行うには親族会の同意を得る必要があったが(商
法7条1項/明治44年改正商法により規定)、“親族会の同意”が削除され
た。すなわち、商業においても“家主義”から“個人主義”への転換がなされ
たというわけである。


2019.01.28(月)【司法書士のM&A・事業承継仲介業務】(金子登志雄)

 先週の金曜日に、司法書士事務所を対象としたM&Aに関するチラシが当事
務所のFAXに入りました。一斉に司法書士事務所に送ったようでしたが、皆
様のところにはいかがでしたか(地域限定だったかもしれません)。

 とうとうこういう時代になったかと感無量です。というのは、日本で最初に
本格的にM&Aの仲介が事業としてはじまったのは32年ほど前の昭和60年
代で、会社としては東京の赤坂で設立された「日本M&A研究所」が最初でし
た(私は創業メンバーの一人であり、取締役事務局長でした。司法書士資格を
とる10年前のことです)。

 当時はまさしくM&A業務の黎明期であり、写真週刊誌に「乗っ取り屋」の
ように揶揄されて会社の設立を紹介される始末で、商売としては、まだ成り立
たず、登記の事業目的でも「企業提携の仲介」などとしなければなりませんで
した。仕方なく、私どもは下記の『実戦M&A事典』などを出版しM&Aの啓
蒙に努めておりました(下記は初版です)。
        https://is.gd/3CMlJy

 前書きが長くなりましたが、若い司法書士達が、格好いいM&Aに従事した
い、これからは事業承継の時代だと前のめりになっている傾向がありますので、
先駆者の一人として、これに警鐘を鳴らしたいのです。私が事業承継をテーマ
にした講演を断っている理由でもあり、以下、列挙します。

1.M&A仲介で最も重要なのは情報です。これを集める能力は平均的司法書
士にはありません。日本最大の仲介機関である上場会社の日本M&Aセンター
については、平成3年の創業時期がよかっただけでなく(創業メンバーは知り
合いです)、事業承継を中心とした会計事務所の全国的ネットワークを持って
いたことが成功の最大の理由です(当社にはこれがないので、自社でM&Aを
実行する方向に進みました)。

2.不動産業界に千三(せんみつ。千に3つも成功すればよい)という格言が
ありますが、カネだけの問題で終わらないM&Aは万三(まんみつ)です。極
秘裏に話を進めオーナーが合意しても、最後の段階で家族や取締役会の反対で
ちゃぶ台返しにあうのは日常茶飯事です。そのため、仲介業者は調査費、企業
評価報酬などの収入でリスク回避をはかっているのであり、仲介成功報酬だけ
で事業を維持しているわけではありません。

3.中小企業などは社長の個人事業も同じであり、M&A対象になりがたいと
いえます。顧客は社長個人の人脈であり、経営者が変われば、顧客も去って行
きます。司法書士事務所のM&Aもこれに近いでしょう。

4.M&Aの成功は買い手からすれば、M&A後半年、1年経て分かることで、
高く買いすぎたとか、シナジー効果が出なかったなどの失敗事例が多数ありま
す。だからといって、容易に離婚はできません。

5.事業承継も、その大多数は相続税対策であり、M&Aではありません。相
続税対策をしたのに、後継者が先に死亡したとか、税法が変わり従来の対策の
意味がなくなったなどの例も多数あります。

 まだまだありますが、私のいいたいのは、司法書士は上記の点で素人ですか
ら、情報収集や仲介能力に自信がない限り、深入りせず、依頼されたM&A法
務や事業承継法務に専門家としてかかわるだけにせよということです。
 
 FAXを送ってきた方の業務妨害の意図は全くありません。情報収集や仲介
能力に自信がないであろう大多数の職人事務所に警告を発しただけです。情報
提供者になるのは問題ありません。当事務所も後継者に悩んでいますので、ぜ
ひ後継者を紹介してほしいものです。


2019.01.25(金)【有限会社の定款と社員】(仙台・立花宏)

 先日、税理士の先生からのご紹介で、ある特例有限会社の目的変更登記のご
依頼をいただきました。お預かりした資料に目を通していて、ふと気になった
ことがありました。それは、その会社様の定款の記載でした。

 その特例有限会社様は、会社法施行後も定款の見直しをしておらず、会社法
施行前の定款のままでした。というよりも、会社設立後、1度も定款の見直し
はしていなかったと思われます。

 定款の記載で私が気になったのは、社員の氏名及び住所のことでした。会社
法施行前の有限会社の定款には、社員の氏名及び住所が絶対的記載事項となっ
ていました(有限会社法6条1項6号)。会社法施行により、この記載はない
ものとみなされています(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
(以下、「整備法」という。)第5条)。そのため、社員についての記載は効
力がないものとして扱えば済むのだろうと思いますが、私が気になったのは、
有限会社法時代の社員名簿と定款の社員の記載との関係はどのようなものだっ
たのだろうか、ということでした。

 有限会社法時代、社員以外に持分を譲渡するには、社員総会の承認が必要と
されていました(有限会社法19条)。そして、社員名簿への記載が持分移転
の対抗要件とされていました。これらの手続が適法に行われていたにもかかわ
らず、定款の社員の記載を変更していなかった場合はどうなるのでしょうか。

 インターネットで検索すると、古い研究論文を見つけることができました。
出典は札幌大学経済・経営学会が発行している「経済と経営」という雑誌のよ
うで、「有限会社における持分移転と定款変更」(土井勝久)という論文でし
た。その論文によると、社員の記載は設立時の絶対的記載事項であるが、設立
後の社員の変動は定款変更に該当しないという見解を紹介しつつ、ご自身は定
款変更に該当すると考えるという見解を述べておられました。

 合同会社をはじめ持分会社には法定の社員名簿がなく、定款が社員名簿の代
用になっています。同様に、土井先生のご指摘のように、有限会社においても
設立後の社員の変動が定款変更に該当すると考えると、有限会社については、
社員について定款と社員名簿の二重の管理を法が要求していることになります
が、その必要性があるのでしょうか。

 内部的には民法の組合といえる持分会社の定款は組合契約としての性質もあ
り、構成メンバーである社員の変動を記載する必要があるでしょう。しかし、
制限があるとはいえ、持分(株式)の譲渡が自由である有限会社は純粋の社団
とされています。社団の定款と社員の変動は別の問題というべきでしょう。

 よって、有限会社の定款の社員の記載は、持分会社における定款の記載事項
である社員とは意味が異なり、株式会社でいう発起人のことを意味すると考え
るのが素直なように思えました。

 ただ、そう考えると、整備法で、社員の記載がないものとみなされたことが
妥当なのかという疑問も生じるかもしれません。株式会社の定款の発起人の記
載については、設立後に削除できるのかどうかについて、議論があるからです
(神﨑ほか『論点解説商業登記法コンメンタール』(金融財政事情研究会)
154頁)。しかし、有限会社はもう設立できません。定款の記載事項とされ
た社員が現状の社員ではないことを明らかにするため、整備法が廃止をみなし
たともいえるのではないでしょうか。
 
 私の疑問点は今回の手続に直接影響のある部分ではありませんでしたので、
その特例有限会社様には、これを機会に、会社法に適合させるため、全面的に
定款を見直すご提案をさせていただき、ご了承をいただきました。


2019.01.24(木)【権利の発生、行使、効果】(金子登志雄)

 月曜日の古山さんの「剰余金が実際に支払われる日は基準日後3か月以内に
限られないのではないか」との見解に私も賛成です。

 権利には発生、行使、効果の発生、消滅などといった各段階がありますが、
基準日後3か月以内に行使すれば、手続の関係で、実際に支払われる日はそれ
を超えてもよいと思います。

 これと類似する事例を考えてみました。
1.株主になる日と株券保有者になれる日は相違する。
2.金銭対価の合併でも効力発生日に金銭が支払われるとは限らない。対価は
 金銭交付請求権とみるべきだ(テイハン360問384頁)。
3.基準日後3か月以内に定時株主総会が開催されたが、継続会になり、3か
 月後に議決権の行使があった。

 ところで、上場会社において、この基準日が事業年度末日の3月31日でも、
事務手続の関係で3月29日以降(本年は土日の関係で27日以降)に株主に
なっても、定時株主総会の議決権も剰余金の配当も権利がありません。いわゆ
る権利落ちです。

 では、会社法282条に、新株予約権を行使した日に株主になるとあるのに、
3月31日に行使し自己株式を交付されたら、議決権等の権利がないのかと疑
問に思い、某証券代行に聞いてみましたら、「確かに、新株の交付なら権利落
ちは無関係だが、自己株式はどうなんだろう。たぶん、新株と同様に扱うのだ
ろうと思う。ただ、実務の運用上、権利落ちとは関係なく、四半期末日近辺の
新株予約権の行使については、権利行使を避けてもらっており、やむなく行使
されても、翌月の行使として扱うことの了解を得ている」といったような話で
した。上場会社の場合は四半期ごとに発行済株式総数や自己株式保有数を開示
しなければならないため、四半期末日近辺の新株予約権の行使は事務処理上困
るわけです。

 以上、会社法の規定は通常の場合を想定したもので、全てが会社法の規定ど
おりには行かないため、そこは解釈で補わなければならないという結論でした。


2019.01.23(水)【話し手の姿勢】(藤沢・酒井恒雄)

 1月17日の金子先生の投稿、「挨拶の仕方」を読んでドキッとしました。
幸いにも今まで、挨拶をしてから礼をするという流れで登壇していましたが、
それが正しい挨拶の仕方であるかどうかは、意識したことがありませんでした。
礼儀やマナーは、知らないことや、勘違いも多いです。

 以前、こんなことがありました。司法書士会の研修会の冒頭で、スタンド・
マイクの前に立って話しをする機会がありました。両手をブラブラさせていて
は良くないし、直立不動というのもどうかと思い、手を後ろに組んで、休めの
姿勢のような感じで話しをしました。

 確か、消防署の式典(出初式か公開の消防訓練だったと思います。)で、隊
員達が休めの姿勢で整列していたと記憶していましたので、手を後ろに組むこ
とは、決して非礼な姿勢ではないと思っていました。

 しかし、研修会の終了後に、私の姿勢について、先輩司法書士の方に注意を
されてしまいました。後ろに手を組んで話しをすると、偉そうに見えたり、手
を隠す(手の内を隠す)ということで、マナーに反するということでした。

 なるほどと思った反面、偉そうに踏ん反り返って話しをした訳でもなく、当
然何の隠しごともなかったので(笑)、休めの姿勢がそんなに悪いものかと、
ちょっと反抗的な気分にもなりました。

 そこで後日、調べてみたところ、消防組織法というものにたどりつきました。
こんな法律があるのかと思いつつ、さらに進むと消防訓練礼式の基準というも
のがあり、その中に休めの姿勢のとり方について書かれている条項を発見しま
した。

 礼式の基準に規定されているのだから、休めの姿勢は、決して非礼な姿勢で
はなさそうです。勝ち誇った気分になったのも束の間、その先を読むと「この
姿勢では、話をしたり動いたりしてはならない」と規定されていました・・・。
恥の上塗りをしたような気持ちになり、一人で顔を赤らめたことを思い出しま
した。


2019.01.22(火)【特別養子制度の見直し】(東京・鈴木龍介)

 このところ民法は、債権関係、相続関係、成年年齢関係と抜本的な改正が立
て続けに行われてきました。そんな中、特別養子制度の利用を促進するための
見直しについて、平成30(2018)年6月から法制審議会で検討が開始さ
れました。その背景には、近時、社会問題化されている児童虐待の法的救済の
1つとして特別養子制度を活用しようというのがあるようです。

 特別養子制度は、1987(昭和62)年に法制化された比較的あたらしい
制度です。その契機は「菊田医師事件」といわれていますが、事件の概要とし
ては、「菊田医師は中絶手術を求める女性を説得して思いとどまらせる一方、
生まれた赤ちゃんを子宝に恵まれない夫婦に無報酬で斡旋するというものであ
り、その際、やむを得ず偽の出生証明書を作成して引き取り手の実子とした」
というものです。

 特別養子とは、法的には実方の血族との親族関係が終了する養子縁組であっ
て、家庭裁判所の審判により成立させるものです。その大枠は変わりませんが、
今回は特別養子縁組の成立に関する規律を見直すとともに、現行法では養子と
なる者の年齢を原則として6歳未満としているところ、15歳未満と大幅に引
き上げる提案がなされる見込みです。このあたりを見ても、そもそも養子の福
祉を尊重していることが見受けられます。

 法制審議会での検討については、中間試案とパブリックコメントを経て、要
綱案のたたき台の起案という段階まできていますので、比較的早期に法案とし
て上程されるかもしれません。


2019.01.21(月)【剰余金の配当決議と効力発生日】(東京・古山陽介)

 先日、12月決算で3月に定時総会を開催するクライアントから受けた質問
です。

 定時株主総会を3月29日(金)に開催して、剰余金の配当決議を行うので
すが、土日を挟む関係で、支払日である効力発生日を4月1日(月)にしよう
としたところ、株主名簿管理人である信託銀行から、効力発生日は、基準日の
3ヶ月以内(つまり3月31日まで)でなければならないと言われたのですが、
どうでしょうか(前提としまして、期末配当については、事業年度末日の株主
に配当する旨の基準日に関する定めが定款にあります)。

 確かに、別冊商事法務であったり、信託銀行が編著となっている書籍には、
会社法第124条第2項を根拠に、効力発生日は基準日の3ヶ月以内にしなけ
ればならないと書かれています。

 上場企業ですと、安全に確実にということもあって、効力発生日が3ヶ月以
内であることが当たり前で、自分も頭もそれに慣れてしまっていますが、条文
を改めて読んでみると、はて、本当に効力発生日(支払日)が4月になっては
いけないのだろうかと疑問が湧いてきました。

会社法第124条第2項には、
「基準日株主が行使することができる権利(基準日から三箇月以内に行使する
ものに限る。)の内容を定めなければならない。」
 とあります。

 「権利の内容を定める」ということは、「配当の内容を決議する」に読み替
えることができます。そう考えると、権利の内容となる配当請求権の詳細を確
定するための「決議」は、確かに3ヶ月以内になされなければなりませんが、
支払日(効力発生日)まで3ヶ月以内である必要はないのではという方向に傾
いてきました。

 さらに調べていくと、コンメンタール会社法3でこの論点について解説がさ
れていました。やはり、解釈が分かれているようであります。

 ではでは、実際に効力発生日が3ヶ月を超えた事例はないのかと、ネットで
検索かけたところ、ありました!
  
  http://ke.kabupro.jp/tsp/20180510/140120180508429102.pdf

 ということで、効力発生日が3ヶ月を超えることについては、会社の判断に
ついて、説明を加えることで大丈夫でしょうという回答に至りました。念のた
め顧問弁護士等にも確認はしてくださいと伝えましたが。

 株式実務のプロが書いている本だから、実務では一般的だからと言った、長
いものには巻かれろの感覚を解きほぐしてくれる質問でした。


2019.01.18(金)【手続の順序】(金子登志雄)

 昨年から新進気鋭の若い司法書士から相談を受ける機会が増えました。会社
法の質問であれば、だいたいのことは応えられるという自信がありましたが、
こういう若い人の質問はいままで考えたこともない新鮮な内容が少なくなく、
勉強になります。

 例えば、取得条項付株式につき会社が別に定める日が到来することをもって
取得事由にした場合、取得する日を取締役会で定めたときは、取得条項付株式
の株主に当該日の2週間前までに、当該日を通知しなければならないと会社法
168条2項にあるが、先に通知をしておき、当該日までに取締役会で取得日
を決定してもよいかという質問をされたことがあります。

 合併等の組織再編であれば、会議の決定や公告等の手続の順序を問わないの
ですが、ここではどうなのでしょうか。条文に「取締役会で定めたときは」と
明記されていますので、だめなようにも思えますし、先に取締役会で定めよと
は規定されていないので、大丈夫のようにも思えます。

 これに関連して、株主総会は会日の2週間前に総会招集通知を発しなければ
なりませんが、発した後に取締役会で、その招集通知に記載された議案を決定
した場合はどうなのでしょうか。

 以上については、もともと手続の順序を問わないのか、順序を問うが瑕疵が
治癒されたと考えるのか、全く議論もされていなかった問題ですので、私も確
信をもった回答ができませんでした。

 従来はこういう場合に、期間短縮の同意書を付けなければ登記が受理されな
いという運用でしたが、「いや通知は合法的期間をおいてしています。単に取
締役会の決定が通知期間内になっただけです。どこがいけないのですか」と反
論した場合には、当局も困ってしまい、「上に問い合わせるから待っていて」
となることでしょう。

 そもそも、こういうことは学者が研究すべきなのに、日本の学者は怠慢です。
日本登記法学会にご参加の学者さんあたりに検討してもらいましょうか。


2019.01.17(木)【挨拶の仕方】(金子登志雄)

 稀勢の里は8連敗で引退とは、気の毒ですね。まだ32歳です。横綱でなけ
れば、もっと頑張れたのに………。これに対して、同じ勝負の世界でも外交と
なると実際には明らかな連敗続きでも、成果を上げたフリをしていれば、御用
マスコミが宣伝してくれ、それを無批判に信じてしまう国民の多いどこかの国
の政治の世界の横綱は楽なものです。

 さて、戦前への復古調の社会環境を反映してか、学校での道徳教育が強化さ
れていますが、昨年の日刊ゲンダイに、どこかの大学教授が面白い随筆を書い
ていました。小学校2年生の道徳の教科書に礼儀作法に関連して、次のように
あるのだそうです(記憶に基づく内容であることをお断りします)。

-----------------------------------------------------------------------
 あいさつをするときには、おじぎもしますが、つぎのどれがただしいですか。
  ①あいさつしながらおじぎをする。
  ②あいさつしてからおじぎをする。
  ③おじぎをしてからあいさつする。
-----------------------------------------------------------------------

 この大学教授さんもどれが正しいのか分からないといっていましたが、皆様
はいかがですか。正解は②で、これを「語先後礼」というのだそうです(「語
先礼後」あるいは「先語後礼」となぜいわないのかは不明です)。

 まるで茶道などの流派みたいで、笑ってしまいます。目の前の人が横を向い
ていたら、「こんにちは」などと声をかけ、こちらを向かせてからお辞儀をす
るのが普通だと思いますが、その他の場合は時と場合によるのであり、どれと
は決められないのではないでしょうか。挨拶にも個性があってよいでしょうし、
重要なことは心を込めた挨拶かどうかだと私は思います。

 講義の時、私は、まず深々とお辞儀をし、その後「皆さん、はじめまして」
と自己紹介からはじめていましたが、非礼だったのでしょうか。鈴木講師も、
酒井講師も、立花講師も気をつけてね。小学校2年生に笑われますよ。


2019.01.16(水)【目の衰え】(藤沢・酒井恒雄)

 最近、老眼の症状が進んで、小さい字が見づらいです。
 
 眼鏡を掛けた状態だと小さい字が読めず、眼鏡を外して紙に顔を近づけると
字が読めます。先日、司法書士仲間にそんなことを話したところ、流れで司法
書士手帳の話しになりました。

 司法書士手帳を愛用している方も多いと思いますが、手帳には予定を記入す
るページのほか、法務局の管轄や電話番号、登録免許税や印紙税の一覧等がギ
ッシリと(しかし細かい字で)載っており、とても便利な作りになっています。

 そして手帳にはルーペが付属品として付いています。私と同様に老眼の症状
がある人曰く、以前は、手帳の使い始めにルーペは捨てていたが、今はありが
たみを感じ、必需品になっているとのこのこと。その話を聞いて、私も、手帳
のポケットに入れたまま触ることもなかったルーペを、初めて使ってみました。
当たり前ですが字がよく見えて便利でした。

 それからは、手帳を利用するときにルーペを使うようになったのですが、ふ
と、女性から見て、眼鏡を外して頭の上に引っ掛けている姿と、ルーペを使っ
て手帳を見ている姿では、どちらがいいのか気になったので、事務所のスタッ
フに意見を聞いてみました。

 スタッフ曰く、例えば仕事中に長袖のワイシャツの腕をまくっている姿や、
ネクタイを緩めて作業に集中している姿等であれば、どれが良いか答えること
ができる。しかし、私が質問をした姿の良し悪しは、答えようがないとのこと。
何故なら、どちらの姿も老いを感じさせるものなので、どっちでいい(興味な
い)からだそうです・・・。

 ごもっともです。ちょっと凹んでいる私は、テレビで、お尻で踏んでも壊れ
ない眼鏡型のルーペのCMが流れると、食い入るように見てしまいます。役者
さんが格好いいからだと分かってはいますが、これはイケるのではないかと、
店頭に試用品を置いている眼鏡店に吸い込まれそうになっている今日この頃で
す。


2019.01.15(火)【地面師】(東京・鈴木龍介)

 最近、新聞紙面等を賑わせている「地面師」というのをご存知でしょうか。

 「地面師」というのは、一種の詐欺を働く犯罪者で、細かな手口は様々です
が、他人の土地について、あたかも自分のもののように振る舞い、売買代金等
を詐取するというものです。

 たとえば、今、話題の大手住宅メーカーの事件ですと(新聞報道ベースです
が)、山手線の駅から至近のいわゆる一等地(約600坪)の地主に成りすま
す、いわゆる替え玉を用意のうえ、虚偽の書類により同社から売買代金60数
億円を騙し取ったというもので、支払われた売買代金は雲散霧消状態とのこと
のようです。 

 こういった「地面師」犯罪は、日本の不動産取取引と不動産登記制度を悪用
したものと言え、登記に必要な売主の書類が整い、それを買主に交付したとこ
ろで、代金を決済するという一般的な不動産の売買取引において、偽造した書
類等により、そのような状況を作り出すわけです。

 そんなこともあって、タイムリーに発刊された『地面師 他人の土地を売り
飛ばす闇の詐欺集団』(森功、講談社)をこの正月休みを利用して読んでみま
した(amazon売れ筋ランキングでも1位(事件一般関連書籍部門)になったよ
うです)。 
  
  http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000313459

 なかなか面白かった半面、司法書士としては、いかにこのような事件に巻き
込まれないようにするかを真剣に考えさせられました。


2019.01.11(金)【2019年】(東京・古山陽介)

 新年明けましておめでとう。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 今年はどのような年になるのか、今まで以上に予想不可能で、金子先生も書
かれておりましたが、私も新しい時代が幕を開ける予感をしています。

 そのせいか、2020年の東京オリンピックが来年開催されるとは実感でき
ず、本当に開催されるのでしょうかと思ってしまうほどです。

 私の事務所(といっても完全な個人事務所ですが)は、今年の6月で10年
目に突入する年でもありますので、この大変革が起こりそうな1年も笑って振
り返ることができるように、業務スキルを更に磨いて、クライアントにより信
頼される司法書士であるべしと自分に言い聞かせています。

 また、今年は元号が変わる関係で、昨年暮れあたりから、クライアントから
確認依頼を受ける書類であったり、自分で作成する書類については、基本的に
西暦表記にしています。

 後々、書類やデータを引っ張ってくるときに、西暦で作成しておいたほうが、
クライアントも平成31年なのか新元号の元年なのか混乱しなくて済むだろう
と、個人的に考えています。意外とこういう些細なことであっても、クライア
ントによっては大変喜んでいただけたりするものです。

 それでは、健康第一に今年も一年駆け抜けたいと思います。


2019.01.10(木)【長期相続登記未了土地解消作業】(島根・根来川弘充)

 新年おめでとうございます。

 さて、題名を見て、「?」と思われる方は、多数おられると思います。

 昨年11月に法律が施行されてはじまった事業ですが、法律の内容は、「国
で長期間相続登記がされていない不動産について、相続人を探して相続登記を
促す」というものです。

 そして、その大きな実務である戸籍調査作業が、民間に委託されたのですが、
島根では、私が代表(二人います)を務めている青年司法書士会が、受託する
ことになりました。

 11月末から大量の戸籍等を見ることになり、改めて、発見することがたく
さんあることに、業務とは別に、とてもやりがいを感じております。

 戸籍の制度は、もちろんのこと、島根県内の地域性も、戸籍で年代をおいか
けていくと、当時の情景が浮かぶようで、歴史小説でもかけるのではないかと
さえ、思えてしまいます。

 本年の3月までで、私達が委託を受けた業務は終了するのですが、まだまだ
しばらく続くものと思います。

 不動産は、私達の財産権の象徴でもあります。相続されない土地がふえると
いうことは、財産価値の低下をまねくのではないかと、一司法書士としては、
近年不安に思っていました。この事業によって、一つ一つの土地が、流通性の
ある価値ある不動産に、生まれ変わることを期待したいと思います。


2019.01.09(水)【謹賀新年】(藤沢・酒井恒雄)

 明けましておめでとうございます。

 天気予報では、年始は厳しい寒さに見舞われるとアナウンスされていました
が、正月三が日は日差しがあったせいか、ポカポカと暖かく感じられました。
1月4日も穏やかな天気で、この日に休みをとれば絶好の長期連休になるとこ
ろでしたが、設立登記の申請がありましたので、やむを得ず・・・いや、喜ん
で出勤しました。

 毎年、年始の設立登記の依頼がある度に「予約申請」をしてみようかという
考えが頭をよぎります。予約申請とは勝手に名付けたものですが、要は、年末
の法務局の休暇中に予めオンライン申請をしておけば、年始に法務局が稼働し
たときに自動的に受付がなされるはずなので、そのシステムを利用すれば予約
したかのように申請できるのでは?ということです。今年のように年明け一日
だけ稼働して、翌日から再び休暇となるような場合には、休み明けに登録免許
税の納付と、オンライン添付書面も持参なり送付なりをすれば、問題なく申請
が出来るのではと考えます。

 もっとも、旅先や出先の通信環境が保証されていれば、ノートPC等を持参
して申請するのも方法ですよね。しかし、いずれにせよ「設立登記」ですと、
万が一に申請データが届かなかった場合のことも考えないといけません(紙申
請に切り替える等)。ですので、未だにいずれの方法もとったことがありませ
ん。

 そんなことを書いているうち(1月7日午後)に、もう設立登記完了のメー
ルが来ました。さすがファストトラック化ですね、助かります。

 今年も雑多な内容の投稿になるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいた
します。


2019.01.08(火)【謹賀新年】(東京・鈴木龍介)

 平成31(2019)年、初投稿ということで、まずは“明けましておめで
とうございます”。

 さて、今年の一番のトピックスというと、以前このコーナーでもとりあげま
した改元でしょうか。先ごろの報道では4月1日に新元号が発表されるようで
す(もしかすると商号変更登記が殺到したりして・・・)。登記については、
これまでどおり西暦ではなく和暦の表記のままでしょうから、過渡期は要注意
です。

 次に法令関係に目を転じますと、「民法」の相続分野の改正が施行になりま
す(段階的にですが)。第一弾として、この1月13日には自筆証書遺言の方
式緩和が、さらに今年の7月1日には創設される配偶者居住権を除く部分が施
行されます。

 詳細は把握しきれていませんが、「司法書士法」について、本年の通常国会
に改正法案が提出される模様です(情報をキャッチしましたら本コーナーにア
ップしたいと思います)。

 そして、「会社法」ですが、法制審議会での検討もおおむね終了し、まもな
く要綱が答申されるものと思われます。そのうえで、こちらについても本年の
通常国会に改正法案が提出されるのが濃厚のようです。この会社法改正が成立
するのを想定して、ボチボチと準備をはじめようかと思っています(こちらも
追々取り上げられればと・・・)。

 個人的には、夢はもとより格別に目標などもありませんが、目の前のことを
きちんと丁寧に対応できればと思っています。

 あと最後になりますが、数年前より公私ともに年賀状を廃止いたしまして、
年賀状を頂戴いたしました皆様には、この場を借りまして御礼と欠礼のお詫び
を申し上げます。

 ともあれ、今年もどうぞよろしくお願します。


2019.01.07(月)【新しい時代のはじまり】(金子登志雄)

 新年おめでとうございます。

 年末年始休暇はいかがお過ごしでしたか。無趣味で仕事大好き人間の私には
長い休暇は退屈で辛いのですが、今回は、旅行好きの妻がこの時期にしては格
安の海外ツアーをみつけて来たので、そのお供で地中海沿岸の南ヨーロッパ近
辺(ミラノ、ジェノバ、ニース、モナコ、バルセロナなど)を旅行しており、
退屈さからは解放されました。

 ただし、例によって何の下調べもしない修学旅行生と同じで人の後ろを歩い
ていただけなので、旅の感想は語ることができません。いつもどおり、西洋の
石の文化(城壁や勇壮な建築物)と色彩感覚に圧倒されてきました。西洋の屋
根はオレンジ系が多いので、町全体が1つの絵になってみえます。

 風景や建築物よりも人の動きに関心のある私は、国が変わったのに入国審査
も両替えも不要なEUの素晴らしさや、EU諸国でさえ「物乞い」も少なくな
い貧富の差の大きい自由主義を見ながら、明日の日本の姿を想像していました。
 
 小泉政権以来、米国資本の喜ぶ金持ち及び大企業優遇策が進められ、雇用さ
れて働く従業員の富は減る一方ですし、今年は消費税がアップされる年になり
ますから、勤労者にはますます厳しい時代に突入することでしょう。

 零細な個人事業主である我々も、中小企業と同様に世の荒波に無縁というわ
けにはまいりませんが、ある事業が廃れても別の事業が成長すれば、そこが顧
客になるため、その点は恵まれています。また、団塊の世代が70歳を超えつ
つありますので、成年後見も市場として拡大するでしょう。

 我々の資本は健康と業務スキルだけです。経済力は成長しませんでしたが、
それなりに平和を維持した平成の30年は終わり、本年は波乱の時代の幕開け
ですが、健康に留意し、顧客の要望に十分に応えられるよう業務スキルを磨い
て生き残りましょう。



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