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こんにちはESG法務研究会です

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ESG法務研究会は、合併再編等会社法手続きの実績は最大級!

TOPICS


1.最近の出版は次のとおりです。いずれも実務書であり、画像は本HPの左
 側の回転板あるいはアマゾン等で、ご確認ください。
 (1)『募集株式と種類株式の実務〔第2版〕』…………2014年5月発売
 (2)『事例で学ぶ会社法実務【会社の計算編】』………2014年7月発売
 (3)『親子兄弟会社の組織再編の実務〔第2版〕』……2014年7月発売
 (4)『「会社法」法令集〔第11版〕』…………………2015年3月発売
 (5)『「会社法」法令集〔机上版〕』……………………2015年5月発売
 (6)『改正会社法と商業登記の最新実務論点』…………2015年11月発売
 (7)『会社法務書式集〔第2版〕』………………………2016年3月発売
 (8)『組織再編の手続〔第2版〕』………………………2016年7月発売
 (9)『論点解説/商業登記法コンメンタール』…………2017年2月発売
  (10) 『商業登記実務から見た中小企業の株主総会・取締役会』
                       …………2017年4月発売
  (11)『総務・法務担当者のための会社法入門』…………2017年10月発売
 (12)『事例で学ぶ会社法実務【全訂版】』………………2018年4月発売

徒然日誌


2018.04.26(木)【合同会社の資本金の額の減少と定款上の出資の価額】
                           (仙台・立花宏)

 以前もこのコラムに書きましたが,合同会社の利用が進んでいるようで,平
成18年の会社法施行以来,設立数が順調に増えてきています。設立数が増えて
くるとその他の変更登記手続等も増えているのだろうと推測しますが,私自身
は設立登記に関与した件数と比較すると,あまり合同会社の変更登記には関与
する機会がなかったように思います。

 たとえば,昨年,株式会社の資本金の額の減少の登記手続は数件,関与させ
ていただきましたが,合同会社は1件もありませんでした。というより,これ
まで,合同会社の資本金の額の減少の登記手続はご依頼いただいた記憶があり
ません。株式会社と違い,合同会社の資本金の額を減少できる場合は,損失の
てん補のため(会620条),出資の払戻しのため(会628条),持分の払戻しの
ため(会628条)に限定されており,あまり実行するケースがないのかもしれま
せん。

 ただ,実際にご相談があったら,株式会社の資本金の額の減少以上に神経を
使う部分もあるように思います。というのは,資本金の額の減少ができる場合
が限定されているということのほかに,減少できる資本金の額が限定されてお
り,それぞれのケースで検討が必要ということがあげられます。さらに,持分
の払戻しに伴う場合は資本金の額の減少に関する債権者保護手続(会627条)の
ほかに,会社の剰余金と持分の払戻額との関係で必要となる債権者保護手続
(会635条)も検討が必要で,一定の場合にはその期間も1か月ではなく,2か
月となり,そして,いわゆるダブル公告(官報+定款で定めた公告方法(日刊
新聞紙or電子公告)では足りず,必ず知れたる債権者への個別催告が必要とな
ります。

 添付書類の検討等もあり,株式会社の場合とは別の難しさがあるといえるで
しょう。

 ところで,社員がA,Bの2名で,資本金の額が 200,定款に記載されてい
る出資の価額はA100,B100である合同会社を前提とします。

 この会社で損失のてん補のため,資本金の額を100減少して資本剰余金とし,
全額を利益剰余金に振り替えて損失の処理を行ったとします。この結果,資本
金の額は100(資本剰余金は0)となりました。

 定款上のAとBの出資の価額はそれぞれ100で合計すると200です。このまま
だと登記されている資本金の額100と定款上のA,Bの出資の価額の合計200が
合致しませんが,これは問題ないでしょうか。たとえばA50,B50と定款を変
更する必要があるでしょうか。

 結論として,定款の変更は必要ありません。会社法立案担当者の解説によれ
ば,「出資の払戻しと異なり,これによって,過去の出資の事実自体がなくな
るわけではない。したがって,「損失の処理」が定款に定めている「出資の価
額」自体に影響を与えることはなく,これを減少する必要もないし,損失の処
理により減少した資本剰余金相当額が出資未履行という状態になるわけでもな
い」(別冊商事法務「別冊商事法務300 立案担当者による新会社法関係法務省
令の解説」169頁)としています。

 結果として,登記された資本金の額と定款に記載された出資の価額の合計額
は異なることになります。違和感を感じるかもしれませんが,そもそも,それ
らは必ずしも合致するものではないとも言えます。 

 これも,会社法立案担当者の解説によれば,「出資の価額は社員間で各社員
が持分会社に出資すべきものとして定めた額であるところ,資本金・資本剰余
金は持分会社に対して社員が現に履行した財産の価額の合計にすぎず,出資の
履行時の財産の評価方法等のいかんによっては,定款で定められた出資の価額
とは必ずしも合致しないことになる」(別冊商事法務「別冊商事法務300立案
担当者による新会社法関係法務省令の解説」162頁)からです。

 いろいろな難しさがあるように思いますが,実際にご相談があったら、とて
もやりがいがある分野といえるのかもしれません。


2018.04.25(水)【用語】(藤沢・酒井恒雄)

 こんな電話が架かってきたことがありました。

 「すみません、決算が終わったので、決算手続の代行をしてもらえるでしょ
うか?」

 それを聞き、私は税理士と勘違いされていると思いましたので、「決算手続
の代行といいますと、税務申告のことですね? それであれば税理士に依頼し
てください。私は司法書士なので税務申告の代行は出来ないのです。」と答え
ました。

 すると電話の主はこう答えました。「いや、税務申告は済んでいるので、2
年に1回やる手続の方を代行してもらえないかと・・・。」。

 なるほど、そういうことかと納得しました。依頼人にとっては、決算承認と
役員選任の議案が同じ議事録上に記載されているので、これらはすべて、「決
算手続」というものだという認識だったようです。危うく、依頼を断るところ
でした。

 こんな電話が架かってきたこともありました。

 「今度、うちの取締役が解任になったから登記して。」

 電話の主は、とても明るい口調でした。きっと、ずっと抱えていた問題が解
決し、取締役を解任することで決着がついたのだろうと予想しました。

 念の為、その取締役の解任に至った理由を尋ねでみました。すると、こんな
答えが返ってきました。「理由? もう引退だよ。長年頑張ってくれたから退
職金も出すよ。」。

 なるほど、そういうことかと納得しました。依頼人にとっては、それが自主
的な退社であっても、そうでなくても、役員の任を解かれて退社するのだから
「解任」だという認識だったようです。危うく、解任の議事録を作成するとこ
ろでした。

 「用語」が意味することを、依頼人との間で共有しているとは限りません。
そもそも用語とは、「ある特定の分野で用いられる言葉」なのですから、特殊
なものだという認識を持ちつつ、注意して解釈しないといけませんね・・・・
・・。


2018.04.24(火)【大学で教える~その2~】(東京・鈴木龍介)

 前回の「大学で教える」の続きになりますが、今回は受講者(学生)側から
見て司法書士講師がどうかというところを取り上げてみたいと思います。なお、
想像による希望的観測を含みます。

 まず、専任の講師でない司法書士の授業は、学生にとって新鮮であることは
間違いないでしょう。司法書士に限った話ではないかもしれませんが、外部の
非常勤講師は、基本的に大学の授業に不慣れです。逆にいえば、普段の専任の
大学の先生の授業と違うという意味で、ある種の緊張感が生まれ、学生にとっ
てもマンネリ防止という効果はあるように思います。また、大学の先生を含む
学校関係者以外の“大人(社会人)”に触れる機会という面でも有用有益なと
ころも少なくないように思います(もちろん、アルバイトや就職活動を通じて
“大人”と接することはありますが、その場合とは立ち位置や心持ちが違いま
すので)。

 授業の中味という面では、いわゆる教科書にはない実務をベースにした現場
の話というのは、ほとんど聞いたことがないはずですし、見るもの、聞くもの
初めてということが多いかと思います。特に登記については、民法177条
(不動産物権変動の対抗要件)や会社法908条(商業登記の効力)といった
条文自体は知っていても、登記がどのような場面で、どのように使われている
かという具体的な話というのは司法書士にしかできないものといえますし、今
後、社会に出たときには役に立つ知識であると思います。また、登記を知るこ
とで、これまで今一つ理解できなかった民法や会社法の実体上のルールのイメ
ージが明確になるという効果もあります(私も過去に登記を学んでみて民法や
当時の商法がわかったという経験があります。)。

 多くの学生は、弁護士や税理士に比べ、司法書士という職業のイメージは薄
いように思います。生の司法書士と触れることにより具体的かつ現実的な姿を
知ることができ、とりわけ法学部の学生にとっては将来の進路の1つとなる可
能性もあるのではないでしょうか。


2018.04.23(月)【会社法の中の個別民法】(金子登志雄)

 大学時代は民法ゼミでしたし、民法には人一倍強い自信がありますが、商業
登記では民法を開くことがほとんどありません。会社法や商業登記法の枠内で
解決してしまうからです。

 これではいけないと、土日は、鈴木さんご紹介(4月10日本欄)の『民法
改正ここだけは押さえよう!』をざっと眺めてみました。ポイントがよく整理
されている優れものだったため、短時間で全貌が分かり助かりました。

 さて、民法は個別取引法(個人法)、会社法は個人の集合である集団規律法
です。自由主義国家の基本は「個」ですが(憲法13条)、会社には株主、債
権者、新株予約権者、従業員と多くの利害関係者が存在しますし、社会に対す
る責任もありますから、それらの利害関係を調整するのが会社法です。

 しかし、会社法解釈においても、ちらっと民法が登場することがあります。

 会社法332条によると、取締役の任期は一定の条件で定款で短縮したり伸
長することができますが、その場合でも、「株主総会の決議によって、その任
期を短縮することを妨げない」とあります。

 この結果、取締役としてABCを選任する際に、それぞれの任期を変えるこ
ともできます。これは、会社とAとの委任契約、Bとの委任契約、Cとの委任
契約の3つですから、それぞれ内容を変えられるからです。

 実例はほとんどありませんが、募集株式の発行でも同じです。1株5万円の
払込金額と決めたのに、ある株式申込人だけが1株6万円でよいから出資した
いというのに、それを断る必要はありません。個別の株式引受契約ですから、
民法が登場します(資本金計上額は現実の出資合計額が基準です)。金銭出資
と様々な現物出資が併存した場合は微妙に価値の差が生じるでしょうし、新株
予約権の割当契約を従業員との契約の場合と取締役その他との契約の場合で内
容を変えるのと同様です。集団を規律する制度の内容と個々の債権契約内容は
区別しなければなりません。

(御礼)
 アマゾンによると新著(事例で学ぶ会社法実務)の出足は好調のようで、御
礼申し上げます。著者3名に寄せられた感想では、実務内容が中心であること、
学者とは一線を画した実務の視点での切り口が歓迎されているようです。
           https://is.gd/VM0e2c



2018.04.20(金)【自立解釈の勧め】(金子登志雄)

 全訂版『会社法実務』について著者でもあり最初の読者でもある立花さんが
投稿してくれましたが、幸先さんもご自身のブログで書いてくれましたので、
ご覧ください。
       http://sssh.jp/kosaki/
 
 文章スタイルも着眼点も相違するお二人の参加で、面倒な校正も3人の目で
チェックでき、だいぶ助かりました。

 さて、月曜日に「不動産の現物出資の給付に登記が必要だとする学者見解が
ある」と本欄で批判しましたら、早速、親しいベテラン司法書士から「10年
ほど前に会社から弁護士が払込期日までに登記しないと増資が無効だといって
いるからすぐに登記してくれと急かされて泡を食った経験があります」という
体験談をいただきました。

 これとよく似た例として、会社法319条の書面決議につき、取締役会で議
題を決めなければだめだと顧問弁護士がいっていると会社にいわれた司法書士
が少なくありません。会社法の大家である江頭先生の著書にそうあるからです。

 この江頭見解は江頭一人見解ともいうべき少数説ですが、その顧問弁護士さ
んはそのことを知らず、大家の江頭先生のいうことだからと何の疑問も持たな
かったのでしょう。

 「権威」の見解は尊重しなければなりませんが、法律学者・弁護士・司法書
士は法律解釈のプロなんですから、自分はどう思うかを基本に据えなければい
けないのに、権威を鵜呑みにするのは困ったものです。相撲の世界でいう恩返
しになりません。

 この点で、会社法立案者の相澤氏、葉玉氏、郡谷氏らは、よい面でも悪い面
でも実にすごい人たちでした。旧商法の体系(権威)をことごとく破壊し、会
社法案審議の座長である江頭先生の意見も横に置き、革命的な会社法を作成し
てしまいました。

 その結果、発行価額を払込金額に、譲渡制限を取得制限に変えるなど、もの
の見方さえ逆転させてしまいました。視点の基準点も移動させてしまいました。
合併手続でいえば、これから、あれとこれをしてという現時点を基準にするの
でなく、将来の効力発生日を基準点として、その時点から過去をみて、あれも
これも済んでいればよいという順序を問わないものに変えました。旧商法の体
系に洗脳されていなかった証拠ですから、すごいことです。これで、あたかも
国語の商法を数学の会社法に変えてしまいました。曖昧性の排除や論理性とい
う意味では格段に進歩しました。

 なお、不動産の現物出資に増資前に登記を要するかの論点につき、立花さん
から「(肯定説では)不動産登記をしないと現物出資の効力が生じないことに
なると思いますが、現物出資の効力が生じないと不動産登記はできないのでは
ないでしょうか」と、まるで盾(たて)と矛(ほこ)の故事のような感想をい
ただきました。こういう疑問が瞬時に脳裏に浮かぶように鍛錬することが必要
です。


2018.04.19(木)【疑似実務体験】(仙台・立花宏)

 平成16年に司法書士試験に合格し,補助者として司法書士事務所に勤務しは
じめたのが平成18年,そして司法書士登録したのは平成19年でした。司法書士
登録してからだけでも10年以上過ぎたことになります。あっという間だったと
いう感覚しかありません。

 平成18年から10年間勤務させていただいた事務所では,商業登記だけでも,
比較的いろいろな種類の仕事を経験させていただきました。実務の難しさ,楽
しさを味わう貴重な経験をすることができました。金子先生及びその周辺の先
生と知り合い交流することにより,最先端の司法書士実務とその理論に触れる
機会を与えていただいております。また,地元の仲間同士での勉強会に参加す
る機会もあり,自分の意見を発信する機会が増えました。

 この10年余りの司法書士生活の中で,いろいろな実務論点を経験し,検討し
てきたはずです。いつか,そうした実務論点を自分なりにまとめてみたいと思
っていたのですが,自分に言い訳をして,なかなかそうした機会を作ることが
ありませんでした。

 今回,金子先生からお声がけをいただき,東京司法書士協同組合編『事例で
学ぶ会社法実務【全訂版】』(中央経済社)の出版に関与させていただく機会
を得ました。この本は平成26年に出版された金子先生の著書,東京司法書士協
同組合編『事例で学ぶ会社法実務 設立から再編まで』(中央経済社)を,そ
の後の法令改正や最新の実務論点をあらためて網羅し,全面的に見直した“全
訂版”です。

 平成26年に当初版が出版されたとき,早速購入して目を通し、その内容に驚
かされました。自分がいつかまとめたいと思っていた実務論点は当然のように,
しかもずっと深く理論的に,さらに,圧倒的に詳しく実務に即した解説がなさ
れていました。その内容を目にし,私は自分の理解の浅さを恥じることが多か
ったように思います。そして,さらに,私がまとめようと思っていたことの何
十倍ものたくさんの,しかも最新の実務論点がわかりやすく解説されていたか
らです。このような書籍の出版に関与するのは,私には一生無理だろうと思っ
ておりました。

 そんなところに,金子先生からお声がけをいただき,今回の改訂に参加させ
ていただくチャンスをいただきました。金子先生に、そして、一緒に著者とし
て参加された広島の幸先先生に引っ張っていただくばかりでしたが,おかげさ
まで,今回,出版に関与させていただいたことにより,私は自分ひとりで司法
書士業務を行うことにより経験するはずだった一生分の何十倍もの実務経験を
疑似体験させていただいたように感じます。

 この本をご覧いただくことにより,私と同じような疑似体験ができるものと
確信しております。もちろん,最初から最後までお読みいただくのが一番です
が、いつも手元に置いておき、会社法務・商業登記実務において疑問に感じた
ことがあったときに,さっと手にとり,まずは目次を目で追っていただくとい
う使い方でも、もちろん有益だと思います。きっと,目指す項目が見つかると
思います。

 まだ,商業登記実務の経験が少ない登録から間もない司法書士の方をはじめ,
最新の実務論点を確認したいベテランの先生まで,幅広い層の皆さまにお役に
立つ実務書だと考えております。ぜひ,たくさんの方々にお手にとってご覧い
ただきたいと思っております。


2018.04.18(水)【登録免許税】(藤沢・酒井恒雄)

 登記の依頼を受けるにあたり、当初予定していた方針が、登録免許税の額の
多寡によって変更されてしまうケースがあります。

 典型例の一つは、株式会社の機関設計の変更です。取締役会設置の非公開会
社で3人の取締役がおり、そのうちの1人が辞任あるいは退任することになっ
た場合、以後、取締役は2人体制として取締役会の廃止等をするか、もしくは
取締役1人を補充して引き続き取締役会設置とするか等を検討します。

 依頼人には、選択肢ごとのメリット・デメリットや、想定されるリスクも説
明し、最終的な方針を決めてもらいます。その結果、依頼人が取締役会を廃止
する方針にすると決めた場合において、次に登録免許税と報酬の話をすると、
「そんなにかかるなら考え直したい。」と言われてしまうことが少なくありま
せん。司法書士の皆さんも経験があることと思います。

 株式の譲渡制限の規定の仕方にもよりますが、大体が7万円の登録免許税が
かかるケースになります。中には、「先に登録免許税の額を言ってくれたら色
々頭を悩ませないで済んだのに。」などと言う人もいたりしますが、こちらと
しては、色々考えてから結論を出して欲しいので、先に登録免許税の話はしな
いようにしています。

 管轄外への本店移転だったはずが、登録免許税が6万円かかると説明した後、
管轄内の本店移転に方針変更となったこともありました。もっとも、このケー
スは、いずれの移転先もバーチャル・オフィスだったので、本店としての機能
云々はあまり考えなくてよい場合ではありました。

 先日は、合名会社の種類変更について、当初は合資会社への変更を予定して
いたにも関わらず、登録免許税の額に差があることを説明した途端、合同会社
に変更となりました。

 種類変更をして合資会社の設立をする場合の登録免許税の額は6万円ですが、
そのケースは、種類変更による合同会社の設立の登録免許税は、その最低金額
である3万円で収まるというものでした。こんな場面でも登録免許税がネック
になるのかと思いました。

 報酬額で調整すれば費用総額の差が出なくなるでしょうが、他人が登録免許
税を一部負担するような形になるのも変な話ですよね?登録免許税の額が意思
決定の重要な要素になってはいけないと思いますが、実際にはそういうことが
多く行われています。


2018.04.17(火)【大学で教える】(東京・鈴木龍介)

 今週から、あらたにお引き受けした大学(現在、スポットのもいれると5校
にもなってしまいました・・・)の授業が始まります。ちなみに内容は実務的
な視点を踏まえての民法です

 今回のものは、いわゆる春学期(半期)15回の授業です。もちろん非常勤
講師ですが、毎週同じ曜日、同じ時間に拘束されるというのは結構しんどいも
のです。一応、講師料なるものはいただけますが、まあ採算がとれるというこ
とはなく(大学によって基準等は異なりますが、おしなべて・・・です。)、
それがモチベーションにはなりません。

 では、どうしてやるかということですが、自分なりにいくつか理由はありま
す。まず1つ目は、断れない先(ルート)からの依頼というのがあげられます。
つまり、友人・先輩や何かと世話になっている方からのオファーということで
す。

 2つ目は、弁護士の場合、ロースクールの実務家教員との関係で、相当数の
弁護士が教壇に立っていますが、司法書士の場合、限定的であり(私が知る限
りですが、どのくらいの司法書士がどこの大学でどんなことを教えているかと
いったような調査データはないと思います。)、勝手に司法書士業界の知名度
アップ等々の発展のためと思ってお引き受けしています。

 3つ目としては、“教えることは学ぶこと”ということで、不明確だった部
分がクリアになったり、趣旨や理屈を整理できたりということが少なくありま
せん。とりわけ学生相手ですと、基本的なところから入るケースが多いので、
前提の知識の再確認という点でも収穫があるように思います。

 最後に付け加えるとすると、言い方はあれですが、マンネリ防止でしょうか。
普段の仕事や生活では、大学に行ったり、学生と話したりということはほとん
どないわけで、新鮮といえば新鮮です。

 おまけですが、大学を訪れた際に、学食に行くようにしています。ノスタル
ジーもありますが、学食はその学校の校風というか雰囲気がわかるような気が
します。


2018.04.16(月)【現物出資の給付完了とは】(金子登志雄)

 神崎先生主宰の商業登記倶楽部実務相談室に、要旨で、次のような質問があ
りました。

----------------------------------------------------------------------
 会社法34条1項ただし書には、「ただし、発起人全員の同意があるときは、
登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、
株式会社の成立後にすることを妨げない」とあるが、募集株式の発行時にはこ
のような規定が旧商法時代と相違し存在しなくなった(準用されなくなった)。
これを根拠に不動産の現物出資では登記しないと給付があったとされないとの
見解があるが、どう考えるべきか。
-----------------------------------------------------------------------

 調べましたら、中央経済の『逐条解説会社法⑶』128頁などに、そのよう
な見解が自信たっぷりに書いてありました。学者や弁護士には、こういう見解
もあるのかと少々驚きました。

 私は、18日販売の『会社法実務〔全訂版〕』119頁に「出資の履行ある
いは給付があったといえるためには、権利の移転が終わったと評価される必要
がありますから、不動産や自動車でいえば、所有権移転登記に必要な全書類の
授受がなされ、いつでも会社が登記あるいは登録の申請に臨める状態になった
ことが必要です」と書いたとおり、必ずしも登記までは必要としないという見
解です(きんざい『商業登記コンメンタール』では223頁)。

 さて、若い司法書士の皆さん、貴方の実務能力あるいは感性を試すよい問題
です。どちらが正当だと思いますか。反対説を理由付けで批判してください。
法律解釈は説得学であり、理由を付けて説明できなければ敗北です。

 学者見解に対する不勉強な私の反論は以下のとおりです。 
1.現物出資者がやるべきことを全て終わったのに、給付が終わっていないな
 どという見解は常識に反する。会社が払込期日までに登記しなかったら、給
 付未了とでもいうのか。
2.給付というのは出資者の行為であって、会社の行為を含まない。登記は共
 同申請であり、出資者だけではできないことを分かっているのか。
3.払込期日が日曜日であったり。登記所が休みの12月30日であったら、
 その日に株主になれないとでもいうのか(払込期日に株主になるので事前に
 登記を申請することはできない)。
4.会社法が募集株式の発行で34条1項ただし書の準用をやめたのは、払込
 期日に登記することもできるからであり、その日までに登記しないと給付が
 あったと認めないという趣旨ではない。

 以上です。私が常日頃「自分の頭で考えよ。権威ある学者見解でも、法務省
(の担当者)の見解でも、それらを鵜呑みにするな」といっている意味がお分
かりいただけたでしょうか。現実社会に詳しくない学者本や弁護士本に対して
は批判的な目で読むことが重要です。貴方の頭脳の主人は貴方です。洗脳され
てはなりません。

 なお、株式会社の現物出資で給付があったことを証する書面は登記の添付書
面ではありません。登記せずとも募集株式の登記の受理に影響しません。

  (実務の感性を磨きましょう。18日発売です)
       https://amzn.to/2JsasfK


2018.04.13(金)【代表取締役追加の注意点】(金子登志雄)

 商業登記の書き入れ時である4月も第2週の終わりの日となり、登記所も徐
々に落ち着いてまいりました。

 私も予定仕事だけで考えると暇になりましたが、この時期は、突然に緊急案
件が飛び込んでくることもあり、まだ少々バタバタしております。

 まるで季節労務者です。4月初旬、6月下旬の定時株主総会後、10月初旬
だけでしか繁忙時期がないのですから………。

 もっとも、私以外の商業登記専門司法書士は、顧客数も多く常時多忙のよう
ですから、私だけが季節労務者なのかもしれません。

 さて、取締役ABCD(代表取締役A)で、Aが3月31日に代表取締役の
みを辞任し、4月1日付けでBを代表取締役に選定した場合の忘れてはならな
い注意点を上げてください。取締役会設置会社とします。

 第1に、Aの辞任届には届出印が必要です(商登規則61条8項)。
 第2に、Bを代表取締役に選定した取締役会議事録のAの押印は届出印がベ
  ストです(同6項)。Bの就任承諾書の押印は個人実印です(同5項)。
 第3に、B代表取締役の印鑑届が必要です。

 では、Aが代表取締役のままで社長から会長になり、Bを新代表取締役社長
に選定しAが使用していた社長印をBが使う場合の注意点は何でしょうか。

 意外に知られていませんが、Aにつき廃印届が必要です。Bの社長印届出で
自動的にAにおいて廃印されるわけではありません。一度、補正を経験すれば
決して忘れなくなります。


2018.04.12(木)【持分会社の決議とは】(仙台・立花宏)

 私達司法書士は商業登記の専門家ですから,実体法である会社法についても,
もちろん,日頃から勉強しております。ただ,勉強している範囲は,どちらか
というと,実務でご相談をいただいたりする分野が中心で,実務であまり触れ
ないような内容は手薄になっている場合もあります。そうしたところをカバー
するため,時々,そうした分野の条文を読み込んだりしています。

 先日もそれを行っていたところ,ふと気になる条文がありました。会社法第
859条の持分会社の社員の除名の訴えについての条文です。除名は会社法の
定める持分会社の社員の法定退社事由(会607条1項8号)です。除名の手
続は,対象の社員について一定の事由がある場合に,訴えをもって行います。
そして訴えを起こす前提として,条文上は対象社員以外の「過半数の決議」が
必要となります。

 条文を読んていて,ふと,持分会社における「過半数の決議」とは何だろう
と思いました。決議という言葉は,一般的に合議体において意思決定をした結
果について用いられるものと思います。そうすると,除名の訴えを起こすには,
社員総会のような会議体において決定する必要があるのでしょうか。しかし,
会社法上,持分会社について社員総会という組織は規定されていないはずです。

 日本評論社の『新基本法コンメンタール会社法3【第2版】』を見てみると,
この持分会社の決議に関する判例(最判昭33・5・20)があるようです。
判例によれば,あらかじめ決議事項を通知しなければならないという取締役会
設置会社の株主総会のような手続は必要はないとしています。持分会社の決議
については,会社法(当時は旧商法)に規定がなく,民法の組合の規定を準用
すべき(旧商法68条)であり,その民法の組合について,招集通知のような
規定がないことが理由です。

 また,同コンメンタールによれば,「決議事項に応じて総社員又は過半数の
社員の同意が得られれば決議は成立する」ということのようです。決議の趣旨
や要件は以上のとおりに理解しました。

 ただ,たとえば,会社法590条の業務の決定は「社員の過半数の決定」,
同法595条の利益相反取引の制限については,該当する社員以外の「社員の
過半数の承認」という用語を使用しています。除名についてはなぜ,決議とい
う用語を使用しているのかという点については調べきることができませんでし
た。

 なお,除名については,旧商法第70条でも会社法第859条でも,「社員
の過半数の決議」が要件とされています。しかし,前記の利益相反取引につい
ては,会社法859条では「社員の過半数の承認」となっていますが,旧商法
第75条では「社員の過半数の決議」となっていました。会社法になる際,文
言が変更されたのだろうと思います。

 会社法859条ではあえて「決議」という用語を残したのかもしれません。
そこにはどのような意味があるのか。手元にある資料では調べきれませんでし
た。機会をみて,いろいろな資料に当たってみたいと思います。


2018.04.11(水)【クラスメイトの呼び方】(藤沢・酒井恒雄)

 新学期が始まり、街では小学校に入学したての子供たちをよく見かけます。
新調のランドセルも眩しく、後ろから見るとランドセルだけが歩いているよう
で、なんとも微笑ましく思えます。年をとると、無性に小さい子がかわいいと
思うようになるのは何故なのでしょう? 不思議な現象です。

 我が家の小学生の子は、学年が上がってクラス替えがあり、お目当てだった
先生が担任になっただとか、誰々くんとは別のクラスになってしまったとか、
一喜一憂をしているところです。

 そんな中、「一郎くんとは、また同じクラスだったよ。」という話しが出ま
した。あまり聞いたことのない名前だったので、「あれ?うちの子は、一郎く
んと仲が良かったかな?」と思い、最近はよく遊ぶのかどうかと尋ねてみまし
た。

 すると、あまり一緒には遊ばないし、それほど親しくもないという答えが返
ってきました。それを聞いて何か不思議な感じがしました。

 例えば、同じクラスに「甲野一郎くん」、「乙野花子さん」という子がいた
とします。私の感覚からすると、この子たちをどう呼ぶかといえば、「甲野く
ん」、「乙野さん」という呼び方からスタートして、仲の良い間柄になったら
「一郎くん」とか「花子ちゃん」と呼ぶようになるのが自然の流れだと思って
いました。

 つまり、「氏」で呼ぶか「名」で呼ぶかは、お互いの親密度・距離感に比例
していると思っていたのです。しかし、今は、クラスのみんなが、はじめから
「名」で呼び合うことにしているようです。その方が親しみも出て良いという
理由かと思ったのですが、どうやら3組に1組ともいわれている高離婚率時代
と関係があるようでした。

 思い出せば、私が小学生のときにも同級生の氏が変わったことがありました。
氏が変わった後も、私はずっとその子を旧姓で呼んでいましたが、どうもそれ
が本人には複雑だったようで、私が旧姓で呼ぶと少し暗い顔になっていたよう
に思います。小学生くらいの子供がいる場合であれば、離婚をしても婚姻中の
氏を継続して使用している場合も多いかと思われます。たしかに、氏で呼ぶよ
り名で呼んでおいた方が、デリケートな問題に発展することが避けられるのか
もしれません。仲の良し悪しとは関係がないのですね・・・・・。


2018.04.10(火)【『民法改正ここだけは押さえよう!』刊行】
                           (東京・鈴木龍介)

 今回は宣伝(PR)となりますが、中央経済社より『民法改正ここだけ押さ
えよう』という書籍が発刊されました。これは、日本司法書士会連合会(日司
連)編の債権法の改正に関する第3弾として、私も日司連の民事法改正対策部
のメンバーとして編集・執筆に携わりました。

 同書は2020年4月1日から施行される債権法の改正について、市民の方々に
その内容を理解いただくことを主眼に、身近な法律問題に関連する事項をやさ
しく解説するという内容になっています。Q&A形式を採用し、イラスト満載
の本文91ページのコンパクトサイズです(本体価格は1,100円(税別)です)。

 一般向けの書籍として法律の専門家ではないビジネスマンや学生といった皆
さんを対象にしていますが、司法書士をはじめとするプロの方々でしたら1時
間もあれば読めてしまうと思いますので、債権法の改正のアウトラインをつか
むという点ではお奨めです(手前味噌ですが)。また、そういったプロの方々
がクライアントに説明したり、セミナー等の教材として使っていただくことも
念頭に置いています。

 ご興味・ご関心のある方は、是非とも手にとっていただければ幸いです。
以下、紹介のアドレスです。

    http://www.suzukijimusho.com/books


2018.04.09(月)【青年よ、商業登記に強くなろう】(金子登志雄)

 土日は九州ブロック青年司法書士連絡協議会の業務研修会の講師として福岡
訪問でした。テーマは種類株式でした(幹事の皆様お世話になりました)。
 
 元気いっぱいの青年の皆様ばかりでしたが、中には平成29年度合格者など
も相当数いらっしゃたようで、日司連のNSR3掲示板(司法書士の方は「N
SR3」で検索してください)も、商業登記倶楽部も神崎先生の名も当ESG
のHPもご存じない方もおられ、久々に新鮮(?)な感覚を味合うことができ
ました。

 高名(?)な講師である金子事務所が寂しい1人事務所で自分でコピーもし
ていることも驚きだったようです(悠々自適のマイペースの生活ぶりはうらや
ましがられたようですが)。

 無理もありません。いまは予備校で脇目も振らず予備校本だけで受験するの
が合格の最短コースのようですから、合格したばかりでは、実務知識も実務家
のことも知らないのが当然です。

 その意味では私のクイズ形式の決して予備校では教えない実務家ならではの
講義は新鮮だったようで、講義の休憩時間には質問者が10人以上もいらっし
ゃいました。

 全国の青年司法書士の皆さん、我田引水の宣伝を兼ねて商業登記の実務に強
くなる方法を教えます。

 4月中に次の本がでます。

    https://amzn.to/2JsasfK

 全部で381項目ありますから、これをA(十分に分かっている内容で不要)、
B(読んで頭では理解できたが実務で使えるまでには達していない)、C(十
分には理解できなかった)に分けてください。
 
 Aはもう読む必要はありません。
 Bは2週間後や1か月後に再読し、Aになるまで繰り返し読んでください。
 Cについても同じであり、CがBになり、最終的にAにしてください。

 これで貴方は、同県内で最も会社法及び商業登記に詳しい人材となり、実務
経験も増えれば、いずれは著者の立花さんや幸先さんの背中が見えてくるでし
ょう。



2018.04.06(金)【書面審査主義と直前チェック】(金子登志雄)

 月曜日の続きですが、今日は形式的審査主義(登記審査は書面審査に限定さ
れるという主義)の検討です。

 さて、4月1日付AB合併の登記申請の前に、3月中の役員変更その他につ
きBで4月6日に登記申請する場合、登記の委任状はさすがに4月1日以前に
するでしょうが、株主リスト等の日付を4月6日にしてよいでしょうか。

 これ何の問題もありません。①Bの役員変更等、②Aの合併変更、③Bの合
併消滅という順番で申請しても、①の審査においては、書面上、Bの合併解散
が表れていないため、それを考慮して審査してはいけないからです。

 同一管轄の吸収分割であれば、①Aの吸収分割変更、②Bの吸収分割変更、
③Bの役員変更等の順番でも可です(ただし、3月中に代表者が交代していた
ような場合は、この順番は避けるのがルールでしょう)。

 先日、面白い経験をいたしました。合併登記申請したら登記所より連絡があ
り、直前に住居表示実施による本店住所変更登記が申請されているので、新住
所に改めよという補正指示でした。

 不動産登記でしたら、直前に抵当権でも設定されていないかと調べるでしょ
うが、商業登記ではそこまでしません。私の知らない間に会社で住居表示の登
記をしたようで、時間差で合併登記が遅れてしまいました。

 合併登記申請が先であれば、住居表示の実施が1月や2月であろうと、書面
審査上何の問題もなかったのですが、よい経験でした。電子申請では昔の登記
を再利用することが多いのですが、再利用後に改めて会社検索して現状の内容
にしなければならないと反省した次第です。


2018.04.05(木)【えーひだカンパニー(株) 】(島根・根来川弘充)

 昨年、私はタイトルの会社の株主になりました。

 地域の過疎化に危機感をもった人々が、地元の農産物や加工品を、積極的に
販売して、町を活性化させようと、町の人々や、知り合いの方に声をかけて、
立ち上げた法人です。

 私もその呼びかけに応じ、島根では珍しい募集設立により、議決権無しの株
式に申込みをし、株主として認められました。

 島根県では、奥出雲町という場所が、お米(仁多米)や和牛のブランドとし
て、有名です。

 この地域は、正にこの場所に隣接するところであり、生産する環境も大きな
違いがないので、もう少し、名前が売れても良いと思っています。

 みなさまに是非知っていただきたいと思います。

       http://www.dojyokko.ne.jp/~ikiikihida/


2018.04.04(水)【合同会社の略称】(藤沢:酒井恒雄)

 先日、通販サイトのアマゾンで買い物をしました。一定金額以上の買い物を
すると送料が無料になるため、ついつい、それほど必要ではないものを一緒に
買ってしまいます。

 品物が届いて、ふと送り主の名称を見たとろ、
   「Amazon Japan G.K.」
と書いてありました。

 ぼちぼち合同会社の設立の依頼を受けてはいますが、ここしばらくの間、定
款に商号の英文表記を入れるケースがなかったので、会社の種類の英語での略
称(略称)について注意を向けていませんでした。

 会社法施行後、合同会社の略称は「LLC.」が圧倒的に多かったと記憶し
ています。気になったので少しだけ調べてみたところ、今は前述のアマゾン・
ジャパン合同会社のほかに、合同会社西友が「G.K.」の略称を使用してい
ました。

 ほかに、鞄等で有名なコーチ・ジャパン合同会社が「LLC.」、珍しいと
ころでは、コダック合同会社が「Ltd.」を使用しているようです。それぞ
れの親会社は米国にありますが、日本の合同会社は米国のLLCとは別物なの
で、その区別を明確にしている会社は、LLC.という略称を使用していない
ようです。

 会社法施行後間もない頃の話ですが、合同会社を設立した依頼人から、海外
からの送金を銀行で止められているので、何とかしてくれという連絡が来たこ
とがありました。

 話しによれば、振込先として指定された口座の商号が、依頼人の会社の商号
と異なるので入金できないと、銀行の担当者に言われたとのこと。原因は、末
尾に付されているLLCの3文字も商号本体の一部だと勘違いされてしまった
ことのようでした。

 もともと海外との取引をするために設立した会社でしたので、定款には商号
の英文表記の規定がありました。結局、登記事項証明書と一緒に定款を提示す
ることで、問題は解決しました。その時は、合同会社という類型の会社は、ず
っとマイナーな存在のままで、LLC.という略称もずっと定着しないだろう
と予想していました。ましてや、G.K.なんていう略称は誰も使わないだろ
うと思っていました。予測は全て外れ、合同会社の設立件数は増え続け、G.
K.という略称も主流になりつつあるようです。


2018.04.03(火)【『商業登記ハンドブック』】(東京・鈴木龍介)

 前回は江頭教授の『株式会社法』を取り上げましたが、商業登記関連の書籍
や論稿の執筆に際し参考・引用する文献として外せないのが、松井信憲氏が著
した『商業登記ハンドブック』(商事法務)で、会社法下の商業登記分野にお
いて、非常に高い評価を得ている1冊といえます。

 著者の松井氏は、現在、法務省に新設された法務大臣官房国際課長ですが、
その直前は、商業登記行政のトップともいえる法務省民事局商事課長を務めら
れていました。

 同書は、今から11年前の2007年-会社法制定の1年後-に初版が刊行
されました。松井氏は当時、法務省民事局商事課の局付検事でした。

 現在は第3版が2015年5月に刊行されていますが、平成26年改正会社
法(平成26年法律90号)を踏まえたものになっており、本文ベースで
742ページもの大著になっています。

 私が考えるところの同書の特徴(長所)ですが、1つ目としては、実務家と
りわけ商業登記のプロが知りたい、確認したい事項がほぼカバーされていると
いう点があげられます。

 2つ目としては、記述の根拠となる先例や文献をかなり丁寧に示されている
点があげられます。

 3つ目としては、解釈等に疑義のある部分を明らかにし、著者の私見(理由
付で)を披瀝している点があげられます。

 一点ご注意いただきたいのは、前記のとおり同書は第3版ですが、その第4
刷(2017年8月発行)はそれまでの第3刷から一部、内容が変更になって
いるということです。同じ版では増刷になっても、軽微な誤植の修正は行って
も内容の追加等は行わないのが通常です。

 ちなみに本文ベースでの742ページに変わりはありませんので、行間や改
ページで調整しているようです。具体的な変更内容としては、2016年10
月1日施行の商業登記規則の改正(平成28年法務省令32号)で導入された
「株主リスト」に関する記述が加わっているところです。

 そのほか2017年までに出された判例や先例が盛り込まれています。つま
り、同じ第3版でも該当ページが異なっている場合があるということで、同書
を参考・引用するときには、最新刷のものでページを確認する必要があります。


2018.04.02(月)【合併消滅時刻】(金子登志雄)

 今日は3月決算会社の役員変更や組織再編登記のピークの日です。登記所も
さぞ混雑することでしょう。

 組織再編といえば、吸収合併や吸収分割が典型例ですが、吸収分割会社では
委任状も株主リストも吸収分割会社が作成するのに、合併消滅会社では委任状
は不要で、合併承認総会の株主リストも合併存続会社が作成することにお客様
への説明が必要でした。

 「合併で会社が消滅済みだからです」という説明で、ほとんどのお客様が納
得してくれましたが、説明している私自身には割り切れないものがありました。

 これに関連して、100%親子孫の関係にある東京のA、大阪のB、福岡の
Cが、まず「福岡のCが大阪のBに合併」され、続いて「大阪のBが東京のA
に合併」されるという2段階の合併の際に(合併契約書は1枚とします)、大
阪法務局に申請するBC合併の方法はどうすると思いますか。

 大阪のBは合併消滅しているのに、その名だけで存続会社となれるでしょう
か。こういう案件に平成22年に遭遇したことがありますが、Bが生存してい
るという前提で、ごく通常に合併手続がなされていることを知りました。

 この件につき、拙著『親子兄弟会社の組織再編の実務〔第2版〕』21頁に
書きましたが、4月1日午前0時にBが委任状を作成し、同時にAB合併の効
力が生じBが消滅したと考えれば、何の問題もありません。

 これを敷衍すると、AB合併のBの株主リストも合併効力発生日付であれば、
Bが委任状を作成したと同時に株主リストも作成したと考えればB作成を否定
できないと考えます。同一管轄であれば、登記が完了するまではBの代表者の
届出印も登記所に残っており印鑑照合も可能です(代表者交代の商業登記規則
61条6項参照)。

 というわけで、Bの株主リストの作成者をAの代表取締役に限定するかのご
とき当局の運用は他の場合と整合性がとれているのか疑問ですが、Aの作成が
容易であるため、実務で問題とされることはほとんどないようです。


2018.03.30(金)【日常用語の期限と条件】(金子登志雄)

 佐川喚問はますます疑惑を深めましたが、皆様が佐川氏の立場だったらどう
しますか。現状のままでは生活は安泰かもしれませんが、世間の厳しい目が続
き将来にわたって平穏ではいられないでしょう。例の準強姦疑惑のY氏と同様
に海外に逃亡するしか道はなさそうです。彼の人生は何だったのでしょうか。
もっと生き様を大事にしてほしいものです。

 さて、月曜日の投稿の続きですが、その後もインターネットで調べたり、考
えたりした結果、例えば「4月1日から4月20日まで」という時の長さが有
効期間であり、4月20日が有効期限(締切日)ということに何の問題もなさ
そうです。

 要するに、基準日を始期に置き「いつから」を中心にすると有効期間になり、
基準日を終期に置き「いつまで」を強調すると有効期限と表現するのが一般的
な使用法ということでしょう。

 例えば、印鑑証明書の有効期間は3か月という場合は、印鑑証明書には発行
日しか記載されていないので、期間で表すしかなく、既に購入済みの食品にあ
っては製造日を知っても意味がないため、消費期限(食べてよい期限)や賞味
期限(おいしく食べられる期限)を表示するのだと思いました。

 しかし、この有効期限は必ずしも法令でいう法律行為の附款である期限とは
限りません。その有効期限が到来したからといって、法律行為の効力が発生し
たり、消滅するものとは限らないためです。

 前に、募集株式の第三者割当てで、「〇〇から申込みのあることを条件とす
る」は、法律行為が未成立段階だから法律上の条件とはいえず、単に「〇〇か
ら申込みがないと〇〇との株式引受契約が成立しない」という当たり前の意味
に過ぎず、議事録にこれを記載しないと補正になるという見解は間違いだと主
張しましたが、意外にも基礎の基礎になると専門家も勘違いしやすくなるもの
だと感じました。


2018.03.29(木)【種類株式】(東京・古山陽介)

 以前にも種類株主総会について触れたことはありますが、去年の後半あたり
から、種類株主総会やみなし種類株主総会の決議の要否について検討しなけれ
ばならない事案や相談が格段に増えています。

 金融機関がいわゆる属人的株式を保有している会社まであり、この会社の組
織再編の案件はなかなか緊張感がありました。

 ただ、種類株式を正しく運用していないと思われる会社が多く見受けられ、
特に優先配当については、現在でも、正確に理解されていないように思われま
す。

 金子先生・富田先生の著書「募集株式と種類株式の実務[第2版] 中央経済
社」148頁~150頁で解説されていらっしゃる「限度額」に関する考え方は、士
業の間でもいまだに浸透していません。

 自分の説明で納得してもらえない場合には、上記の3頁をクライアントに提
供させていただき、配当優先の考え方について理解してもらっています。種類
株式の依頼を多く抱える自分にとっては、この書籍はバイブルの1つとなって
います。

 なぜ会社法が改正されて10年以上も経過しているというのに、理解度が低
いのだろうかと不思議に思っていたら、その理由がなんとなくわかるような事
例に遭遇しました。

 既に数年前から配当優先無議決権株式を導入している会社から、普通株式の
一部を配当優先無議決権株式に変更したいという依頼があり、配当優先の現状
等の説明をしてもらったのですが、その会社は、定款で決められた配当優先の
金額や順位に関係なく、適当に普通株式より多い金額(毎年異なる金額)を数
年にわたって配当していたのでした。

 定款の内容や配当についての考え方が誤っていることを指摘したところ、会
社の担当者はもちろんのこと、税務署や会計事務所からも一切指摘や確認をさ
れたことがなく誰も疑問に思ったことがなかったそうです。

 誤りについて誰からも指摘を受けることがなければ、正しいものだと勘違い
していても仕方ありません。このことが、理解度が低くなっている原因の一つ
のように思うのですが、これって別に種類株式の話に限ったことではないです
よね。このご時世、疑問を持つことは、生きていく上で重要な要素であります
からね。

 ちなみに、このクライアントは、きちんと実情に沿った内容に定款変更を行
い、配当についても今期からは定時総会での議案内容を確認することになり、
継続的なお仕事をいただけるようになりました。


2018.03.28(水)【周年記念】(藤沢・酒井恒雄)

 先週の土曜日に、神奈川県司法書士会の新人研修がありました。

 午前中はグループ研修のチューターで約3時間、午後は統括講義の講師で約
2時間30分の講義を担当しました。休憩時間等を除いて、約5時間は喋って
いたと思いますので、長時間の講義に慣れていない私にはハードな一日となり
ました。

 人前で話をするのが久しぶりだったせいか、喉の使い具合(ペース配分)を
誤ったせいか、はたまた花粉症で鼻呼吸があまりできなかったせいか、午後の
講義では、途中から声が擦れてきてしまいました。情けない限りです。

 新人研修では、いつも、会社のライフサイクルの話しと、会社の年齢(創業
年数)の話を織り交ぜています。研修の本番が近付く頃になると、関連する話
題を物色するのが常なのですが、今年は帝国データバンクの記事を見つけまし
た。

 昨年の11月末にリリースされていたものなのですが、2018年に、創業
10年とか100年といった「節目」を迎える企業が、どれくらいあるかを調
査したようです。それによれば、創業から10年刻み(200周年以降は50
年刻み)で500周年まで集計をした結果、今年に節目の「周年記念」を迎え
る企業は、全国に13万9359社あることが判明したそうです。

 その中で一番多いのは「30周年」を迎える企業で、その数は2万4800
社だそうです。全国の司法書士の会員数が約2万2300人ですので、自分自
身の業務歴と並行して、ずっとお付き合いができる企業さんが、1人1社の割
合で存在することになります。

 商業分野の仕事はやらないなんて言ったら、もったいない状況ですよね?
冗談はともかくとして、創業→成長→安定・停滞→下降→再成長または廃業と
いう会社のライフサイクルがあり、同時に相当数の経営課題が発生し、その対
応が繰り返されているはずです。そこには司法書士としてお手伝できることも
沢山あると思われます。手伝って欲しい、一緒にやって欲しいと頼ってもらえ
る存在になれてこそですが、私たちが商業分野で貢献できることは、まだまだ
ありそうです。


2018.03.27(火)【『株式会社法』】
(東京・鈴木龍介)

 このところ、これまでに刊行した会社法・商業登記の書籍の改訂(もしくは
書名を変更したリニューアル)作業に追われています。

 そこで、参考・引用する文献として外せないのが、江頭憲治郎氏(現東京大
学名誉教授)が著した『株式会社法』(有斐閣)です。会社法の研究者のみな
らず企業法務に携わる実務家にとっても必携の1冊となっており、会社法関連
書籍の最大のロングセラー・ベストセラーといっても過言ではありません。

 同書は、今から17年前-旧商法・有限会社法下―の2001年に刊行され
た『株式会社・有限会社法』をベースとするもので、会社法の制定により書名
が『株式会社法』にあらためられました。

 現在は第7版が2017年11月に刊行されていますが、前版である第6版
から本文で10ページほど増えて1010ページの大著になっています。第7
編の“はしがき”によりますと、先般成立した、いわゆる債権法の改正(平成
29年法44号)の会社法への影響と、政府の「成長戦略」の一環と位置付け
られている「コーポレート・ガバナンス改革」についての言及を前版のものに
加筆したということです。

 同書の特徴の1つ目としては、研究者の手によるものではありますが、実務
(家)を意識した株式会社法の体系書である点があげられます。2つ目として
は、これまでの研究等について、その文献を示したうえで網羅されている点が
あげられます。3つ目としては、会社法だけでなく、金融商品取引法・税法・
登記といった会社法の周辺部分についても言及されている点があげられます。
加えて、著者である江頭教授が会社法の第一人者であり、一定の権威があるこ
とが広く認められている点も見逃せません。

 おそらく、現在、法制審議会で検討中の会社法の改正が成立したあかつきに
は、第8版が上梓されることになると思いますが、それに伴う自書の改訂等で
も参照ページの書き換えを要するということなりそうです。


2018.03.26(月)【有効期限と有効期間】(金子登志雄)

 拘束理由(逃亡・証拠隠滅)もないのに口封じに8箇月も拘束され家族との
接見さえ禁止されている籠池さんに国会議員が会えたようです。国政調査権を
裁判所も無視できなかったのでしょうか。それとも裁判所も政権の末期が近い
と判断して政権への忖度は不要と判断したのでしょうか。

 籠池さんは暖房もなく寒さでしもやけだったようですが、元気だったとのこ
とでほっとしました。早く一方の当事者である昭恵さんと同様に、暖かい場所
でうまいものを食べて自由に発言できるようにしてあげたいものです。これは
右か左かの思想とは無関係の人権問題ですから、黙っていることは共犯になっ
たようで私も辛いです。

 さて、現在行っている著作の改訂作業の際に「本人確認証明書に有効期限は
ない」と書きましたら、共著者から「この場合は有効期間という表現のほうが
適切ではないか」と指摘されました。

 商業登記規則36条の2には「申請書に添付すべき登記事項証明書及び登記
所が作成した印鑑の証明書は、その作成後3月以内のものに限る」とあり、こ
の見出しには、「登記事項証明書等の有効期間」とありますので、ここも有効
期間とすべきだとの指摘はもっともです。

 ところが、同じ証明書でありながら、司法書士会員証や手持ちのクレジット
カード(VISA)には、有効期限と明記されていました。

 「期限」は、条件と同じく法律効果が発生したり消滅する原因(法律行為の
附款)とされており、法文上は、償還期限、支払期限など「義務」履行の締切
日として使われる程度で、多くのケースが「期間」を使っています。

 こうしてみると、書面の有効性には、やはり有効期間を使うべきだったかな
と、徒然なるままに考えていましたところ、ハタと気づきました。「期限」は
法律行為の附款でも、「有効期限」という場合は「有効期間満了日」を指す意
味にすぎず、法令上の期限とは限らないと。パスポートには「有効期間満了日」
とあり、これを有効期限と表現することが多いのと同じです。

 結局、有効期間と有効期限は2者択一のものではなく、前者は「時の長さ」
に着目し、後者はその締切日に着目した表現にすぎないことに気づきました。

 本人確認証明書に戻りますと、結果として有効期間でも有効期限でもどちら
でもよさそうです。共著者は「作成日からいつまで」のものに限定されないと
いう「期間」に焦点をあてたため有効期間を主張し、執筆者の私は登記申請日
から遡っていつまでのものに限るとの限定はないと「限界点」を意識しため有
効期限という表現を使ったにすぎませんでした(最終的に修正はしませんでし
た)。

 著作は『事例で学ぶ会社法実務〔全訂版〕』でしたが、論点項目を47%も
増やした実務論点の百科事典であり自信作です。既に大阪での講義で配布した
チラシで予約注文もあり、4月末日までには出版されますので、お楽しみに。
--


2018.03.23(金)【作成日と押印日】(金子登志雄)

 3月決算会社が事業年度の期首である4月1日からの役員変更につき、今年
は4月1日が日曜日であるため、各社とも試行錯誤中で、さまざま質問を受け
ています。

 4月1日付で就任承諾書をもらうが、4月2日になって4月1日付あるいは
それ以前の日付での就任承諾書を提出してもらうことでよいのか。

 私の回答は、口頭で4月1日以前に条件付で就任承諾を得ているのなら、そ
の日付での書面の現実の作成日が4月2日になっても、問題ないというもので
す。

 4月1日に就任したのに、本人確認証明書の取得日が4月2日でもよいのか、
印鑑登録していない人が4月2日に印鑑登録して印鑑証明書を取得した場合で
もよいのか。

 私の回答は、本人確認証明書や印鑑証明書は就任承諾日以後に準備したもの
でも問題ない、これが不可なら、2年前に就任して住所を移転した人に旧住所
のものを持って来いということになり不都合だというものです。

 本人確認証明書は登記申請の独立の添付書面であり、就任承諾書の附属書面
ではないから、登記申請日までに準備すればよいと考えるためです。ちょうど
株主リストが登記申請時点の代表取締役が作成し、株主総会時点の代表取締役
とされていないことと同様です。

 3月31日に代表取締役が取締役を辞任して4月1日に新代表取締役を新取
締役を含めて選定する場合に、電子メールで会社法370条の取締役会書面(
?)決議をすることが可能かという質問も少なくありません。

 私の回答は条文では電磁的記録の同意も認めているから電子メールで差し支
えない。ただし、商業登記規則61条6項で個人実印の押印が必要だから、こ
の同意を得た後に作成する取締役会議事録には個人実印を押す必要がある。決
議は4月1日に成立しているので、現実の議事録作成日が4月2日になり、2
日に個人実印を押しても問題ないというものです。

 電子メールで4月1日に同意しておき、4月2日に個人実印を押した4月1
日付の同意書面を提出した場合はどうでしょうか。同意の意思表明としては書
面ではありませんでしたが、同意の意思表示したことを証する書面にはなりま
すので(正確には電磁的記録で同意したことを証明する書面)、これも認めら
れると考えます。

 以上については異論もありそうですが、意思表示や決議が合法的になされて
いれば、その事実証明文書である書面作成日や押印日は後日になってもよいと
いうべきです。そうでなければ実務は回りません。取締役会議事録を開催日に
作成することは困難ですし、登記申請でも書面に不備があれば後日の追完で受
理され、申請時点での完璧性を求めていません。


2018.03.22(木)【昼食メニュー】(仙台・立花宏)

 最近,羽生善治竜王が国民栄誉賞を受賞したり,藤井聡太さんが最年少で棋
戦で優勝し,中学生で6段に昇段したりと,将棋界に注目が集まっています。
にわか将棋ファンの私は,先日,東京に行く用事があった際,将棋会館のある
千駄ヶ谷まで足を延ばし,藤井6段が対局の際の昼食に注文したというメニュ
ーを食べに某蕎麦店に行ってきてしまいました。

 藤井6段は将棋のプロですが,将棋のプロというのは日本将棋連盟でどうい
う立場なのでしょうか。気になって調べてみました。

 日本将棋連盟は公益社団法人です。公表されている定款を見たところ,プロ
の4段以上の棋士は正会員という立場で,この正会員が一般社団法人及び一般
財団法人に関する法律上の社員ということのようです。社員は,法人の意思決
定機関である社員総会の構成員です。将棋のプロになるということは,単に将
棋が強いということだけではなく,公益社団法人日本将棋連盟の意思決定にも
参加するということになります。ただ,藤井6段は未成年,しかも中学生です。
どのような形で社員として社員総会等に関与しているのでしょうか。その情報
を見つけることができませんでしたが、これはこれで興味深いところです。

 なお,公表されている正会員名簿をみたところ,日本将棋連盟の正会員は昨
年3月31日時点で,234名だったようです。

 職業柄,興味がわいたので,日本将棋連盟の定款をみてみたところ,第14条
第2項に、「10分の1以上の議決権を有する正会員は,総会の目的である事項
及び招集の理由を示して,総会の招集を請求することができる」という規定が
ありました。これは一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第37条の規定
をうけたものです。

 しかし,一般社団法人の場合,原則として,社員の議決権は一人1議決権で
す。正会員は234名ですので,ひとりで10分の1以上の議決権を有する正会員は
存在しないということになります。そうすると,先ほどの規定が適用される余
地はないのでしょうか。

 総会招集権は,必ずしも社員がひとりで請求する必要はなく,共同して行う
ことができます。よって,日本将棋連盟の場合は,24名の正会員が共同すれば,
要件をクリアし,総会の招集を請求することができるということになります(
昨年3月31日の場合)。

 棋士の方達が注文された食事のメニューを真似して食べるということばかり
でなく,法人の定款や運営等の情報を見てみると,いろいろ勉強になると思い
ました。

 ちなみに,このブログを執筆していた日に,将棋のあるタイトル戦が実施さ
れていて,インターネット中継をやっていました。対局者の昼食はオムライス
等と親子丼でした。なんだか,無性にオムライスと親子丼が食べたくなりまし
た。


2018.03.20(火)【債権法改正のシンポジウム】(東京・鈴木龍介)

 今回は、今週の土曜日(3月24日)に開催される債権法改正のシンポジウ
ムのご案内(紹介)です。

 詳細は以下のとおりですが、第2部のパネルディスカッションでは私も登壇
(コーディネイター)します。ご関心のある方は是非ともご参加ください。司
法書士以外の皆様のご参加も歓迎です。

シンポジウム「債権法改正と不動産取引-売買と担保を中心に-」

 「民法の一部を改正する法律」(債権法改正)が昨年6月2日に公布され、
平成32(2020)年4月1日から施行されることが決定いたしました。債
権法改正は債権法分野における120年ぶりの抜本的な改正であり、多方面で
影響がでてくると思われます。とりわけ不動産は国民にとって重要な財産であ
り、不動産取引に関係するルールの見直しも少なくありません。

 そこで、今般、「債権法改正と不動産取引-売買と担保を中心に-」という
テーマで以下のとおりシンポジウムを開催することといたしました。当シンポ
ジウムは、司法書士をはじめ金融機関、宅地建物取引業者や研究者の方々を対
象に、債権法改正における不動産取引に関する論点を整理し、今後の実務上の
対応等の一助となることを企図したものですので、是非ご参加ください。

主催:日本司法書士会連合会
日時:平成30年3月24日(土)13:00~17:00
場所:日司連ホール(東京都新宿区四谷本塩町4-37)
定員:100名(先着順)
参加費:無料
内容:
第1部:基調講演 「(仮)契約法における合意の意義
            ~売主の担保責任と金銭消費貸借を中心に~」
  石田剛氏(一橋大学大学院法学研究科教授)

第2部:パネルディスカッション
   「不動産取引の実務はこう変わる!? 債権法改正の影響と対応」

 パネラー:石田剛氏
      井上博史氏(三菱東京UFJ銀行 法務部 総括・国内法務グループ)
      初瀬智彦氏(司法書士)
      望月治彦氏(三井不動産 総務部 法務グループ)
 コーディネーター:鈴木龍介氏(司法書士)

 本シンポジウムに参加を希望される方は、以下のホームページから参加申込
書をダウンロードいただき、日本司法書士会連合会 事務局・事業部企画第一
課までFAX(03-3359-4175)にてお申込みください。なお、定
員になり次第締め切らせていただきます。
  http://www.shiho-shoshi.or.jp/
           (問い合わせ先)
             日本司法書士会連合会 事務局・事業部企画第一課
            TEL 03-3359-4171(代表)


2018.03.19(月)【久々の大阪】(金子登志雄)

 土日は大阪に行ってまいりました。近畿司法書士会連合会主催の会社法セミ
ナーでの講師を務めるためです。

 大阪を中心とする近畿地方には優秀な司法書士が多いため、私が講師を務め
るまでもないのですが、講義の主要テーマが「会社の計算」であったため、そ
れであればと引き受けました。

 テーマがテーマだけに参加者は少ないと予想していましたが、土曜日にもか
かわらず200名弱の方にお集まりいただきました。幹事の皆様に御礼申し上
げます。

 せっかく呼んでいただきましたので、何とか受講生の方々を5時間の講義の
間、眠らせないようにと、分かりやすく話すことを心掛けましたが、損益計算
書を通さない一種の資本取引の利益は「差益」といい、損益計算書の「(純)
利益」とは区別せよという説明は成功したようです。

 例えば、甲が100%子会社の乙を吸収合併しても、この利益(抱き合わせ
株式消滅益)は損益計算書上の利益だから、決算が確定するまでは貸借対照表
に計上されないから資本組入れすることはできないが、甲が兄弟会社の丙を会
社計算規則36条により合併したときは、丙の利益剰余金を甲が引き継ぎ、こ
れは合併差益として直ちに甲の貸借対照表に計上されるから、資本組入れする
ことができると説明しました。

 講義後は、幹事の皆様と懇親会でしたが、神戸の鈴木浩巳さんや京都の内藤
卓さんとは、10年以上ぶりでの再会であり、旧交を温めあい、楽しく、かつ
有意義な大阪行きでした。改めて、幹事の皆様、ありがとうございました。


2018.03.16(金)【日曜日に代表者交代】(金子登志雄)

 花粉症の時期ですが、皆様はいかがですか。私は、無縁だと思っていました
が、数年前から軽い症状が出ており、目薬を必携しています。

 原因を知りたくて医者にかかったら、それを知ってもアレルギーだから一生
治らないといわれ、原因追及の気がないようなので、それ以来、あきらめてい
ます。今の時期に目がかゆいのはスギ花粉だとベテラン(?)からいわれまし
たので、スギが原因ということにしておきましょう。

 さて、3月決算の上場会社の子会社から、代表取締役が3月31日に取締役
を辞任し、後任取締役を3月中の臨時株主総会で選任し、4月1日から新しい
代表取締役にする事案につき、いくつか相談を受けています。今年の4月1日
は日曜日であるため、代表取締役を3月中に予選したいが、登記所が認めない
傾向にあるので困っているという例のよくある話です。

 拙著を読んでいる方なら、株主は1名だから、3月中に行う後任取締役選任
の株主総会で定款を変更し付則で選定すればよい(会社法29条方式)、ある
いは付則に「4月1日からの代表取締役は株主総会で選定することができる」
と定め、株主総会で選定すればよい(会社法295条2項方式)と分かるので
すが、上場会社の子会社では定款変更は稟議事項であり、そう簡単には行かな
いのです。また、これらの便法は我々プロには容易な方法と感じるのですが、
そう思わない総務担当者も少なくありません。

 ある会社は日曜出勤するようですが、それをしない会社は日曜日に書面決議
をするところが多いといえます。個人実印を押して印鑑証明書を添付するため、
我々には何と面倒なと感じてしまいますが、サラリーマン世界では、その程度
のことは面倒な部類に入らないのでしょう。子会社ですから、社外役員がいな
いため、総務担当者も準備にそう苦労していないようです。

 私も無理に金子式便法は勧めていませんが、数通の印鑑証明書を預かるのは、
やや荷が重いなとは感じています。


2018.03.15(木)【慣れこそ重要
(金子登志雄)

 土日から愛用のノートPC(パナソニックのレッツノート)の調子がよくな
いため、新PCを購入しました。4月2日の組織再編の登記準備中に故障でも
したら困りますので、いまから安心・安全の体制整備です。

 これで、私も人並みに、ウインドウズ8.1から10に変わりましたが、P
Cは商売道具ですから、行ったお店にあった4種類のうち最も高価なものを購
入しました。機能の全部がついていると錯覚したためです。

 しかし徐々に分かったことは、8.1を購入したときはワードもエクセルも
インターネット接続のワイマックスも内蔵されていたのに、今はほとんどが内
蔵されておらず、インターネットでダウンロードする仕組みが中心のようで、
私には手に負えず、初期設定も業者に依頼しました。

 事務所に行きPCを開いたら、できるはずのタッチパネル機能が働きません。
スマホと同様に指で画面を大きくしたり小さくする機能です。お客様相談室に
電話したら、その機種はその機能がついていませんという冷たい返事でした。

 また、私にはよくわかりませんが、インターネットがエクスプローラーでな
くエッジとかいうものになっており、画面も操作もいつもと違います。慣れ親
しんだウインドウズ・ライブメールも使えません。

 ということで、ここ2日間ほとんど仕事にならず、司法書士ソフトのリーガ
ルさんや社内のPC巧者の助力を得ながら、PCと格闘中です。慣れるまでに
数週間はかかりそうです。

 昔、文章書きは一太郎というソフトを使っていましたがワードが標準となり
ワードに切り替えた際も、表が動くことにイライラしたものですが、いまでは
ワードの便利さに慣れました。その経験があるため、今度も慣れるまではひた
すら忍耐です。

 皆様が苦手とする会社の計算も同じですよ。1週間は我慢して集中的に学べ
ば得意科目になります。PC操作よりは、はるかに楽です。17日土曜日は、
会社の計算の講義で大阪に行きますが、今日の話からはじまりそうです。


2018.03.14(水)【ホワイトデー】(藤沢・酒井恒雄)

 今日はホワイトデーですね。バレンタインで貰ったチョコのお返しをする日
であるということは以前と変わりませんが、その中身は変化が起きているよう
です。

 バレンタインといえば、女性から男性へチョコレートを渡すという構図が頭
にあるのですが、現状は違うようです。誰が仕掛けたのか分かりませんが、い
つの間にかバレンタインに「友チョコ」なるものが登場しました。

 初めて聞いたときは、非常に違和感がありましたが、まんまとそれが定着し
たようで、本来のバレンタインの風景よりも、女性同士でチョコレートやお菓
子を交換し合う風景が主流となる勢いです。

 もっとも、「年に一度の女性から男性へ告白する日」なんていうシチュエー
ションが時代錯誤なのでしょう。いわゆる草食系男子が多い昨今、男性から女
性に告白することが減り、女性から男性に告白するのが普通のような感じにな
っているようです。そんな変化を反映して、今日も女性同士でチョコやお菓子
を交換し合う風景が多く見られることと思います。

 草食系とは直接関係がないかもしれませんが、あまりお酒を飲まない男性、
特に男子大学生が増えているようです。

 私は学生達とお酒を飲む機会がわりとあるのですが、実際、ウーロン茶やア
ルコール度数の低いカクテル等を飲んでいるは男子学生達で、焼酎や日本酒を
飲んでいるのは女子学生達です。

 何故、あまりお酒を飲まないのかと男子学生に聞いたことがあるのですが、
飲めないのではなく、酔っぱらった自分を想像するとカッコ悪いので、あまり
飲みたくないと言っていました。周りの何人かの男子が頷いていましたので、
特別におかしな考えではないようです。男子の中身も変化が起きているのでし
ょうか・・・・・。



2018.03.13(火)【定款の認証】(東京・鈴木龍介)

 このところ、「定款の認証」が少々騒がしくなってきているようです。

 そもそも定款とは会社等の法人の根本となる最高内部規律です。この定款で
すが、株式会社や一般社団法人の通常の設立時の原始定款には、公証人の認証
が効力要件です。

 そして、株式会社であれば本店所在地の公証人が認証しなければならないと
いう一種の管轄があります(東京都千代田区を本店とする株式会社を設立する
場合には東京の公証人(正確には東京法務局所属)の認証です。)。

 ちなみに、株式会社の原始定款の認証は、今の会社法の前身である商法が明
治時代に制定されたときからあった制度ではありません。昭和13年商法改正
(昭和15(1940)年1月1日施行)で導入され、これによって、それ以前に
比較し設立に関するトラブルが相当程度、減ったという評価がなされているよ
うです。

 この定款の認証手続ですが、政府が主導する政策会議において、法人の設立
手続を円滑かつスピーディーに行うという観点から認証手続を廃止するという
ことについて検討がなされているようです。また、同様の趣旨から管轄をなく
し、日本全国どこの公証人でも認証を可能とすることについても検討がなされ
ているようです。

 参考:首相官邸・政策会議「法人設立手続オンライン・ワンストップ化検討
   会(第5回)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/hojinsetsuritsu/dai5/siryou.html

 一方、法務省の研究会において、株式会社の定款の認証時に会社の実質的支
配者が反社会的勢力でないことを公証人に申告させることが検討されています。
趣旨としては、これにより株式会社の不正使用の防止を図りたいということの
ようです。

 こちらは、現行の定款の認証制度を維持したうえで別の観点で活用しようと
いうものといえます。法務大臣もこの件の談話を発表しておりますので、法制
化される可能性は高いように思います。

 参考:法務省「株式会社の不正使用防止のための公証人の活用に関する研究
   会」
  http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00050.html

 実務家にとって利便性があがることや不正が抑制されることは歓迎するとこ
ろですが、それによってあらたな問題が生じたり、過度の負担が強いられるこ
とは容認できません。

 ということで、たとえば、資格者代理人特例法式ではないですが、弁護士や
司法書士が定款の作成を代理したときには、認証を省略することができるとい
うのはどうでしょう。あわせて、当該資格者が反社会的勢力のチェック等を行
えば一石二鳥かな、なんて考えたりますが、決して自分たちの職域を拡大・確
保するという趣旨ではありませんので、念のため。


2018.03.12(月)【トカゲの尻尾と青い鳥】(金子登志雄)

 一挙に政局が流動化してきました。北朝鮮問題では北と米国の急接近で安倍
日本は梯子を外されてしまいました。国内問題では森友問題の佐川国税庁長官
が辞任しました。

 全ては、佐川財務省の責任にされるのか、追い打ちをかけるように、佐川氏
は減給と懲戒処分も受けたようですが、資料の書換えを担当した末端も処分が
避けられないでしょう。文書変造罪の可能性もあります(1人はお気の毒に死
を選んだようですが)。
 
 組織あるいは上司あるいは自己の生活を守るために泥をかぶったのに、いつ
も最後はトカゲの尻尾切りです。しかし、仮にそうであっても同情はしません。
結局は、自身の保身のためにしたのですから、冷たいようですが自業自得です。

 この点、前川文科省前事務次官は、実にりっぱでした。「貧困と教育」に関
する関心から発した出会い系バーがよいを政権べったりの読売新聞の一面で口
封じのためにスキャンダル報道されてもひるまず 信念を貫き、未だにボランテ
ィアで夜間中学の先生を継続しているなんて尊敬に値します。
         https://friday.kodansha.ne.jp/event/102823

 急に下世話な話になりますが、嫌な上司もいない独立業の我々は気楽なもの
ですね。親分の身代わりに刑務所に行く必要もありません。

 その代わり、他の民間職業と同様に全て自己責任です。生活に窮しても誰も
守ってくれませんし、重い責任を一身で引き受けなければなりません。

 昔、上場会社の会社分割で、登記が予定時期に無事に終わらないと入札か何
かの手続に間に合わず、数億円の得べかりし利益に影響するが、その際は責任
を取ってくれるかと冗談半分にいわれましたが、我々の仕事にはそういう怖い
側面があります。

 今月は久々に怖い難しい仕事がいくつかありますが、重圧であると同時に、
やりがいがあります。やりがいを求めて官僚になった佐川・前川氏は無念な結
果だったでしょうが、自分の意思で動ける我々は、いくつになっても青い鳥を
探し続けることができます。この感謝の気持ちを夜間の法律学校でもあれば、
ボランティア講師を引き受けるのですが、ありませんかね。



2018.03.09(金)【カタカナ用語の氾濫】(金子登志雄)

 昨日の立花さんの投稿をみて、なぜ、日本の行政機関あるいはエリートは、
カタカナ用語ばかり使うのかと思った方も少なくないでしょう。

 私も、一般化されてきたワンストップならともかく、たかだか設立登記の手
続を迅速化する程度のことを「ファストトラック」という必要はないじゃない
かと思いました(原義は「優先道路」?)。
             https://is.gd/kPbwH8

 米国留学帰りの弁護士も、やたらとカタカナ用語を使いますが、口が商売の
弁護士なら、日本語を大事にし相手に通じる言語を使えといつも腹立たしく思
っています。

 テレビで若手芸人がやたら「シュール」と使うのも気になってネットで調べ
たことがありました。非現実的といった意味のようです。

 話を戻しまして、物書きの端くれである私は、フリガナ商号問題に関連して
「ファースト」ではなく「ファスト」という表記に関心を持ちました。どうも
前者はイギリス語であり、後者は米語のようです。

 どうせ、何かを優先させるなら、電車の優先席と同様に、カタカナ言語が通
じない年寄り優先の思いやりファストトラック化を図ってほしいものです。

 ちなみに、日本は自由な国で日本人は新聞やテレビの報道で時事問題に正し
い知識を持っていると思い込んでいる方にはショックなニュースが昨日ありま
した。土日にでもみてください。
         https://news.yahoo.co.jp/pickup/6274705
         http://ecodb.net/ranking/pfi.html



2018.03.08(木)【激しい変化】(仙台・立花宏)

 先日,金子先生が紹介されていらっしゃいましたが,3月12日から商業・法
人登記の申請書に商号・法人名のフリガナを記載することになりました。

 また,鈴木龍介先生が会社法改正の中間試案についての解説をされていまし
た。その他にも,内閣府におかれている日本経済再生本部という会議体では,
会社設立手続についての検討(オンライン・ワンストップ化)が進められてい
るようです(※)。

 最近の商業・法人登記を取り巻く環境はとても変化が激しいように感じます。

 フリガナ記載が始まる3月12日には,商業登記分野でもうひとつの変更があ
ります。会社の設立登記のファストトラック化です。

 これは,私達,申請をする側がなにかをするというものではなく,法務局内
部で,会社設立登記があった場合,これを優先的に処理するというものです。
原則として申請の受付日(オンライン申請の場合は添付書面が到達した日)の
翌日から起算して3(執務)日以内に登記を完了するものとされています。申
請件数の増える時期(4月,6月及び7月)は3日以内に完了することが難し
い場合もあり得ますが,この場合でも,できる限り速やかに登記を完了するよ
うに努めるものとされています。

 なお,この設立登記には,新設合併,新設分割及び株式移転によるものを含
むとされています。

 登記が早く完了することは申請する側にとってはありがたいことですが,法
務局の調査官の方々にとっては大変なこともあるだろうと思います。単に優先
的に処理するということだけではないからです。

 会社は同一の所在場所に同一の商号・法人名は登記できませんから,他に申
請されている登記内容等を確認し,それに抵触しないことを確認した上で優先
的に処理するものとされています。通達にはあっさりと書いてありましたが,
現場の方々にとって,これはとても大変なことなのではないでしょうか。

 また,この変更に関連して,私はもうひとつ意識したことがありました。設
立登記がファストトラック化される会社の種類が,株式会社と合同会社となっ
ていたことです。

 会社の種類はその2つのほか,合資会社,合名会社があります。合同会社は
平成18年の会社法施行の際に設けられた会社類型ですから,他の会社類型より
も歴史はずっと浅いということになります。それにもかかわらず,株式会社と
並んでファストトラック化の対象とされたのは,合同会社の利用が進んでいる
からと思われます。

 合同会社の設立件数は年々増加してます。平成29年の年間の統計は出ていま
せんが,法務省の登記統計の月別の資料をみて1月~12月までの設立件数を合
算してみたところ,株式会社は年間9万1千社程,合同会社は2万7千社程だ
ったようです。設立件数だけでいえば,株式会社の設立件数の3分の1に迫っ
てきています。

 合資会社,合名会社の平成29年の設立件数が,ぞれぞれ,約60件,100件
(※2)ということを考えると,新しい会社類型である合同会社が,会社類型
の中でも重要なものとなってきたと言えるのだろうと思います。これも激しい
変化といえるでしょう。

 私達司法書士は,会社の登記を通じて,会社の法務のお手伝いをさせていた
だいております。こうした激しい変化に対応できるよう,日々,勉強していき
たいと思います。

(※1)詳細は,内閣府のホームページの「主な本部・会議体」をご覧いただ
   ければと存じます。
(※2)月別データの合算の数字。


2018.03.07(水)【続・法人の役員と司法書士】(藤沢・酒井恒雄)

 司法書士と法人役員についてです。インフルエンザで倒れたときに短文で投
稿したきりで、その後は連続ものの投稿をしてしまいましたので、話を蒸し返
すような形になることをご了承ください。

 私なりに感じている、法人(主に営利会社の場合)の役員になるメリットは、
自身の業務の深みが増し、依頼人との距離が縮まるということです。

 私たち司法書士は、うっかりすると会社法と登記法の世界に閉じこもってし
まいがちです。もちろん、その世界のスペシャリストですから、誰よりもその
世界に精通していれば、それで良いのかもしれません。依頼人もそのつもりで、
登記以外のことについて相談することは考えていない場合もあろうかと思いま
す。

 ただ、そうなると、私たちは依頼人にとって決して身近な存在ではなく、手
続きが必要なときだけ接触する、ちょっと遠い存在となってしまいます。私自
身、この距離感が開業以来ずっと気になっているところです。

 役員として会社との関わりを持ちますと、生の事業活動の世界を覗きに行け
ますから、事業に対する理解も深まります。役員会議の場で話される、市場や
業界に関する情報、今後の予想等に関する議論は、大いに勉強になります。組
織内の問題が話題になることもありますので、私たちが得意なリスク対応業務
にもフィードバックさせることができます。

 役員会議の場や事業現場等で得た貴重な経験は、他の依頼人との会話も豊か
なものにしてくれます。ニュースや新聞で得る情報とは一味違う話題(もちろ
ん機密は他言しませんが)で盛り上がると、依頼人との距離がグッと縮まりま
す。多様な会社があり、多様な事業を行っていますが、競争する市場が重なっ
ていたり、隣接していたりします。業界が全く違うように思えても、意外と共
通の話題となることが多いようです。

 一方、デメリットと言いますか、なかなか大変だなぁと思う点は、良い意味
で空気が読めない人になる必要があるということです。役員会議がいい調子で
進み、さて終わりましょうかという雰囲気になっている中でも、これで終わっ
ていいのか?と思ったら、「あのスミマセン、ちょっとお聞きしていいですか
?」と、自分が気になったことを切り出さなければなりません。議場は、「お
い、なんだよ話がまとまりかけたところで・・・。」という雰囲気になる場合
もありますし、他の役員方から冷たい視線を送られてくることもあります。し
かし、そこは自身の役割と責任を思い出さなければなりません。

 何回も会議を重ねてきますと、他の役員の方々とも仲良くなりますので、こ
ういった雰囲気に耐えるのはちょっと辛いところがあります・・・・・。

 もっとも、会社の規模や性格(事業展開の仕方)、社長の人格等によっても、
会議の環境はかなり違うと思いますので、自分から言い出さなくとも、積極的
に意見を求められる場合もあろうかと思います。多少のストレスは避けられま
せんが、大いに司法書士としての経験やスキルを生かせると思いますので、役
員就任のオファーがあった際には、前向きに考えてみてはいかがでしょうか。


2018.03.06(火)【会社法の改正・中間試案~登記関係~】(東京・鈴木龍介)

 今週も会社法の改正について取り上げたいと思います。

 今回は、商業登記関連の改正提案の具体的な内容について、中間試案と法務
省による補足説明の該当部分を紹介します(少し長くなってしまい申し訳あり
ません。)。

新株予約権に関する登記
<中間試案>
【A案】
 会社法第238条第1項第2号及び第3号に掲げる事項(同法第911条第
3項第12号ニ参照)は登記することを要しないものとする。

【B案】
 募集新株予約権について会社法第238条第1項第3号に掲げる事項を定め
たときは,同号の払込金額を登記しなければならないものとする。ただし,同
号に掲げる事項として払込金額の算定方法を定めた場合において,登記の申請
の時までに募集新株予約権の払込金額が確定していないときは,当該算定方法
を登記しなければならないものとする。

<補足説明>
 試案第3の4は,新株予約権に関する登記事項のうち会社法第238条第1
項第2号及び第3号に掲げる事項の登記に関する見直しに関するものである。

 現行法においては,新株予約権を発行した株式会社は,新株予約権の登記を
する必要があり,その登記事項は,(ⅰ)新株予約権の数,(ⅱ)新株予約権の内
容のうち一定の事項(新株予約権の目的である株式数,行使期間等)及び行使
条件,(ⅲ)払込金額又はその算定方法(いわゆる発行価額)等とされている
(会社法第911条第3項第12号)。新株予約権の登記については,実務上,
払込金額の算定方法につきブラック・ショールズ・モデルに関する詳細かつ抽
象的な数式等の登記を要するなど,全般的に煩雑で申請人の負担となっており,
また,登記事項を一般的な公示にふさわしいものに限るべきであるという指摘
等がされている。

 部会においては,新株予約権の払込金額は,資本金の額に直接的に影響を与
えるものでもなく,会社法第238条第1項第2号及び第3号に掲げる事項を
新株予約権の発行の段階から登記事項として公示することは不要ではないかと
いう指摘や,本来的には払込金額のみを登記事項とすれば十分であるという指
摘等があったが,他方で,登記事項とすることにより利害関係者が比較的容易
にその内容を見ることができるという利点があるという指摘もされている。

 そこで,このような指摘を踏まえ,試案第3の4においては,会社法第23
8条第1項第2号及び第3号に掲げる事項(同法第911条第3項第12号ニ)
は登記することを要しないものとするA案と,募集新株予約権について同法第
238条第1項第3号に掲げる事項を定めたときは,同号の払込金額を登記し
なければならないものとし,例外的に,同号に掲げる事項として払込金額の算
定方法を定めた場合において,登記の申請の時までに募集新株予約権の払込金
額が確定していないときは,当該算定方法を登記しなければならないものとす
るB案の2案を掲げている。

株式会社の代表者の住所が記載された登記事項証明書
<中間試案>
 登記簿に記載されている事項(株式会社の代表取締役又は代表執行役の住所
を除く。)が記載された登記事項証明書については,何人も,その交付を請求
することができるものとし,当該住所が記載された登記事項証明書については,
当該住所の確認について利害関係を有する者に限り,その交付を請求すること
ができるものとする。

(注)インターネットを利用して登記情報を取得する場合における当該住所の
取扱いについても所要の措置を講ずることを検討するものとする。

<補足説明>
 試案第3の5において,登記簿に記載されている事項(株式会社の代表取締
役又は代表執行役(以下「代表者」という。)の住所を除く。)が記載された
登記事項証明書については,何人も,その交付を請求することができるものと
し,当該住所が記載された登記事項証明書については,当該住所の確認につい
て利害関係を有する者に限り,その交付を請求することができるものとしてい
る。

 現行法においては,代表者の住所が登記事項とされ(会社法第911条第3
項第14号,第23号ハ),何人も当該住所が記載された登記事項証明書の交
付を請求できることとされている(商業登記法第10条第1項)。部会におい
ては,個人情報保護の観点から,当該住所を登記事項から削除し,又はその閲
覧を制限することが妥当ではないかという指摘がされている。

 もっとも,代表者の住所については,(ⅰ)代表者を特定するための情報とし
て重要であること,(ⅱ)民事訴訟法上の裁判管轄の決定及び送達の場面におい
て,法人に営業所がないときは重要な役割を果たすこと(同法第4条第4項,
第103条第1項)などの意義が認められる。

 そこで,試案第3の5においては,代表者の住所は登記事項としつつも,当
該住所が記載された登記事項証明書の交付を一定程度制限するため,登記簿に
記載されている事項(代表者の住所を除く。)が記載された登記事項証明書に
ついては,何人も,その交付を請求することができるものとするが,当該住所
が記載された登記事項証明書については,当該住所の確認について「利害関係」
を有する者に限り,その交付を請求することができるものとしている。そして,
「利害関係」とは,登記簿の附属書類の閲覧について利害関係を有する者がそ
の閲覧を請求することができるものとする登記簿の附属書類の閲覧の制度(商
業登記法第11条の2)と同様に,事実上の利害関係では足りず,法律上の利
害関係を有することが必要であると考えられる。もっとも,具体的にいかなる
範囲で「利害関係」が認められるかについては,代表者のプライバシーの保護
の要請と代表者の住所が記載された登記事項証明書の交付を受ける必要性を考
慮して総合的に検討すべきであり,例えば,株式会社の債権者がその債権を行
使するに際して当該住所を確認する必要がある場合においては,「利害関係」
を認めることができると考えられるが,なお検討する必要がある。

 なお,代表者の住所を含む登記情報については,インターネットを利用して
取得することができることとされている。しかし,試案第3の5のような規律
の見直しをする場合には,インターネット上で取得することができる登記情報
から当該住所についての情報を除くなど,所要の措置を講ずることについて検
討する必要が生ずる。そのため,試案第3の5の(注)においては,これにつ
いて検討するものとしている。_

会社の支店の所在地における登記の廃止
<中間試案>
 会社法第930条から第932条までを削除するものとする。

<補足説明>
 試案第3の6においては,支店の所在地における登記(会社法第930条か
ら第932条まで)を廃止するものとしている。

 現行法においては,会社は,本店の所在地において登記をするほか,支店の
所在地においても,(ⅰ)商号,(ⅱ)本店の所在場所,(ⅲ)支店(その所在地を
管轄する登記所の管轄区域内にあるものに限る。)の所在場所(会社法第93
0条第2項各号)の登記をしなければならないこととされている。これは,支
店のみと取引をする者が本店の所在場所を正確に把握していない場合があり得
ることを前提として,支店の所在地を管轄する登記所において検索すればその
本店を調査できるという仕組みを構築するものであった。

 しかし,インターネットの広く普及した現在においては,会社の探索は一般
に容易となっており,登記情報提供サービスにおいて,会社法人等番号(商業
登記法第7条)を利用して会社の本店を探索することもできるようになってい
る。実際にも,会社の支店の所在地における登記について登記事項証明書の交
付請求がされる例は,ほとんどないようである。

 そこで,試案第3の6においては,登記申請義務を負う会社の負担軽減等の
観点から,会社の支店の所在地における登記を廃止するものとしている。

 ちなみに、中間試案については意見募集(パブリックコメント)が平成30
年4月13日(金)までの間で実施されます。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080164&Mode=0



2018.03.05(月)【商号に振り仮名】(金子登志雄)

 金曜日の続きですが、「振り仮名株式会社」とあったら、商号のフリガナの
部分に、ふりかな、ふりがな、フリカナ、フリガナのうち、どれにすればよい
のでしょうか

 下記にありました。平仮名は不可で、片仮名限定のようです。フリ「カ」ナ
か、フリ「ガ」ナかは申請人が選ぶことになります。

      http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00109.html     

 「いろは株式会社」にも「イロハ」とするのでしょう。Home株式会社は、
ホウムではなくホームで、法務株式会社はホウムでしょうか。

 では、片仮名商号の「イロハホールディングス株式会社」にも、イロハホー
ルディングスとわざわざ片仮名を記載しないといけないのでしょうか。ここだ
け例外にはならないでしょうが、違和感があります。

 上場会社のNTTドコモは、エヌティティドコモかエヌティーティードコモ
か、KDDI株式会社は、ケイディディアイか、ケイディーディーアイか、ケ
イではなくケーか……、総務法務担当者でも、うっかり答えられないでしょう。
このために、わざわざ取締役会を開くところもありそうです。

 上場会社の日本水産や日本道路は、英文商号からするとニッポンのようでし
たが(道路はドウロ? ドーロ?)、日本M&Aセンターはニホンでした。日
本ハム株式会社は英文商号からは不明でした。もっとも、英文商号と振り仮名
は別問題です。新日鐵住金の英文商号は、NIPPON STEEL……です。
商号の振り仮名と英文商号は別問題ということです。

 私の顧客に、N-ABC株式会社がありますが(仮称です)、エヌ-エイビ
ーシーでよいのでしょうか。ハイフンは片仮名ではないため、ナカテンと同様
に用いることができず、エヌエイビーシー(かエヌエービーシー)とするよう
です。エヌ、エイビーシーはいけないのでしょうか。

 しばらく混乱が続くでしょうが、ローマ字商号のときのように疑問が生じる
余地のないほど分かりやすい具体例付の説明がほしいものです。


2018.03.02(金)【変化の激しい商業登記】(金子登志雄)

 本欄で法務省の人事異動が早すぎて商業登記に詳しい人が少なくなっている
と嘆いてまいりましたが、商業登記に詳しい『商業登記ハンドブック』の著者
である松井信憲氏が昨年4月に商事課長に着いたことについては、明るい話題
の1つでした。

 しかし、何と、松井氏もこの4月1日にご栄転だそうです。これでは幹部公
務員も、まるで、監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社の取締役並の
任期です。

 任期1年は株主総会のコントロールの強化だといわれていますが、現実社会
の実態は株主総会ではなく社長が取締役を指名しているため、社長の権限強化
であり、独裁の許容だと私は批判的ですが、当の本人も任期1年では落ち着い
て仕事ができないでしょう。仕事を覚え始めた途端に配置転換です。

 一方、商業登記自体も激しく動いています。近々に登記申請書の商号にフリ
ガナが必要になりました。
   http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00109.html

 すでに通達が出たということで、私も司法書士仲間から入手しましたが、ま
だ私の疑問は解決していません。

 例えば、「日本M&A株式会社」というものがあったとして、「ニホンエム
アンドエイ」というフリガナで申請し、次の登記申請の際に「ニッポンエムア
ンドエー」で申請したら、どうなるのでしょうか。後者が正しい場合はどうな
のか、最初は前者のつもりだったか、気が変わって今後は後者にしたいという
場合はどうなのか、フリガナの変更は認められるのか、いまだ不明です。

 日本語の特徴は、1つの文字がいろいろ読めることです。それが文化です。
ざおうさん、ざおうざん、両方あってもよいじゃないですか。女性天皇も夫婦
別姓も認めないがちがち保守の自民党の国会議員さんたちは、こういう表音文
字化的な動きには何の関心も示さないのも不思議です。


2018.03.01(木)【マイナンバーの管理 】(島根・根来川弘充)

 マイナンバー制度がはじまってから、私は、報酬を受けた法人または、その
依頼先の税理士の方から、「マイナンバーカードか、その通知書と免許証写し
をいただきたい。」という連絡をたびたび受けます。

 これは、マイナンバー法により、マイナンバーの提供を受ける際には、法人
に、本人確認義務が課せられているためです。

 一方で、マイナンバーの取得については、その目的、方法、管理には、法律
の規定があり、違反すると刑事罰が科せられます。

 つまり、法人に厳しい義務が課せられているから、私たちは、安心してマイ
ナンバーを開示できるという理論なのですが、どうも私は、抵抗を感じてしま
います。

 そもそも、マイナンバーは行政が発行しているものです。税務(行政へ)の
手続きであるなら、行政内で情報共有をすれば良いのではないかと思うのです。

 「罰則まで設けて管理をしなさい」と私たちに義務をつけておきながら、そ
の流通をより広げる仕組みをつくるということは、むしろ、危険を大きくして
いるとしか思えません。

 マイナンバー制度は、まだ、はじまったばかりで、今後、どのような危険が
あるものか不明です。だからこそ、より慎重な管理が必要と思います。

 ちなみに、私は、お願いされた法人の皆様には、「法制度に不備があると考
えるので、開示をひかえていること」と、「照会あれば、税務署に直接開示す
ることをお伝えして、必要であれば、それを記載した書面を提出させていただ
くこと」で対応しています。

 私の対応で、法人にご迷惑がかかることはないと確認はしていますので、法
人の皆様、ご理解のほど、よろしくお願いします。


2018.02.28(水)【スーパーボウル③】(藤沢・酒井恒雄)

 スーパーボウルの試合会場では、優勝をしたときに選手たちが身に着ける
「チャンピオン」の文字が入ったTシャツや帽子が予め用意されています。他
のスポーツの優勝決定戦でも、同じことが行われていることがあると思います。

 準備段階では勝者が判明していませんので、決勝を戦うどちらのチームにも、
優勝記念グッズが用意されています。そして、残念ながら敗者となってしまっ
たチームの優勝記念グッズは、お蔵入りとなってしまいます。

 昔、米国の通信販売サイトで企画された、優勝記念グッズの予約販売に申込
みをしたことがありました。申込みをしたチームが勝った場合には、Tシャツ、
帽子、DVD、パンフレットのセットが送られてくることになっていました。

 申込みをしたチームが負けた場合には、注文が自動キャンセルさせると書い
てありました。しかし、これは私が一部読み間違いをしていたようでした。そ
の年は、私が応援していたチームは負けてしましました。実は、このとき負け
たのはイーグルスで、勝ったのはペイトリオッツでした。

 さて、応援していたチームが負けたので、優勝記念グッズの予約申込みをし
たことなんどすっかりと忘れていた頃、海外から大きな段ボールの箱が届きま
した。

 「はて?これは何ぞや?」と箱を空けてみたところ、中には無造作に一冊の
パンフレットが入っていました。そこで私は初めて状況を理解しました。購入
申し込みをした優勝記念グッズのうち、自動的にキャンセルになるのは、市場
に出回ることが無くなった敗者のチームに関するグッズで、勝敗に関係なく販
売されるパンフレットについてはキャンセルにならなかったのです。

 キャンセルにならなかったのは仕方がないとして、雑誌一冊ほどのサイズの
パンフレットを、わざわざ大きな段ボールに入れて送ってくる神経が理解でき
ませんでした。

 ガラガラの箱の中にパンフレットだけ入っていると、余計に敗北感が身に沁
みます。嫌がらせか!と思いましたが、冷静に観察してみると、箱の大きさは、
ちょうどTシャツや帽子等の優勝グッズ一式が入るサイズでした。おそらく、
この企画で用意した配送用の段ボールは1種類だけだったのでしょう。配送コ
ストを考えない大雑把な商売のやり方に、呆れるしかありませんでした。ちょ
うど10年くらい前の話ですが、スーパーボウルが終わると、いつもこの経験
を思い出します。<おわり>



2018.02.27(火)【会社法の改正】(東京・鈴木龍介)

 会社法は、平成17年に制定され(平成17年法律86号/平成18年5月1日施行)、
平成26年に一度、改正がなされましたが(平成26年法律91号/平成27年5月1日
施行)、現在、また改正についての本格的な検討がなされているのはご存じで
しょうか。

 法務大臣の諮問機関である法制審議会の会社法制(企業統治等関係)部会で
平成29年4月から議論が開始し、今般、中間試案というかたちで公表、それに
ついてのパブリックコメントがまもなく開始ということになると思われます。

    http://www.moj.go.jp/content/001250065.pdf

 今回の改正の大枠としては、上場企業を含む大企業を対象としたものと評価
してよいかと思います。

 具体的には株主総会に関するものとしては株主総会資料の電子提供と株主提
案権の濫用防止措置があげられ、役員に関するものとしては柔軟な役員報酬の
仕組みと社外取締役の義務化があげられます。その他としては社債に関するル
ールの実務との整合や子会社化のための株式交付(一種の組織再編?)があげ
られます。

 商業登記関連に目を転じてみますと以下の事項が改正の俎上に上っています

  ① 新株予約権の登記事項の簡素化
  ② 代表取締役等の住所の公示の制限
  ③ 支店登記の廃止

 今後は、中間試案に関するパブリックコメントの内容等を踏まえ、法制審議
会で改正の要綱を取りまとめ、来年の通常国会には法案として上程される(?)
と思われます。

 とりあえず、今回は速報的なお知らせという感じで取りあげてみましたが、
私を含め企業法務に携わる者にとっては、今後の動向は要チェック、というこ
とになります。


2018.02.26(月)【心の置き場所】(金子登志雄)

 金曜日の本欄の投稿者は私だったのに一時的に鈴木さんと表示されており、
失礼いたしました。閲覧者数名の方から指摘されてしまいました(念のため、
本欄は外注であり、私には直せませんので、今後もありましたら、すぐに直せ
ないことをご了承ください)。

 鈴木さんの投稿を下書にしたためですが、私の補正で最も多い事例です。過
去には、定時株主総会議事録の監査報告者である監査役の名前が登記簿にない
人になっているとか、登記申請書でいえば、代表取締役の住所が違うとか(変
更前の申請書を下書にしたため)、たまにやってしまいます。

 重要部分に細心の注意を払っている反動みたいなものですが、沢庵和尚の有
名な言葉「心をどこに置こうぞ」(どこにも置いてはいけない。そこに気を取
られるから)の心境に達するのは、凡人の私には無理なようです(沢庵和尚だ
って出来ないから、こういう戒めを言葉にしたに相違ありませんが)。

 土日は補正ではなく著書(改訂版)の校正三昧でした。もう10年以上も著
作作業をしていますが、面白いもので出版社の校正担当者にも個性があります。
改訂前には何も指摘されなかった文章なのに、担当者が変わると校正コメント
が入ることもよくあります。

 この「……なのに」を「であるのに」に直されたりもしますので、「国語の
本じゃないのだから、些末なことを直すな」とカリカリしたり、誤字を見つけ
てもらい「ああ有り難い」と思ったり、「住み分け」を「棲み分け」に直され、
前者ではいけないのかと考えたり……、心の置き場所が定まらない日々でした。
しばらく、この状態が続きます。



2018.02.23(金)【社外役員と司法書士】(金子登志雄)

 確定申告時期ですが、収入の少ないフリーター時代が長かったため、納税で
きる身分にあることを喜んできた私ですが、さすがに今年は喜んで納税する気
にはなれません。あの佐川君のせいです。

 先週の金曜日は納税一揆のデモに参加したかったのですが、残念ながら急用
ができてしまいました。
   https://mainichi.jp/movie/video/?id=5734948970001

 さて、鈴木さんが終了したようなので、今回は、私が社外役員と司法書士の
問題を取り上げてみます。

 メリットは、社会勉強になることです。個人事業の司法書士業務とは全くの
別世界が味わえるでしょう。

 会社はピラミッド型の縦社会組織です。業種により軍隊調から共同事務所的
組織までさまざまですが、多くの場合がワンマン社長であって、取締役はイエ
スマンに過ぎません。これも一概に否定すべきではないと思っています。民主
主義よりも営利追及の効率性を最優先にする組織だからです。

 ワンマン社長の某社に社外役員2名が加わったので、少しは改善されるかな
と思ってみていましたが、全く効果がありませんでした。社長から指名されて
社外役員になったのですから、期待するほうが無理だったのかもしれません。

 もし社外役員になるなら、その会社の社長と相性が合うことと、業務が分か
ることを基準にすべきでしょう。現実の社外役員は会議では何も発しない方が
大多数です。業界の専門用語が飛び交い、会議の内容も分からず、居眠りする
しかないのかもしれません(これも苦痛です)。

 公認会計士の社外役員は数字が分かりますし、監査の関係でさまざまな業種
をみていますので居眠りせずに済みますが、弁護士は居眠り型です。その点、
司法書士はグループ再編や定時総会、諸規定の改廃についての議題であれば居
眠りせずに済むだけ、まだマシかもしれません。

 私も司法書士ソフト会社とか不動産関連業、運送業、ホテル、レストラン、
食品や生活用品の販売業なら、何とか社外役員を務められると思っていますが、
製造業や最近増えたIT専門やゲームソフトであったら会議で居眠りしてしま
うので、頼まれても断るしかありません。
 
 上場会社の場合、社外役員は取締役会への出席率が事業報告に記載されます
(施行規則124条1項4号)。出席率が悪いと、定時株主総会で株主から理
由を問いただされるでしょう。また、「〇〇の件について社外役員の〇〇さん
のご意見を尋ねたい」と、きつい質問が出されるかもしれません。

 というわけで社会勉強にはなりますが、決して精神的には楽ではありません。
ただ、上場が容易になったせいか、最近の上場会社の役員は、そのへんのお兄
さんと変わらない方も増えましたので気おくれせずに、若い司法書士の皆さん
は、率先してストレスの世界を味わいましょう。



2018.02.22(木)【解散と履歴書】(仙台・立花宏)

 先日、ある会社の担当者の方と、株式会社の解散登記手続についての打合せ
をしていました。事情があり、3月末で会社を解散するという内容です。3月
上旬に株主総会を開催し、解散と清算人選任の決議をする予定にしているとの
ことでした。

 その内容をお聞きし、頭をよぎったのは、解散日までの期間が2週間を超え
る期限付解散決議は、会社の存続期間を定めたものとして存続期間を登記した
上で、解散登記をしなければならないという登記実務の取扱いです(平成22年
11月25日土手補佐官事務連絡)。そうすると、登録免許税の負担が大きくなる
こともありますが、解散日が会社の想定と異なってしまうのではないかと思わ
れました。

 たとえば、3月17日開催の株主総会で、3月31日付で解散すると決議した場
合は、平成30年3月31日株主総会の決議により解散と登記されることになりま
す。

 一方、3月16日に株主総会を開催し、3月31日付で解散すると決議した場合、
まず、存続期間として、平成30年3月31日までと登記し、その上で、平成30年
4月1日存続期間の満了により解散と登記することになります。登記実務上、
存続期間を定めた場合、存続期間の翌日が解散日となると扱われているからで
す(神﨑満治郎ほか『論点解説 商業登記法コンメンタール』(きんざい)290
頁)。さらに、解散日がずれるだけでなく、清算事務年度もずれることになり
ます(会社法494条1項)。

 その旨を説明すると、「へぇー、そうなんですか」と驚きながら、会社の担
当者様は、いたずらっぽく笑い、意外なことをおっしゃいました。

 「じゃあ、今後、僕の履歴書に経歴を書く時、その解散する会社の役員だっ
た期間は何月何日までと書けばよいのですかね」

 その担当者様は、親会社から解散する子会社に出向し、取締役になっていら
っしゃったのです。解散すると、会社は清算株式会社となり、取締役はその地
位を失うことになります。取締役の退任日は、存続期間の満了した3月31日ま
ででしょうか。それとも、解散日である4月1日でしょうか。

 解散の日という意味では間違いなく前者ですが、解散済みといえるのは4月
1日0時からですから、後者の回答もあながち捨てきれないような気もしてき
ました。解散した場合の取締役の登記は職権抹消されるので、退任日を意識し
たことがありませんでした。どう返事してよいのかと迷い、考えてから、改め
てご連絡を申し上げる旨をお伝えしました。

 するとそのご担当者様は、笑いながら、「冗談ですよ。100%子会社ですし、
株主総会の開催日は調整できると思います。決議の省略も検討できますし」と
おっしゃいました。

 どうやら、私がよほど深刻な顔でもしていたのか、肩の力を抜かせようとし
てくださったようです。私は、ほっとしながらも、まだまだ、顧客との対応に
慣れていないことを実感させられました。


2018.02.21(水)【スーパーボウル②】(藤沢・酒井恒雄)

 プロ・フットボール(アメフト)の全米チャンピオン決定戦である、スーパ
ーボウルは、出場チームのホーム(本拠地)でもアウェイ(敵地)でもない場
所で開催されます。

 ちなみにアメフトの英文スペルは American Footballであり、スーパーボウ
ルは Super Bowl と書きますので、これをカタカナ表記にしますと「ボール」
と「ボウル」の違いが発生します。

 実際には、スーパーボウルの開催地は数年先まで決まっています。なので、
その年に勝ち上がったチームが開催地をホームとするチームであれば、ホーム
・ゲームになる可能性があります。

 しかし、スーパーボウルの歴史上、一度もそのようなケースになったことは
ありません。なんとも不思議なものです。今年の開催地はミネソタ州のミネア
ポリスでした。出場チームは、ニュージャージー州ニューイングランドのペイ
トリオッツと、ペンシルバニア州フィラデルフィアのイーグルスで、両チーム
とも本拠地は開催地とは同じくらいの距離に位置しています。

 こんなこと書いていますが、以前も書きましたとおり、私はアメリカに行っ
たことがありません・・・。そういったニュートラルな地で行われた試合にも
関わらず、ペイトリオッツにはブーイング、イーグルスには大声援があったよ
うです。

 イーグルスは前評判でも相当不利でしたし、ペイトリオッツは何度も優勝経
験があるので、判官贔屓(ホウガンビイキ、あるいは、ハンガンビイキ=「弱
者に同情して応援する感情」)があったようです。判官贔屓は日本人ならでは
の感情かと思っていましたので、これには驚きました。もっとも、ペイトリオ
ッツのオーナーはトランプ大統領擁護派である等、別の複雑な事情もありまし
たので、純粋な判官贔屓がどれくらいあったのかは不明です・・・・・。
                              <つづく>


2018.02.20(火)【法人の役員と司法書士~その3~】(東京・鈴木龍介)

 先週、予告しましたとおり、今週も【法人の役員と司法書士】です(これで
最後にするつもりです。)。

 今回は、司法書士サイドから見ての法人の役員ということで、そのメリット
とデメリットについて考えてみたいと思います。

 まず、司法書士が法人の役員となるメリットですが、その法人の業務などを
通して司法書士業務以外に触れることで多くのあらたな知識を得ることができ
ます。これが結果として、司法書士業務にフィードバックできることも少なく
ないように思います。たとえば、社会福祉法人の評議員になることで、そこで
見聞きした知見が後見業務の身上監護の面で役立つといったイメージです。

 司法書士業務では知り合うことができないような人たちと知り合うことがで
きるのもメリットの1つです。不動産の取引など単発になりがちな司法書士業
務と違い、ある程度の期間、密な関係を築くことができます。とりわけ地域の
非営利法人の役員の場合、地元の名士の方々が名を連ねていますので、そのよ
うな縁で司法書士業務に良い影響(ブランディングや人脈等々)やあらたな仕
事がもたらされるなんてこともあるかもしれません(それだけを狙ってという
のはどうかと思いますが・・・)。

 副産物的ではありますが、法人の役員として、いくばくかの収入を得られる
なんていうこともメリットとしてあげてもよいかもしれません。非営利の公益
型の法人の場合には、実働等と見合わないことが多いですが、定期的な実入り
ということにはなります。

 逆に、司法書士が法人の役員となるデメリットですが、役員として法的責任
を負うということがあげられます。専門家として一般より重い責任を問われる
可能性もありますし、道義的な責任を追及されることも念頭にかなければなり
ません。

 非常勤の役員であれば会議などの物理的な時間の拘束はそれほどでもありま
せんが、準備や検討に、それなりの時間を費やすことは十分、想定され、司法
書士業務に影響が出ないとも限りません。

 役員を務めている法人からの司法書士業務の依頼については、注意が必要で
す。たとえば、不動産登記において、売主が当該法人であったような場合で、
売主と買主の双方代理することは利益相反となる可能性が高いと思われます。

 一方で、商業・法人登記については、単独の報告的ということで、そのよう
な関係に立つことはありませんが、独立性が求められる社外役員の場合には、
仮に多額の報酬を得たようなケースでは問題になるかもしれません。

 いずれにしても、法人の役員に就任する前には、このあたりのデメリットも
きちんと把握し検証しておくべきでしょう。

 最後に、司法書士が法人の役員になるための前提条件は、未知のものに挑戦
しようとする好奇心と、ちょっとした勇気かなと思います。

 ということで、法人の関係者のみなさま、もし役員のなり手をお探しのよう
でしたら司法書士に声をかけてみてはいかがでしょう。


2018.02.19(月)【意味不明登記】(金子登志雄)

 種類株式や新株予約権付社債など難解な登記になると、登記所も十分に対応
できないのか、「大弁護士事務所の作成ですね。(反論されると面倒だから)、
まぁ、いいか」で受理してしまうのではないでしょうか。

 それにしても、弁護士作はわざと分かりにくくしているのかとしか思えない
内容が少なくありません。

 次は某上場会社の登記記録から抜粋したものですが、意味が分かりますか。
----------------------------------------------------------------------
新株予約権1個の行使の目的となる株式は、発行会社の普通株式0.9株及
びA種優先株式1株(以下併せて「単位株式」という。)とする。
 本新株予約権の行使に際して交付される単位株式数は次のとおりとする。

         本社債の発行価額の総額+利息相当額
  単位株式数= ──────────────────
             転換価額
----------------------------------------------------------------------

 仮に分子が1億円で分母が1万円だとしますと、単位株式数は1万株になり
ますが、この場合、新株予約権の目的となる普通株式とA種優先株式は、それ
ぞれ何株でしょうか。

 もちろん、私には分かりません。管轄登記所も分からないまま受理したので
しょう。しかし、商業登記のプロを自認している限り、「分からない」は私の
恥ですから、意味合いを探ってみました。

 はじめは、「併せて単位株式」という文章に引きずられて、単位株式数は普
通株式とA種優先株式の合計数だと思いましたので、1万株を0.9対1.0
に配分してみましたが、発行済株式数の増数に合いませんでした。

 最終的に計算が合ったのは、1万株×0.9=9000株が普通株式の増数
で、1万株×1=1万株がA種優先株式の増数でした。

 なぜ、ごく普通に、「新株予約権1個の行使の目的となる株式の種類は普通
株式とA種優先株式とし、普通株式については、次の算式で計算された単位株
式数に0.9を乗じた数とし、A種優先株式については、単位株式数と同数と
する」と、分かりやすく書かないのでしょうか。

 まさか、分かりやすくすると、権威がなくなり、報酬を請求にしにくくなる
という理由ではないと思いますが、私自身は、こういう分かりにくい内容はプ
ロして恥ずかしいことだと思っています。

 弁護士が訳の分からない難しい文章を作成すると、さすがは優秀な先生だと
評価され、司法書士が難しい文章を作成すると、無能扱いされて次から仕事が
来ないという世間の風潮も困ったものですが、われわれも、裸の王様に対して
は、おかしいぞと批判する純粋な目を持ちたいものです。



2018.02.16(金)【取引しない慣習】(金子登志雄)

 今日は別の話題にする予定でしたが、昨日の1月2日・3日は休日かという
点につき、わが業界で最も有名な司法書士ブログにコメントが載っていると聞
かされ、さっそく閲覧しました。内藤さんのブログです。

  http://blog.goo.ne.jp/tks-naito/e/2c722a39dc7a13c750f095bf5f0cd814

 そこに、――東京法務局商業登記研究会編「商業法人登記速報集」330頁
であり、「国民生活の実態を考慮すれば,1月2日・3日は民法142条にい
う「休日」に該当すると考えられる」ことが理由付けとされていた――とあり
ましたが、その内容につき全く知りませんでした。

 アマゾンによると日本法令から旧商法時代の平成8年2月に出版された本の
ようです。皆さん、ご存知でしたか。そういう本の名前は聞いたことがあるが、
内容までは……というのが私を含め大多数の司法書士でしょう。

 しかし、法令の不知は登記申請人の責任ですが、官報公告を扱う印刷局を含
めて誰も知らない東京法務局見解に対する不知は登記申請人の責任にならない
でしょう。現に、それ以降も1月2日や3日を期間満了日とする登記は東京法
務局管内を含めて、いくつも受理されてきたはずです。

 非常に残念なのは、最高裁は控訴人の利益のために1月2日・3日は休日だ
としたのに、東京法務局は逆に登記申請人の不利益のために1月2日・3日は
休日だという見解を出したことです。判旨の悪用としか思えません。

 ところで、民法142条「期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に
規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある
場合に限り、期間は、その翌日に満了する」の「取引をしない慣習」の意味で
すが、学生時代から、何の取引をいうのかと疑問に思っていました。水曜日が
定休日のデパートは、水曜日が休日で、水曜日に合併に異議ありといってはい
けないのでしょうか。

 しかし、今は債権者異議申述の手続でいえば、「異議の効力を認めてはいけ
ない慣習」のことだと思っています。登記申請期間の2週間でいえば「登記申
請してはいけない慣習」のことです。

 登記申請できないのに1月2日や3日で2週間が終了したから、過料に処す
というのは許されませんが(この関係では控訴期間と同様に休日です)、債権
者の異議であったら、その日に効力を生じさせることに何の不都合があるので
しょうか。

 公告した会社は1月2日までに異議が届くかと待機しているわけですし、債
権者のほうも期限は1月2日と思って行動しているとみるのが通常ではないで
しょうか。相手会社が1月4日から営業開始でも、1月2日までに異議を出さ
ないといけないと思って行動しているわけで、まだ4日までに2日余裕がある
などと債権者は考えていないでしょう。異議はメールでもできるのです。
 
 万人に明確な基準であるカレンダーどおりの運用に戻ることを求めます。



2018.02.15(木)【1月2・3日は休日か】(金子登志雄)

 2月は4月1日付吸収合併などで債権者異議申述公告がなされる時期ですが、
さて、皆さん、昨年12月1日(金曜日)に資本金の額の減少などにつき債権
者異議申述公告を出したとすると、この公告期間の満了日はいつでしょうか。

 商業登記に詳しいベテラン司法書士も、勉強家の司法書士試験受験生も全員
が迷わず、1月2日と答えることでしょう。債権者異議の手続に関する休日な
どの取扱いはカレンダーどおりだというのが、大昔からの定説であり、登記の
運用だったからです。官報公告の実務もこれでした。

 ところが、2月8日の東京司法書士会千代田支部のセミナーにおける東京法
務局登記官の講義によりますと、1月2日・3日は休日扱いだそうです(この
結果、1月4日を効力発生日にすると、却下になります)。

 根拠は昭和33年6月2日最高裁判決だそうです。
 http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/894/052894_hanrei.pdf

 しかし、この判決は裁判の控訴期間についてのものであって、債権者申述期
間の計算には影響がないとされてきたはずです。

 この裁判例があったので、次の改正がなされ
 http://nomenclator.la.coocan.jp/ip/jsup/minsom/s63-093.htm

 現行民事訴訟法95条3項の「期間の末日が日曜日、土曜日、国民の祝日に
関する法律に規定する休日、1月2日、1月3日又は12月29日から12月
31日までの日に当たるときは、期間は、その翌日に満了する」につながった
のであり、これは我々よりも受験生のほうが詳しいでしょう。

 実に不思議に思うのは、こういう新見解・新解釈が登場しても、東京法務局
内や法務省商事課で、「その解釈は従来の運用と相違する」と、どなたも指摘
しなかったのかということです。

 きっと東京法務局も法務省も人事異動が激しいため、昔からの運用につき詳
しい方がいなくなったのでしょう。本人確認証明書や株主リストの解釈や運用
にもそれを強く感じていましたが、まさか、債権者異議申述期間まで従来の運
用と異なる見解が登場するとは想像もいたしませんでした。

 この運用は東京法務局だけのローカルルールなのかは未だ不明ですが、セミ
ナー終了後には、早速、土曜日を期間満了日にしたが大丈夫だろうという不安
の声が出ていました。

 土曜日はともかく、12月29日から31日は大丈夫でしょうか。従来のル
ールを変更するなら、法務省商事課により全国に向けて発信し、周知期間を置
いてからにしていただかないと、いたずらに民間を不安にさせるだけです。

 なお、代表取締役の就任承諾書や辞任届に住所は不要であると明言していた
だきました。これは従来の伝統的な運用どおりであり、最近の一部の運用を否
定するものであり朗報でした。プラスマイナスでいうとプラスの多い有意義な
講義でした。


2018.02.14(水)【スーパーボウル①】(藤沢・酒井恒雄)

 先週の2月5日(現地は4日)に、アメリカン・フットボール(プロ)の全
米チャンピオンを決める、スーパーボウルが開催されました。

 ここのところ毎年、日本時間の朝8時からテレビの生中継があります。じっ
くり生放送を楽しみたいところですが、自己責任でいかようにも仕事の調整が
できるとはいえ、なかなか休暇をとるという決心もつきません。

 例年、録画をしておき、出勤時間ギリギリまでテレビを付けて、後ろ髪を引
かれる思いで家を後にしています。

 この日も録画をして家を出ました。その日は、早く仕事を切り上げ、早めに
食事も済ませ、さぁお酒を飲みながら試合を楽しもうと思った段階で、尋常で
はない寒気を感じたので、結局、ノンアルコールで、ソファーで毛布に包まり
ながら観戦することにしました。(このとき既にインフルエンザに罹っていた
ようで、翌日に発症しました・・・。)

 どんなスポーツでもそうだと思いますが、レギュラーシーズンの試合、トー
ナメント戦、チャンピオンシップへと、その試合の勝利の重みが増してくるに
つれ、いわゆる「神ってる」プレーが増えてきます。今回のスーパーボウルも
素晴らしい試合で、何度も神っているシーンがありました。人の集中力は凄い
と感心します。

 優勝したのは、フィラデルフィア・イーグルスというチームで、なんと57
年振りの優勝でした。以前から応援しているチームなので嬉しいです。対戦相
手は、昨年を含めて過去に5回も優勝している、ニューイングランド・ペイト
リオッツというチームでした。

 イーグルスは、司令塔であるクォーターバック(QB)がトーナメント戦に
入る前に負傷したので、控えのQBがその後の試合とスーパーボウルを戦いま
した。

 以前、責任が重いと書いたキッカーは、ルーキーが勤めました。技量、経験
では相手チームが上回っており、イーグルスはアンダードッグ(かませ犬)と
言われていましたが、見事なチーム力で勝利を収めました。悪寒の影響とは関
係なく?、観ていて体が震えた試合でした・・・。
                              <つづく>


2018.02.13(火)【法人の役員と司法書士~その2~】(東京・鈴木龍介)

 酒井先生、体調を崩されている中、先週の投稿【法人の役員と司法書士】へ
のレスポンスありがとうございます。

 ということで、引き続き「法人の役員と司法書士」について、もう少し突っ
込んで考えてみようと思いますが、どのあたりが法人の役員として司法書士が
適任であるのかということです。ちなみに、ここでいう「法人」とは会社だけ
ではなく各種の法人も念頭に置いています。また、「役員」とは非常勤である、
社外取締役等の外部の役員を想定しています。

 まず、法人の外部の役員となると、理事会等の会議体への出席のために一定
の時間の拘束を受けることになります。その頻度や所要時間はそれぞれの法人
によって差異はあると思われますが、月1回開催、1回あたり2~3時間が一
般的でしょうか。そのような、あらかじめ決められた日程・時間帯であれば、
いわゆる自営業者である司法書士は、会社員等と比較すると「融通性」という
観点でマルということになると思います。

 法人の外部の役員の主な役割としては、業務執行者から独立した立場で法人
のガバナンスを効かせることであって、これは社長等の業務執行者の暴走を阻
止し、適正な事業活動が行われることに貢献するという理解です。

 多くの場合、司法書士は、法人と経済的にも精神的にも独立していると評価
できますので、「独立性」という観点でマルということになると思います。

 また、法人の外部の役員には経営へのアドバイス機能を求められることがあ
りますが、民法や会社法といった実体法を前提に、登記や裁判事務といった法
務の手続に精通している司法書士は、法律のプロとして「専門性」という観点
でマルということになると思います。これについては、コンプライアンスとい
う点でも効果があるといえるでしょう。

 さらに、司法書士は、不動産取引や相続といった案件を通して多様な経験値
をもっており、法人を取り巻く諸々の事象についても冷静な目でとらえること
ができますので、「客観性」という観点でもマルということになりそうです。

 加えて、司法書士は、国家資格者であり業法上も守秘義務を課せられている
という点での「安心感」というのも見逃せません。

 以上のことから、個人差はあるものの、司法書士が法人の外部役員の担い手
としての資格は十分にあるといってよいでしょう。

 次回は、司法書士の側から見る「法人の役員」について、考えてみたいと思
います。ということでもう少しお付き合いください。


2018.02.09(金)【いつのまにか2月】(東京・古山陽介)

 初投稿が2月になってしまいましたが、本年もどうぞ宜しくお願いします。

 例年1月は、最初の1週間を超えると、わりと落ち着いてくるのですが、今
年は嬉しい悲鳴と言いますか、依頼が殺到していて、なかなか落ち着かない日
々が続いています。

 依頼時には、手続きの実行が難しいのではと感じることも、できる方法を試
行錯誤しながら一つずつ論点を潰して、手順の道筋を立て、書類を作成して、
登記まで持ち込む。

 業務では当たり前のことが、家庭でも最近感じることがあります。家では、
もうすぐ2歳になるやんちゃな娘に翻弄されているのですが、遊んでいるとき、
着替えのとき、何かをお願いするとき等色んな場面で「できない」といって諦
めようとします。

 まだ小さいので仕方ないのですが、そんなときは、上手くできる方向に仕向
けてみたり、どうすればできるかを考えてもらうように仕向けてみたりと、あ
の手この手で出来るように促します。

 できたときには子供はもちろんですが親である自分も嬉しいものです。

 できるという経験の積み重ねが自分の血となり肉となるのは、どんな場面で
も同じであることに改めて気づかされました。

 次回以降は、ここ数ヶ月の実務の雑感をいくつか投稿する予定でいます。さ
ぼり癖を治さなければいけないと反省しております。



2018.02.08(木)【ざおうざん? ざおうさん?】(仙台・立花宏)

 先日,テレビを見ていたら,宮城県と山形県にまたがる蔵王山の噴火警報レ
ベルを引き上げるというニュースを流していました。蔵王山は,温泉やスキー
場,牧場等もあり,宮城や山形の人々にとってはとても親しみのある山です。
私も,何度も訪れたことがあり,とても心配なニュースでした。

 ところで,この情報は全国に流れたのだろうと思いますが,そのニュースで
は,この蔵王山をどのように読んでいたでしょうか。実は,私はあまり意識し
たことがなかったのですが,どう読むかは地域等によって違いがあるそうです。

 昭和の初めころ,国土地理院に,“ざおうざん”で登録されたそうで,一応,
公式にはこの読み方をされることが多いようです。しかし,特に山形の方たち
は“ざおうさん”と呼ぶ方が多いそうで,この読み方を正式なものとしてほし
いという要望も多いのだそうです。

 インターネットを検索してみたら,今後,国土地理院の登録について,両方
の読み方を併記したらどうかという提案もあるようです。地元の方でも,地域
によって“ざおうざん”と呼ぶ方“ざおうさん”と呼ぶ方がいらっしゃり,ど
ちらが間違いというわけではないでしょうから,少なくとも,普段は慣れ親し
んだ方で呼べばよいのだろうと思います。

 漢字というのは,複数の読み方をするものが多いですし,なかなか難しいも
のだと思いました。

 ところで,会社の商号や呼称も漢字やアルファベット(ローマ字)の場合が
多いですが,はじめて見る会社の商号や呼称は,思い込みで間違えて読んだり,
覚えたりしてしまうことがあります。

 そういえば,有名企業のCanon さんも,会社のホームページをみると,キヤ
ノン株式会社となっています。若いころ,私は正式名称もキャノンさんだと思
っていたのですが,誰かから,「正式にはキヤノンだと思うよ」と言われては
じめて意識したことがあったように思います。

 今年の3月12日から,商業・法人登記の申請をする場合,申請書に,商号
・法人名のフリガナを記載する欄が設けられるようです。このフリガナの情報
は,登記簿に記載されるものではなく,国税庁の法人番号公表サイトを通じて
公表されるようです(※)。

 登記の申請書の記載事項を定めている商業登記法が改正されるわけではない
ようですので,記載がない場合に補正が求められるのかどうか,また,仮に,
間違えた内容を登録してしまった場合にどうなるのかなど,まだ,わからない
こともありますが,こうした情報が公表されるようになることは,個人的には
とても望ましいことではないかと思いました。
(※)公表は4月2日から。



2018.02.07(水)【司法書士の社外役員】(藤沢・酒井恒雄)

 自分の体調管理の甘さから、インフルエンザB型に罹ってしまいました。熱
はそれほど高くないのですが、頭痛と鼻水が酷いです。

 今日、徒然日誌の原稿を書こうと思っていたのですが、PCの画面や字を見
るのが辛いので、金子先生に明日の原稿が送れない旨のメールをしたところで
す。

 しかし、昨日の鈴木龍介先生の投稿を読みまして、どうしても伝えたくなっ
たので短いながら投稿させて頂きます。

 私も、司法書士は外部役員に向いていると思っています。

 手前味噌ですが、商業登記業務等を通じて、様々な会社さんとお付き合いを
して行くうちに、会社や組織に対する視野が広がっていることに気付いたりし
ます。事業活動におけるリスクに対する嗅覚も、司法書士は優れているのでは
ないか? とも思っています。

 私も社外役員を務めているのですが、実務ならではの悩みがあります。意見
交換をしあえる仲間がいたら、心強いだろうなと思っています。そのうち司法
書士で外部役員をされている方々と、会合を持てたらいいなぁと思っておりま
す。



2018.02.06(火))【法人の役員と司法書士】(東京・鈴木龍介)

 会社などの法人は、それ自体が意思決定や業務執行をすることはできません
ので、実際に職務を行ったり、監査や監督をするための機関である役員が必要
になります。

 とりわけ、近年、注目されているのが外部の役員-株式会社では社外取締役
や社外監査役-です。現在、法制審議会で展開されている会社法改正の議論の
中でも上場会社等に社外取締役の設置を義務付けるかどうかということについ
て、平成26年改正に続き、検討されています。

 一方で、上場会社以外では外部の役員を置く意味はないのでしょうか?
 中小企業であってもガバナンスは必要であり、社外役員が有用な場合もある
と思います。また、財団型の非営利法人-たとえば一般財団法人や社会福祉法
人-では、外部の人間を前提とした評議員を置かなければなりませんし、公益
型の非営利法人-たとえば公益社団法人やNPO法人-では、理事の中に親族
等の利害関係のない人間が必要になります。

 では、その外部の役員の担い手はどうかというと、上場会社については、会
社法で社外取締役の義務化はなされていないものの、コーポレートガバナンス
・コードの制定・運用開始により、にわかに社外役員(特に社外取締役)に対
するニーズが高まり、需要と供給がマッチしていないように思います。

 そのような背景の中で4~5社の社外役員を務めている方もいます。ちなみ
に、私もかつて上場会社2社の社外役員を務めていたことがありますが(現在
は1社です。)、本業を持つ身としては2社が限界かなと思っています。

 上場会社以外の場合、状況はもっと厳しいのではないでしょうか。つまり、
外部の役員のなり手が足りないということです。一定の外部の役員を確保しな
ければならない非営利法人の場合であって、いわゆる大都市圏以外の地域では、
特に深刻であるとの話も耳にします。

 そこで、外部の役員として司法書士はどうでしょうか? 私自身、2つの非
営利法人で理事を務めていますが、個人差はあるにせよ意外(?)に適任であ
るような気がしています。中小企業のオーナーや非営利法人の関係者のみなさ
ん、いかがでしょう? また、司法書士の方々はどうお考えになりますか?


2018.02.05(月)【互選又は株主総会の決議により】(金子登志雄)

 登記申請に添付した非取締役会設置会社の定款に「当会社に取締役を複数名
置く場合には、取締役の互選により、又は株主総会により代表取締役1名以上
を定める」とあったため、某登記所より、この定めは有効なのか、先例がある
のか、定款認証で肯定された例はあるのかと質問を受けました。

 登記事項とは無関係な部分で補正ではありませんでしたが、はじめてみた内
容だったのか、個人的に確認したかったようです。

 「取締役の互選によって定めることができる」とう意味だから問題ない、会
社法立案者の葉玉ブログでも肯定しているし、松井ハンドブックでも認めてい
ると説明しましたが、松井本は、定款で「互選で定める」と断定した限り総会
では選定できないという内容で、もろに肯定したものではなかったこと、私の
説明が、互選で定められるのなら、そこまで達しない「互選で定めることもで
きる」も、株主総会と互選の中間領域だから、当然に認められるといった定款
自治の方向からの説明であったため、十分に真意が伝わらなかったようです。

 そこで、その後も、こういう分かりきったことをどう説明したら通じるのか
と考えていましたが、会社法349条3項の「株式会社(取締役会設置会社を
除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によ
って、取締役の中から代表取締役を定めることができる」を抜粋しただけだと
説明するのが最も通じやすいかなと考えました。

 会社法349条3項は、非取締役会設置会社の代表取締役は、「①株主総会、
②定款、③定款の定めに基づく互選」のいずれかの方法で定めることができる
という意味であって、①②③のいずれかに固定しなければならないというもの
ではありません。現に、定款に③の規定が定められているのに、②の定款の附
則で定めることが頻繁になされています。したがって、「互選で定めることが
できる」も「定めることもできる」も「互選又は株主総会の決議により定める」
も当然に肯定されます。

 非取締役会設置会社の株主総会は万能の決議機関であるため、「又は株主総
会の決議により」は一見して余事記載のようにみえますが、「互選又は株主総
会の決議により定めることができる」なら余事記載ですが「定める」にした場
合は、これを挿入しておかないと、松井本の解説のとおり株主総会では選定で
きないことになるため、余事記載にはなりません。


2018.02.02(金)【資本金等増加限度額と株主資本等変動額】(金子登志雄)

 今年も1か月が経過し、寒い2月になりました。逃亡も証拠隠滅のおそれも
なく拘束する理由が全くないのに、あの籠池老夫妻はまだ出してもらっていま
せん。もう半年にもなります。権力に逆らうとこうなるという見せしめのよう
で、もう一方の当事者である昭恵さんとの落差を考えてしまいます。

 さて、会社法用語は慣れないと難しいものです。旧商法の「発行する株式の
総数」は会社法では「発行可能株式総数」となりました。

 この「(発行)する」とは、「することのできる」と読み替えてください。

 公開会社の定義の「その発行【する】全部又は一部の株式の内容として譲渡
による………」も、種類株式発行会社の「内容の異なる2以上の種類の株式を
発行【する】株式会社」も、株券発行会社の「株券を発行【する】旨の定款の
定めがある株式会社」も実際に発行しているかどうかを問わず、発行すること
ができるようになっていれば、それで定義を満たします。

 「する」→「することができる」→「可能」ですから「発行可能株式総数」
と用語が変わったわけですが、旧商法の「配当限度額」は「分配可能額」にな
りました。自己株式取得原資をも含むからです。

 増資をすると原則として「資本金と資本準備金」が増えます。この合計額、
すなわち出資額を「資本金等増加限度額」といいますが、合併等の場合は、そ
の他資本剰余金や利益剰余金にも影響することがあるため、より広く「株主資
本等変動額」といいます。

 株主資本等増加限度額と名づけなかった理由は、合計でマイナスになる場合
もあるからです。

 ここで勉強家の方は、親会社が子会社に債務超過事業を出資した場合のよう
に、増資の場合でもマイナスがあるのに、なぜ「資本金等増加限度額」とし、
「資本金等変動額」にしなかったのかと疑問を持つことでしょう。

 この回答は計算規則14条1項本文に「零未満である場合にあっては、零」
とあります。



2018.02.01(木)【平成30年の仕事はじめ】(島根・根来川弘充)

 平成30年が明けましたが、不本意ながら、正月からインフルエンザにかか
ってしまい、仕事できるまで約半月近く必要でした。

 しかし、病にかかるのは、私だけでなく、私が後見人として関わっている方
の中で、年始から入院を余儀なくされた方も出てきました。

 確かに急激な天候の変化もあったかもしれませんが、思い出せば、昨年も入
院された方が数名おられました。

 年をまたぐということは、単なる時間の経過でなく、何かしら身体に何か影
響を与えることなのかも知れません。

 昨年の私は、まだ元気だったのですが、今年は、病気になってしまったので、
入院手続をするに際し、関係者の方に迷惑をかけることになってしまいました。

 年始のスタートがうまく切れないと、この一年が大変不安になります。

 初詣のおみくじは、吉だったので悪くはないと思うのですが、いろいろ用心
しておきたいと思います。


2018.01.31(水)【引越し完了】(藤沢・酒井恒雄)

 事務所の引越しが終わりました。

 案の定、電話もインターネットも、すんなりとは繋がり「ません」でした。
嫌な予感はしていたのです・・・・・。

 通信会社の担当者によれば、電話・インターネットの開通工事は、通信機器
(ルーター)のコードを一本繋ぐだけなので簡単に出来る、そして、現場に工
員は行かず、遠隔操作で工事を行うのが主流とのことでした。

 費用も安く済むとのことですし、何となく自分で作業することを薦めている
感じでしたので、遠隔操作で開通工事を行う方法を選択しました。しかし、費
用を安く済ませるということは、その分、自己責任となることが増えると考え
るのが素直かと思います。一瞬、嫌な予感がしました。

 実際に作業を行ったところ、確かに機器自体はコードを一本繋ぐだけの作業
だったのですが、新環境になったことに伴う初期化や、電話番号とFAX番号
の割り振りの作業等も必要でした。

 ITに詳しい方であれば、それは当然の作業だと思われるかもしれませんが、
私は、「コードを一本繋げるだけ」で、今まで通りに使えると考えていました。
なかなか回線が繋がらず、担当者の説明不足だとして文句を言うべきか、はた
また自分がリスク・テイクした結果だとして受け入れるべきかと、悶々とした
雰囲気を漂わせていたところ、複合機の搬入のために来ていたエンジニアの方
が察してくださり、私の作業を手伝ってくれました。本当に有り難かったです。

 その後、無事に電話もインターネットも繋がり、電子署名やオンライン申請
も無事に出来ることが確認できました。とりあえず一安心です。


2018.01.30(火)【函館 初往訪】
(東京・鈴木龍介)

 先週末は、函館司法書士会(=函館会)の研修の講師ということで、はじめ
て北海道の函館(江戸時代は「箱館」と表記されていたようです。)に行って
まいりました。

 今回の研修のテーマは、本コーナーで何度も取り上げています「債権法改正」
で、日本司法書士会連合会からの派遣です。函館会は総勢39名という最も人
数の少ない司法書士会ですが(カバーするエリアは相当広いですが・・・)、
本研修には30名近く参加されていましたので、東京などの大きな司法書士会
では考えられない出席率です。

 企業向けのセミナーや大学の授業でお話をする機会は結構あるのですが、司
法書士向けの研修等の講師というのは意外に(?)多くありません。今年度で
いうと函館会が2つめです。

 地方(この言い方どうかと思いますが、よい言葉が思いつかないのでお許し
ください。)の司法書士会での研修講師の楽しみは、地方の司法書士の方々と
の交流(東京とは違った見方や意見を聞くことができます)とそれぞれの土地
の旨いものでしょうか。

 函館会でも研修終了後に、研修担当の方々を中心に懇親会を催していただき
ました。地元でも評判の居酒屋さんでしたが、さすが北海道・函館ということ
で新鮮な魚介類がふんだんに出てきました。箱うに(箱に入っている塩水うに)、
活いか、生ガキ等々、北海道の地酒とともに堪能させていただきました。

 中でも驚いたのはホッケ(漢字で書くと「𩸽」)の刺身です。ホッケは焼い
たものしか食べたことがなかったのですが、刺身で食べられるというのは足の
早い魚でも鮮度を保つことができる地元ならではの逸品でした。もうひとつ、
函館は温泉のメッカということで、宿泊は温泉付きのホテルにしました。露天
ありの源泉かけ流しの塩水(海水)で、粉雪舞う中、とても暖まりました。

 ということで、研修の中身や講義のクオリティはさておき、有意義な初函館
でした。

 最後に函館会の先生方のご厚情にあらためて御礼申し上げます。


2018.01.29(月)【総社員の同意その2】(金子登志雄)

 25日の立花さんの「総社員の同意」ですが、退社予定者は総社員に含まれ
ないという見解があるとは驚きでした。寝ぼけているのかと思いました(年取
ると口が悪くなりますね)。

 学者や勉強家の実務家に多いタイプですが、大量の書籍を読み、この論点に
は、甲説と乙説があって、争点はこれで………という先入観に囚われて、その
範囲内の思考に落ち込むと、こういう信じがたい見解になります。

 われら不勉強家(?)は大量の本を読みませんから、それに影響されず、ご
く普通に常識や社会通念で考え、総社員という限り、全員のことだと考えます。

 不勉強で努力嫌いの私は、読書は少ない代わりに、条文だけで熱心に考えま
す。この条文とあの条文の相互の関係はどうかという思考もしますから、格好
よくいえば、森をみずに木しかみない勉強家とは相違する着眼をします。

 本件に関しても、法定退社の607条だけで考えずに、全く関係なさそうな
641条との関連で思考します。
----------------------------------------------------------------------
(法定退社)
第607条 社員は、………の場合のほか、次に掲げる事由によって退社する。
  一 定款で定めた事由の発生
  二 総社員の同意
  三 死亡
  四 合併(略)  以下略

(解散の事由)
第641条 持分会社は、次に掲げる事由によって解散する。
  一 定款で定めた存続期間の満了
  二 定款で定めた解散の事由の発生
  三 総社員の同意
  四 社員が欠けたこと。
  五 合併(合併により当該持分会社が消滅する場合に限る。)  以下略
----------------------------------------------------------------------

 いかがですか。定款で定めた存続期間の満了も定款で定めた解散事由の1つ
ですから、607条と641条は、瓜二つの関係にあると思いませんか。

 これは持分会社の社員の法定退社を「会社の部分解散」と会社法が捉えてい
るためでしょう。

 であれば、両規定にある総社員の同意とは退社予定者を含んだ総社員の同意
であることが明らかです。

 持分会社の実質は民法上の組合であり、組合「契約」とされていますが、契
約にも種々あり、相対立した意思表示の合致(申込みと承諾の合致)だけでな
く、あるテーマ(議題)に全員が同意する同方向に向けられた意思の合致(合
同行為ということが多い)もあります。合同行為で社員Aさんを含む全員でA
の退社につき同意するのも総社員の同意の1つであり、立花さんの解説のとお
りです。


2018.01.26(金)【会社数】(金子登志雄)

 直近の商事法務に掲載されている松井信憲商事課長の投稿によると、現状の
会社数は、次だそうです。

----------------------------------------------------------------------
 平成28年末現在における清算中の会社を除く現存会社数は約363万社で
あり、前年同期の約358万社に比べて、約4万8000社増加している。
 会社の種類別にみると、
 株式会社が約181万社(約5万3000社増)、
 特例有限会社が約159万社(約2万5000社減)、
 合同会社が約12万8000社(約2万1000社増)、
 合資会社が約7万9000社(微減)、
 合名会社が約1万8000社(微減)
となっている。合同会社の数は、従前は毎年約1万社ずつ増加していたが、近
年は毎年2~3万社近く増加しており、その利用が進んでいることがうかがわ
れる。
----------------------------------------------------------------------

 特例有限会社の減少はおそらく株式会社への移行でしょうから、株式会社の
純増は約3万、合同会社を含め毎年5万社程度が誕生しているということでし
ょうか。

 企業業績も向上し日経平均株価も高騰していますが、現実には、企業が儲か
っているだけで、庶民は少しも豊かになっていません。正規社員も減少し、実
質賃金は下がり、庶民の犠牲の上に立つ大企業や金持ち優遇策の結果ですが、
企業も内部留保に務め儲けを外に出していません。

 それにもかかわらず、会社数が増大している理由を知りたいところですが、
こればかりは、法務局にも調べようがありません。合同会社数の増大は、おそ
らく、資産家による税金対策のための資産管理会社としての設立でしょう。私
も何件か手掛けたことがありますが、いずれも税金対策と思われる案件でした。

 さて、上記のうち、10年に1度以上登記する会社が220万社程度とみる
と、現在の司法書士数は全国で2万2495人ですから、1人100社です。
新設5万社で計算すると1人2社です。

 会社法。商業登記専門の当事務所なら、顧客数はこの数倍あってもおかしく
ありませんが、この10年で100社扱ったかどうかは怪しいものです。新設
会社数はかろうじて平均値の数倍ですが、自慢できる数ではありません。

 だからこそ、当事務所は、知名度があっても、同業者から羨望の対象にもな
らず、愛される事務所でいられる面もありますが、少々情けない思いです。い
ったい誰が独占しているのでしょうか。


2018.01.25(木)【総社員の同意】(仙台・立花宏)

 先日,知り合いから問い合わせをいただきました。内容は「総社員の同意」
による退社(一般法人法(※1)29条2号)についてでした。

 「総社員の同意」となっているけれど,その総社員には退社する社員は含ま
れないよね,という疑問でした。どうやら,「総社員の同意」は,他の社員全
員が同意すれば,ある社員の意思と無関係に当該社員を退社させることができ
る制度と考えているようでした。

 会社法に規定される持分会社にも「総社員の同意」による退社の制度があり
ますので,会社法のコンメンタール(岡島孝康・落合誠一・浜田道代編『新基
本法コンメンタール会社法3第2版』日本評論社33頁)を見てみました。

 詳細は同書をご覧いただきたいと思いますが,含まれるとする見解と含まれ
ないとする見解があるようです。ただし、含まれないという見解も,退社する
社員の意思と無関係に,他の社員全員の同意のみで特定の社員を退社させるこ
とができるとしているわけではありません。

 持分会社の社員には,任意退社の制度があります(会社法 606条)。この制
度は、原則として,事業年度の終了の時に退社することができ,6か月前まで
に予告が必要というものです。

 「総社員の同意」は,この要件を満たさなくても(会社に不利な時期でも),
他の社員の同意により,ある社員の退社の申出を容認することができるといっ
た場面等が想定されているようです。

 一般社団法人の場合はどうでしょう。一般社団法人では,持分会社と違い,
社員は、原則として“いつでも”退社できます。そうすると,定款で退社の時
期等を制限していない限り,退社に総社員(他の社員全員)の同意が必要な事
態は想定できません。一般社団法人の「総社員の同意」による退社の制度は,
持分会社とは違うものなのでしょうか。

 一般社団法人の「総社員の同意」による退社の制度は,正当な事由がなくて
も除名できる制度という見解もあるようです。

 しかし,法律は異なっても,同じ用語を使用しているのですから、意味が異
なるとは思えません。ある社員の意思と無関係に当該社員を退社させる制度で
はないと思います。

 「法定退社事由の『総社員の同意』は,共同事業を営もうとする全員の共同
契約の一部解除という『全員の決定』という視点から規定し」(※2)たもの
であり,退社する社員の意思を除外しては成立しないと考えました。

 「任意退社」(一般法人法28条)は,社員からの一方的な共同契約の解除,
「除名」(一般法人法30条)は法人からの一方的な共同契約の解除を規定した
ものであり,双方からの共同契約の合意解除を規定したものが「総社員の同意」
なのではないでしょうか。

 また,「除名」の制度(一般法人法30条)は別に規定があり,この場合は,
当該社員に弁明の機会を与える必要がありますし、除名した旨を通知しなけれ
ば当該社員に対抗できません。一方,「総社員の同意」(一般法人法29条)に
は,そうした手続は規定されていません。このことからも,「総社員の同意」
は「除名」とは異なる制度であると思いました。

(※1)一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
(※2)神﨑満治郎・金子登志雄・鈴木龍介編著『論点解説 商業登記法コン
    メンタール』(きんざい)381頁以下


2018.01.24(水)【これもデジタルデバイド?】(藤沢・酒井恒雄)

 只今、事務所の移転作業の真っ最中です。

 先日、電話会社に引越しの連絡をしたのですが、プロバイダーには別途連絡
をしてくれと言われました。はてな?と思い、再度聞き直したところ、通信回
線の利用契約とプロバイダーの利用契約の相手が、別系列の会社であるとのこ
とでした。

 そこで、一連の作業をどう進めるのがベストなのかと担当者に尋ねてみまし
た。

 引越しを機に、新事務所に最適な通信環境となる回線利用契約に変更するの
がベスト、その場合、現在のプロバイダーだと対応できないので、現在のプロ
バイダーとの契約解除と、対応可能な新規のプロバイダーとの契約締結がマス
ト。

 ただし、現在のプロバイダーの契約を解除すると現在のメールアドレスも使
用できなくなるので、引き続きメールアドレスを使用する契約を現在のプロバ
イダーと締結するのがベスト、もし、引っ越し後も現在の通信環境と同じでい
いなら、現在のプロバイダーも対応できるプランがあるので、新規のプロバイ
ダーとの契約は不要だが、現在のプロバイダーへプラン変更の連絡はマスト、
だとのこと・・・・・。

 あ~なるほど! と言えたら良かったのですが、私にはなかなか理解できま
せんでした。

 これが、いわゆるデジタルデバイド(IT格差)なのか? と思ったのです
が、単に通信会社同士の諸事情のせいで、話しが複雑になっているだけのよう
にも思えました。

 どうなのでしょうか? 話が理解できない自分に焦りましたが、どんな通信
環境で仕事をしているのか把握していなかった自分にも焦りました・・・・。


2018.01.23(火)【元号】
(東京・鈴木龍介)

 前回、予告(?)しましたとおり、今回は「元号」について取り上げたいと
思います。いろいろ調べたりしていたら長いものになってしまいました。

 そもそも元号とは、特定の時代(期間)に対してつけられる称号(呼び名)
のことで、かつては中国や朝鮮などでも用いられていましたが、今は日本だけ
のようです。

 元号については、元号法(昭和54年法43号)なる法律があります、たっ
たの2項(2箇条ではありません(ただし、附則は除きます。)。)で、内容
は以下のとおりです。

 1項 元号は、政令で定める。
 2項 元号は、皇位の承継があった場合に限り改める。

 元号法は昭和54年の制定ですから、この法律に基づいて元号があらためら
れたのは、現在の元号である「平成」だけということになります。

 そして、皇位の承継は今上(きんじょう)天皇(=在位中の天皇の呼称)が
崩御された時でしたが、今回は今上天皇が生前退位し、皇位が承継されること
が決まっており、その承継の時に元号法の規定に基づき元号があらためられま
す(一世一元の制=1人の天皇に1つの元号)。具体的には平成31年4月
30日までが「平成」で、翌日の5月1日からが新元号ということになります。

 これまでは元号があらたまる時期というのは、当然のことながら未定でした
ので、新元号も事前に発表されることはありませんでした。今回の場合、新元
号となる時期が決まっていることもあり、国民生活に大きな影響を与えないよ
うにするため、事前に発表することになったようです。一説には今年の秋口に
も発表などという声も聞こえてきます。

 発表後は新元号に関する商号や商標の争奪戦が繰りひろげられることが予想
されます。ちなみに大学は、その名前に元号を冠している例が多く、たとえば
「明治大学」、「大正大学」、「昭和大学」。「(帝京)平成(国際)大学」
とあります(明治の前の元号である慶應(義塾)大学もそうですね)。

 法令については、施行日等は和暦である元号で表記されますが、たとえば本
コーナーで何度か取り上げている、いわゆる債権法改正の施行日は平成32年
4月1日です。でも、実際には平成32年はないわけです。やむを得ませんが、
少し違和感もあって、論稿などには和暦と西暦を併記したりしています。

 登記については、元号法の制定時に発出された登記先例(昭和54年7月5
日民三3884号・民四依命通知)により和暦である元号を用いることになっ
ています。

 ちなみに会社や法人は存続期間を定めた場合、和暦で登記することになりま
すが、3年後の4月1日を存続期間とした場合には、「平成33年4月1日」
と登記され、仮に新元号が発表された後であっても、平成31年5月1日以前
の申請については、あくまで期限付新原号なので「平成」で登記されることに
なります。

 ところで、新天皇が即位されると国民の祝日である天皇誕生日はどういう取
扱いになるのでしょうか。今上天皇の誕生日(12月23日)は、当面、祝日
ではなくなり、次の天皇陛下となる現皇太子徳仁親王の誕生日(2月23日)
が天皇誕生日として祝日になるようです。

 ちなみに第2次次世界大戦前の天皇誕生日は「天長節」と呼ばれ、祝日でし
た。また、これまでの天皇誕生日は、明治天皇が文化の日(11月3日/以前
は「明治節」)、昭和天皇が昭和の日(4月29日/以前は「みどりの日」)
として祝日となっています。


2018.01,22(月)【選任懈怠中の解散・会社継続】
(金子登志雄)

 商業登記倶楽部の実務相談室で、選任懈怠中の会社の解散や会社継続に関す
る質問が増えてきましたので、土日に、想定問答を作り真剣に取り組んでみま
した。選任懈怠のない会社の解散しか取り扱ったことがなく問題意識が薄かっ
たためです。

 難問でした。共著のある立花・幸先司法書士にも意見を聴いて、やっと少し
まとまってきましたが、まだ途中経過です。

----------------------------------------------------------------------
 取締役ABC(代表取締役A)、監査役Dの甲社(取締役会設置会社・監査
役設置会社)の登記記録をみると、全員が平成17年6月28日に重任という
登記がなされており、定款をみると、3月末決算で、取締役は2年、監査役は
4年の法定任期どおりだったとします。また、平成17年6月以降、役員の改
選決議はしていないもの(登記懈怠はなく選任懈怠のみ)とします。
----------------------------------------------------------------------

 甲社で平成29年12月(下記②時期)に株主総会で解散決議をしたところ、
取締役Cから同時に辞任表明がなされました。清算人選任決議はなされていま
せん。

 会 社→→→→事業会社→→→→→→→|②→→清算会社→→→
 取締役→→→|①……権利義務者……→|→→→清算人→→→→
 監査役→→→→→|①…権利義務者…→|→任期なし監査役→→

 さて、取締役ABCの①時点の退任登記が必要でしょうか。

【否定説】
 昭和49年11月15日民四5938号依命通知に、権利義務取締役も法定
清算人になるとあるし、登記懈怠は登記しなければならないが、選任懈怠は登
記不要とも読める。また、会社継続に関する下記の法務局HPでも、法定清算
人の登記の前提に取締役の退任の登記をしていない。これが登記実務であり、
法定清算人制度は前任取締役(権利義務者を含む)につき申請により抹消する
のではなく、商業登記規則72条により、登記官が職権で朱抹するものだ。
   http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001189039.pdf

【肯定説】
 株主総会の決議で清算人を選任したときは、権利義務取締役の退任登記の環
境が揃ったとして退任登記しながら、法定清算人制度を採用したというだけで、
退任登記が不要になるとは思えない。退任登記と法定清算人制度は両立するの
であり、上記昭和49年依命通知も、退任登記が不要になるとまでは記載して
いない。同通知が必要だとする取締役の変更登記には選任懈怠も含むというべ
きであり、法務局HPは退任登記を漏らしただけだ。

 私見は肯定説であり、商業登記規則72条により、登記官が職権で朱抹する
のは任期中の取締役に限られると思っています。

 次の問題は取締役Cも法定清算人になるのかということですが(これは幸先
司法書士からの問題提起です)、清算会社になると清算人は1人でもよくなり
ますから、Cについては法定清算人にならないと考えます。

 最後に、監査役Dですが、解散しても監査役設置会社は継続しますから、解
散によってDの任期満了退任の登記の環境が整備されたとはいえません。権利
義務者のまま解散後も監査役を継続し、後任が選任されれば、上記の表の①の
ときに任期満了退任となります。上記否定説の発想で、権利義務監査役が解散
によって任期の定めのない監査役に変身したと考えることは困難です(注)。

 以上については、みなし解散後の会社継続で、よく問題になりますので、下
記をご検討ください(私は批判的な意見であることは前記しました)。
   http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html#1-26

(注)公開会社又は大会社の監査等委員会設置会社の監査等委員である取締役
が選任懈怠中に解散すると、この監査等委員は監査役になります(477条5
項)。この場合は、監査役設置会社が継続したわけでもないため、解散と同時
に監査等委員である取締役の任期満了退任の登記が必要だと考えます。



2018.01.19(金)【みなし解散の日】(金子登志雄)

 きんざい『商業登記法コンメンタール』294頁に、会社法472条の休眠
会社のみなし解散の件で「最後の登記から12年を経過したら、その後所定の
手続を経て、登記官の職権により2か月の公告期間の満了の日を原因日付とし
て『会社状態区』に『平成○年○月○日会社法第472条第1の規定により解
散』という登記がなされる」と書きました。

 これにつき、一般社団の事例ですが、法務省のホームページには、原因日は
公告期間満了の日の翌日としているので、改めなくてよいかとの問い合わせを
受けました。確かに、下記には「平成29年12月12日(火)までに、『ま
だ事業を廃止していない』旨の届出がなく、かつ、登記の申請もなかった休眠
会社・休眠一般法人については、平成29年12月13日(水)付けで解散し
たものとみなされ、登記官が職権で解散の登記をします」とあります。

   http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00083.html

 どう思いますか。

 拙著や拙論文を熟読している方にはお分かりでしょうが、法務省は伝統的に
「期間満了の日」を「翌日」にしているためです。会社法472条には「その
2箇月の期間の満了の時に、解散したものとみなす」とありますから、コンメ
ンタールの記載は会社法条文に忠実であり、正しい記載です。

 法務省見解に対しては、コンメンタール291頁で、次のように批判してお
きました。
----------------------------------------------------------------------
 取締役等の重任の登記のように「終了と開始」による変更の登記の際には、
開始の日を基準にするが、株主総会の決議による解散や退任の登記など開始が
ない終了のみの登記は、終了日をもって登記してきたはずだが(会915条2
項・3項も同様)、存続期間の満了や新株予約権の行使期間の満了については、
この原則に反して翌日付で登記されている。いずれ改められることを希望する。
-----------------------------------------------------------------------

 解散の日というのは事業法人終了日(期間の満了日)のことであって、清算
法人の開始日(清算事務年度開始日)のことではありません。言い換えれば、
法務省の記載は解散とみなされた日を登記しているのではなく、清算会社開始
の日を登記していることになります。

 平成29年12月末日までの期間の満了の時に解散したものとみなすとあれ
ば、「平成29年12月31日解散」とすべきであり、「平成30年1月1日
解散」とすべきではありません。平成29年までは未成年で平成30年から成
人だとしたら、平成30年1月1日に未成年終了ではなく、その日は成人の開
始の日です。

 会社法494条に解散の日の翌日から清算事務年度が開始するとありますか
ら、法務省見解では、期間満了日が12月31日だとすると、翌年の1月2日
から清算事務年度が開始してしまいます。

 税務申告で税理士が困っているため、「いずれ改められることを希望する」
とコンメンタールに記載したわけですが、伝統の壁は強固であり、改まる日は
いつになることやら。



2018.01.18(木)【みなし解散のみなし監査役】(金子登志雄)

 神崎先生主宰の商業登記倶楽部の実務相談室に「みなし解散」の質問が続い
ていました。会社継続の相談です。

 さて、取締役ABC(代表取締役A)、監査役Dの取締役会設置会社・監査
役設置会社が休眠会社のみなし解散(会社法472条)になると、事業継続を
前提とする取締役も取締役会も商業登記規則72条により、抹消されて、取締
役の権利義務者だったABCは、法定清算人ABC(代表清算人A)に代わり、
監査役の権利義務者だった監査役は、任期のない監査役に変わります。この会
社は依然として監査役設置会社とされたままです。

 しかし、登記簿には監査役しか登記されていませんから、会社継続の際は法
定清算人の登記をし、任期のない監査役から任期のある監査役に変わるDは任
期満了退任の登記がなされ、会社継続後の役員に交代します。

 以上を前提に、取締役ABC(代表取締役A)、監査等委員である取締役D
EFの監査等委員会設置会社(公開会社又は大会社を前提)が、みなし解散す
ると会社法477条5項によりDEFは監査役に変わります。清算会社になる
と、監査等委員会という機関設計は認められず、商業登記規則72条で監査等
委員会設置会社も、ABCもDEFも抹消され、監査役設置会社に変わるわけ
ですが、法定清算人も、監査役設置会社である旨も監査役DEFも職権で登記
されることはありません。抹消だけがなされます。

 ここで疑問を覚えたのが、この会社を継続する際に、いったんは監査役の設
置を決議し、DEFを監査役として登記しなければならないのかです。

 この点については解説文献もなさそうです。おそらく、会社継続の際は、必
須機関の法定清算人ABC(代表清算人A)だけ登記し、監査役設置会社も監
査役DEFも登記しないで済むのであろうと予想しました。

 監査役設置会社になる旨の決議をしていないのですから、登記は困難ですし、
仮に会社継続後の機関構成が取締役会設置会社・監査役設置会社であっても、
監査役の設定日が会社継続の日ですから、職権解散時から会社継続時までの間
の監査役DEFの登記根拠が見当たりません。

 同じことは監査役「会」設置会社がみなし解散し、会社を継続する際は、会
社法477条3項により、いったんは清算人「会」設置を登記しなければなら
ないのかという問題にも通じます。これも、会社の継続の際は、清算人会の設
置をスルーするのだと予想しました。

 監査役会設置会社や監査等委員設置会社がみなし解散される例は現実にはな
いでしょうから、以上は、机上の問答ですが、こういうごく希なケースでも、
基本通達や登記記録例にはあってもよさそうにと思いました。

 それにしても、登記されない監査役というものが存在する私の解釈はいかが
ですか。異論・反論をお待ちしております。


2018.01.17(水)【今年は?】(藤沢・酒井恒雄)

 皆様、明けましておめでとうございます。遅い新年の御挨拶となりました。

 ちなみに我が家は未だ初詣に行っておりません。子供が小さかったとき、無
理に混雑している場所に連れ出して、怪我でもさせたら良くないということで、
人出が少なくなった頃に初詣に行っていました。

 いつの間にか、それが我が家の定番となり、毎年1月の中旬頃に初詣に行く
ことになっています。登記申請ではありませんが、元旦から遅くとも2週間以
内に初詣に行かなければならないのでは?と思っていましたが、調べたところ
によりますと、節分の日までにお参りに行けばいいのだそうです。

 年初めには、この一年間はどういったカテゴリ―の仕事が多そうだろうか?
と予測をしてみたりします。

 偶然が続いているだけかもしれませんが、私の場合、例年1月に問い合わせ
が多かった案件が、その年を通しても件数的に多い傾向にあります。昨年は解
散の問い合わせが多く、実際に解散・清算結了の仕事の割合が多かった年でし
た。

 そして、何故か解散・清算結了が多い年は、組織再編関連の仕事が殆どない
年になります。この傾向も当たっており、昨年は強制的な?合資会社の種類変
更等を除き、純粋な組織再編はたったの2件でした。今年は組織再編に関する
問い合わせが多いので、どうやら組織再編のお仕事を沢山?させて頂ける年に
なりそうです。

 昨年一年間のブランクによる知識の劣化が懸念されますので、金子先生の書
籍を読み返して、頭にかかった靄(もや)を追い払っているところです。



2018.01.16(火)【年号~西暦と和暦~】
(東京・鈴木龍介)

 今年、初めての投稿です。本年もどうぞよろしくお願いします。

 今回は新年の話題にふさわしい(?)「年号」について取り上げてみたいと
思います。

 議事録や契約書には年月日を記載するわけですが、日本の場合は西暦と和暦
の2つの表記方法があります。つまり、2018年とするか、平成30年とす
るかということです。

 議事録等については、西暦と和暦のいずれを用いても構いませんが、登記の
世界-登記簿-では和暦で表記されます(調べていませんが、おそらく国内向
けの行政の文書は和暦表記だと思います。)。

 ちなみに、西暦で記載された議事録を添付した登記申請も問題なく受理され
ますが、登記をする際には和暦に引き直することになります。

 最近、特にこの年号の記載に関する質問が多くなった感じがしますが、やは
り背景としては新元号問題が大きいのかな思います。要は現天皇陛下の退位に
伴い来年の4月30日で現在の「平成」が終わり、5月1日からあらたな元号
になるというものです。

 そのあたりを踏まえて、年号をどう記載するのが妥当なのかという問い合わ
せですが、「これまでどおり和暦のままでもよいと思いますが、「気になるよ
うでしたら和暦と西暦の両者を併記-平成30(2018)年-してはいかが
ですか」的な回答をしています(法律的な正解はないですし、お好みでよいと
思っています。)。

 ただ、この和暦と西暦を併記した場合、紙面がかなりうるさい感じになるの
は否めません。

 一方で現場実務的には、年初はこの「年号」に注意する必要があります。何
気なく平成29年とか2017年と書いたり打ったりしがちです。恥ずかしな
がら、過去にこれで登記申請の補正になったことがありまして、自戒を込めま
しての注意喚起です。

 今回の「年号」の話題を書いていて、「元号」も面白そうなので、次回(来
週)は「元号」について取り上げたいと思います。


2018.01.15(月)【定款の空振り規定】(金子登志雄)

 存在・不存在と有効・無効また無益無効・違法(有害)無効は区別しなけれ
ばなりません。例えば、従業員に割り当てた新株予約権がその従業員の退職に
よって行使することができなくなっても行使することができないだけで、原則
として存在はします。消滅まではしていません。はずれ馬券も価値がないだけ
で馬券としては存在していますし、賞味期限切れの飲料も飲めないだけで存在
はしています。別の使い道があるかもしれません。

 会社法308条2項に「株式会社は、自己株式については、議決権を有しな
い」とありますが、これも正しくは議決権は存在するが、行使はできないと考
えるべきでしょう。

 新保さんのブログ(司法書士のオシゴト)に、無意味な端株原簿代理人が定
款に定められている間は登記上も廃止の登記ができないということが掲載され
ていましたが、これも定款には存在し無益無効だが、存在までは否定されない
ので登記も定款から廃止しない限り受理することができないという意味です。
いつか法令の改正で端株が復活するかもしれません。

 こういう存在までは否定されない規定を空振り規定といいます。

 したがって、監査役会設置会社が監査等委員会設置会社に移行しても、定款
に社外監査役の責任限定の規定を削除漏れしていたら、やはり、登記はそのま
まです。ひょっとして、そのうち監査等委員会を廃止して監査役会設置会社に
戻るかもしれません。

 よく問題とされるのが、取締役会を廃止したり解散を決議したのに、株式の
譲渡制限規定の「取締役会の承認を要する」を定款上そのままにした場合です
が、これも取締役会という部分が空振りして効力を有しないだけで、規定とし
ては存在しています。

 近い将来に取締役会を再設置したり、取締役会設置会社への会社の継続を決
議するかもしれませんので、常に定款変更義務があるとまではいえないでしょ
う。定款変更義務をいうなら、解散した場合に、定款の事業目的こそ清算目的
に変更すべきであり、これをそのままに譲渡制限部分だけ定款変更せよという
見解には賛同しかねます。


2018.01.12(金)【役員の退任と定款添付の要否】(金子登志雄)

 商業登記規則61条1項に「定款の定め又は裁判所の許可がなければ登記す
べき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなる申請については、申
請書に、定款又は裁判所の許可書を添付しなければならない」とあります。

 この規定を根拠に、定款の添付の要否が問題になることが少なくありません。
『事例で学ぶ会社法実務』の改訂作業の際も、あちこちで質問がありました。
今日はその中から、役員の退任と定款の添付の要否を取り上げましょう。

 1.辞任するとき、任期中であることを証明するため定款の添付が必要か。

 不要です。規則61条1項の定款の添付は「裁判所の許可書」と同等のもの
ですから、「辞任に定款の許可がいる」といわれたら、誰でも、まさかと思う
ことでしょう。また、任期中でなかったら、任期満了で退任済みなわけで、そ
れを任期中がどうか疑義があるから、辞任を認めないというのは、違法な登記
を残存させよというのに等しい結果になります。

 登記簿に役員として登載されている限り、任期中だという適法な推定が働い
ていると考えない限り、商業登記の存在意義がありません。取引の都度、任期
中の代表取締役であることを証明せよ、登記簿など信用できん、というのと同
じことです。

 2.議事録に「本総会終結をもって任期満了退任」と記載されていれば、こ
れをもって、退任を証する書面として扱われますが、「取締役Aは退任したの
で後任を………」程度の記載では、退任日を証明するため定款の添付が必要で
はないか。

 これはそのとおりです。ただし、商業登記法54条4項の退任を証する書面
として定款の添付が要求されるのであって、規則61条1項が根拠ではありま
せん。退任に許可などいるわけがないからです。

 というわけで、規則61条1項が根拠ではないため、定款の全文ではなく抜
粋でよいはずですが、著作に書こうと思って、先例を探してみましたが、みつ
かりませんでした。当然すぎるから、質問もなかったのでしょうか。


2018.01.11(木)【各自代表】(金子登志雄)

 会社法349条1項と2項に次のようにあります。
 1 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会
  社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
 2 前項本文の取締役が2人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社
  を代表する。

 では、代表取締役A、取締役Bの会社でBが辞任したとき、Aは1項本文の
各自代表になったといえるでしょうか。また、Aが辞任し、定款が取締役1人
を許容しているとき、Bに代表権付与が付与され、各自代表になったといえる
でしょうか。

 実は上記のような説明がよくなされています。しかし、私が著者で1種類の
株式しか発行していないのに普通株式というのはおかしい、工業高校や商業高
校があるから普通高校があるのだと書いたのと同様に、取締役が1人なら比較
対象がないのですから、「各自」代表というのは日本語としておかしいですね。

 そこで、今度の改訂版で「1人代表」と表現してみようと思いましたが、取
締役が1人しかおらず、比較対象もいないのに「代表」というのも誤解を招き
そうだなと思いやめました。

 この「代表」は会社の代表という意味で複数の取締役の代表という意味では
ありませんから、純法律的にはおかしくありませんが、平取締役もいないのに
代表とはどういうわけだといわれてしまいそうです。

 いまのところ「1人取締役体制」というのが最も実態に合っていると思いま
すが、面白味もなく、これでは流行りませんね。何かよい命名はありませんか。


2018.01.10(水)【仮想通貨】(島根・根来川弘充)

 皆様あけまして、おめでとうございます。

 昨年末にかけて、仮想通貨の価値が急に上がりました。今、すこし落ち着い
たようですが、それでも、当初の価値からは、ほど遠いものだと思います。

 まったくといっていいほど、無縁な私にとっては、「仮想」といわれる自体
で、一歩引いた目で見てしまいます。


 また、昔、「通貨」について、文献を調べたことがあるのですが、「通貨」
とは、流通や蓄財の手段であり、代替となる品の価値を示すものになっても、
それ自体、価値が無い物である、という趣旨の事が書いてあったと記憶してい
ます。

 価値のないものに、価値がついていくことは、まさにバブルであり、時代を
こえて、同じ事を繰り返しているようにも、思えてしまいます。

 年始にあたり、仮想通貨による詐欺事件が出てこないことを祈念したいと思
います。


2018.01.09(火)【本年も業務執行司法書士】(金子登志雄)

 遅くなりましたが、新年おめでとうございます。本日より、本欄を再開しま
すので、よろしくお願いします。

 年末年始は、それこそ眠っている時間以外の全てを、著書の改訂版に時間を
費やしていました。年末のNHK紅白も年初の初詣も、一切無関係にパソコン
とにらめっこしていました。

 改訂版は、東京司法書士協同組合編の『事例で学ぶ会社法実務〔設立から再
編まで〕』ですが、3年以上前の出版のため株主リストも本人確認証明書も入
っていないので、その後の論点を加筆し、旧論点を見直すためです。

 純粋の新著には意欲がわきますが、改訂版のような見直し作業は疲れるだけ
なので、いつも執筆にご協力をいただいている立花・幸先さんに丸投げして楽
をしたかったのですが、既に383頁もあり、これに新論点が加わると400
頁をはるかに超えるため、慌てて、既存の部分の一部をカットしたり、余白の
行を詰めたりと、空き領域の拡大に勢力を費やしていました。

 ここまでは楽な作業でしたが、この結果、図表が2つの頁に分裂するなどの
2次災害(?)が、あちこちで発生したため、このまま立花さん達にバトンタ
ッチするのは申し訳なく、私の仕事の美学にも反しますので、行数調整のため
数行の論点を新項目に加えたり、補足コメントなどを挿入しはじめましたら、
あれも必要だ、これも必要だで、とうとう、全面的に深入りしてしまいました。

 しかし、その甲斐あって、項目は3人で45%も増やしたのに、増頁は10
頁程度に抑えることができました。大成功でした。

 本年最初の出版になると思いますが、既存のものをお持ちの方も「全訂版」
にご期待ください。

 本年も、会社では監視役の監査等委員ですが、こと司法書士業務と執筆業務
では、業務執行司法書士で頑張ります。


過去徒然

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